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ミッション50 VS巨大イノシシ・・・!! 前篇

新年明けましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いします。

というわけで、年明け最初の投稿です。



ドゴォォォンッ!!


「・・・グハァァァーーーッ!?」


「な、何だ!?」


突然聞こえて来た、重いモノが何かに衝突した時に出る様な音と男の悲鳴。

それが聞こえて来た方向へと振り向けば、そこには吹き飛ばされて地面を転がり、俯せに倒れたウルフブラックの姿があった。


「グッ・・・ウッ・・・!?ふ、不覚・・・!まさか、獣に後ろを取られるとは・・・!?」


四つん這いの体勢で体を起き上がらせるウルフブラック。その視線は前を向いていた。

一体何を見ているのかと彼の視線を追ってみると、そこには黒々と輝く巨大な猪が鼻息荒く佇んでいた。


「ブフゥー・・・!ブフゥー・・・!」


通常の猪と比べて全長四mを超える異常な大きさ。大地にしっかりと足を付けているその四肢は、筋骨隆々とした強靭な筋肉が見て取れ、口元からは尖った二本の牙が上向きに伸びており、その鋭さを感じさせる輝きは脅威を感じさせる。

そしてそこで、ようやく俺達はその巨大イノシシがこの山に来た目的であり、捜索対象であるということを理解した。


「どうして此処に!?まさか戦闘音を聞きつけてやって来たのか・・・!?」


「イイ・・・!?イーイー、イイイー!」(そんなまさか・・・!?野性動物は基本的に生存本能が強いから、異常を感じ取ったら普通は逃げる筈ですよ!)


「イイーイー。イイイッ、イーイー?」(だが現にこうして目の前にいる。バイオクリスタルで怪物化したことで、その辺の本能が鈍くなったんじゃないか?)


「イイイー・・・。イーイーイイーイー。イーイーイー?」(もしくは脅威と感じなかったからかも・・・。元々力を持ってなかった大抵の奴等は怪人・怪物化すると驕り高ぶる事が多い。多分あのイノシシも自分なら大丈夫だからと判断したから来たんしゃないかな?)


目の前に現れた巨大イノシシを見て驚きつつ、そう考察し、話し合う俺達。

正直に言えば戸惑っていたとも言う。

何せ彼の怪物の所在は分かってこそいたものの、まだどの様に行動するのかの方針を決めておらず、また準備すらもしていなかったからだ。


「ブモォ~~~!!」


「・・・ッ!来るぞ!」


「ちぃっ・・・!?」


「イイ~!」(総員退避~!)


「イッ。イーイイー・・・!イーイー・・・!」(三号。この(うぶ)野郎の腕の片方を持て・・・!もう片方は俺が持つ・・・!)


「イッ!イイイー・・・!」(了解!このまま見捨てるのも寝覚めが悪いしね・・・!)


だが巨大イノシシは俺達のそんな事情など知ったこっちゃないと言わんばかりに突撃して来る。

俺は周囲に警戒の声を発しつつ、時速約六十km超えの速度で迫り来る巨大イノシシの突撃コースから外れるべく跳び退る。


「獣風情に嘗められたままでは、俺の剣が、何よりも〝魔犬流剣術〝の名が廃る・・・!」


「あっ、おい・・・!?」


だがしかし、そんな中で巨大イノシシの突撃を避けようとしない(バカ)がいた。

アニマルレンジャーの一人であるウルフブラックである。

彼は迫り来る巨大イノシシに対し、腰に吊るしていた鞘から剣を抜いて上段に構え、剣を振り下ろさんとする。


「行くぞ怪物!魔犬流剣術奥義!【咆哮飛ざ――――――!」


「ブ、ヒィィィーーーッ!!」


ズドドドドドッ・・・!ドグシャッ!!


「――――――タワラバッ・・・!?」


だがしかし、その剣技が披露される事はなかった。

ウルフブラックが剣を構えた瞬間、突然巨大イノシシが突撃速度を加速させ、剣が振り切られるより前に彼の体を天高く轢き飛ばしたからだ。


ドシャッ・・・!グシャッ・・・!ベシャッ・・・!


「――――――ガハッ・・・!?」


ウルフブラックの体は時間にして数秒から数十秒間宙を舞い、そして落ちた後に数度嫌な音を立てながら地面を転がり、バタリと横たわった。

ピクピクと震えてはいる様なので、おそらく生きてはいるのだろう。まあ頑丈なスーツを着ているし、回復手段も持っているみたいなので、早々死にはしないと思われるが。


「イイー・・・!?」(ヒーローがこうもあっさり・・・!?)


「イイイッ、イーイー・・・!イーイーイイイーイー!」(前に受けていたから分かるが、アイツの突撃はやはりヤバい・・・!多分怪人であるディーアルナ様達でも直撃を食らえば行動不能になるぞ!)


「つまりノーダメージで倒せってことか・・・?無茶を言う・・・!?」


「心配しなくても大丈夫ですよ、姐さん!アイツへの対策はちゃんと準備していますからね!」


「そう言えばそうだった・・・!頼めるか、アルミィ?」


「任せて下さい!」


物凄い勢いで通り過ぎて行く巨大イノシシの背中を見送りながら、左腕に嵌めていたブレスレットを触るアルミィ。

ホログラムメニューを展開し、その中の項目の一つである電子ストレージから、一m位はありそうな正方形の形をした黒いキューブ状の物を彼女は取り出した。


「この『電磁檻・・・・・・なんだっけ?」


「イイイッ」(『電磁檻スパーク君』)


「そう。その『電磁檻スパーク君』で仕留めて見せます!」


アルミィはそう言うと、「はっ!」という掛け声と共にその手に持つ黒いキューブ状の物を頭上に投げる。

そしてその瞬間、投げられたそれは突如高速で乱回転を開始し、九つの小さなキューブに別れると、アルミィの周囲を円を描く様に回り始めた。


「ブヒブヒブヒブヒィィィーーーッ!!!」


「行くぜ。アタシの電撃を食らって昇天しなっ!!」


一度立ち止まった後で方向転換をした巨大イノシシは、再び俺達に――――――特に比較的近くにいるアルミィへ向かって突撃して来る。

そんな巨大イノシシに向けて、腕を真っ直ぐ伸ばし両の掌を向けるアルミィ。

それに追随する様に九つの黒いキューブも動き、彼女の目の前で輪を描いて回る。


「必殺!【スーパーコネクト――――――ッ!?」


そしていざ必殺技を放とうとした瞬間、何かに気付いた様にハッとしたアルミィは、キューブを自身の周囲に戻しつつ急いでサイドステップを踏んで巨大イノシシの突撃を回避した。

・・・・・・って、え?何で?


「お、おい、どうしたんだ、アルミィ・・・?何で攻撃しなかったんだ・・・?」


「すいません、姐さん。その、やろうとしたんですけど・・・、必殺技を放つ為に必要な電気が足りなくて・・・・・・」


「・・・・・・えっ?」


「「「・・・・・・イッ?」」」(・・・・・・はい?)


「多分、さっきのヒーロー達との戦闘でほとんど使い切っちゃったからかも・・・・・・!」


「・・・え、エエェェェーーーッ!?」


「「「イイィィィーーーッ!?」」」(何ィィィーーーッ!?)


『電磁檻スパーク君』を電子ストレージに仕舞いながらまさかのカミングアウトを行うアルミィ。

それに対して俺達は驚きの声を上げるしかなかった。

まさかの電池切れとか、マジですかアルミィさん・・・!?


「マジです。ちなみに今現在は静電気を起こす位がやっとですね・・・!」


「嘘だろ・・・!?――――――はっ・・・!そうだ・・・!確かアルミィってKエネルギーを電力に変換する事が出来たよな?それをやれば行けるんじゃないか・・・!?」


現状の打開策を考えて俺はそう口にするのだが、しかしその考えは首を横に振るアルミィの姿を見た事で霧散してしまう。


「いや姐さん、それは無理です。実は此処に来る前にしていた準備で、作戦に必要な分の電力を充電する為に既にKエネルギーを変換してまして・・・。今はもう最低限活動する分しか残って無いです」


「ガッデムッ!?」


アルミィの報告を聞いた俺は思わず頭を抱えて叫ぶ。

そして俺と同様にアルミィの報告を聞いていた戦闘員達もまた慌て始めた。


「イッ・・・イイッ・・・!?」(なん・・・だと・・・!?)


「イイッ、イー!イッ、イイー・・・!?イッ、イーイー・・・!?」(お、おい、三号!お前、何かないのか・・・!?こう、充電器っぽいのとか・・・!?)


「イイイッ、イーイーイー・・・イイィッ!?」(一応もしもの時の為の物があるけど、さすがにこの状況じゃあ充電なんて無理だっ・・・どわぁっ!?)


ドドドドドドドドッ!!


「ブッヒャァァーーーッ!!」


戦闘員三号のセリフを聞くに、どうやらまだ打開策はあるようなのだが、三度突撃してきた巨大イノシシがその暇を与えてくれない。


「ブッヒィィーーーッ!!」


突撃してくる巨大イノシシ。そしてその軌道上から飛び退いて回避した俺達だったのだが、巨大イノシシは途中で進路を変え、俺とは反対方向に飛び退いたアルミィと戦闘員達の方へと向かい始めた。


「イッ、イイッ・・・!イイー・・・!?」(ちょ、待っ・・・!こ、こっち来たぁ・・・!?)


「イ、イイィィィッ・・・!?」(お、オオォォォッ・・・!?)


「イイイイイー・・・!?イイッ、イィーッ・・・!?」(待って待って待って・・・!?こっちに来ないでよ、一号ぉっ・・・!?)


「ニ、ニャァァァアアアッ・・・!?」


「み、皆っ・・・!?」


自分達の方へと巨大イノシシが進路を変えて迫ってきていることに気付き、物凄い勢いで逃げるアルミィ達。そしてそれを追いかけて行く巨大イノシシ。

そんな光景を思わず呆然と見送ってしまった俺は、すぐさま追いかけようとも思ったが、既に彼等の姿は指先程度の大きさに見える程遠くにまで走り去ってしまっていた。


「くっそ、どうすればいいんだ・・・!?」


「――――――ふっ・・・!どうやらお困りの様ですね・・・!」


「えっ・・・!?」


対応が遅れてしまったことに愚痴る俺。

その時、俺に向かって掛けられる声が聞こえた。

その声の主は先程まで地面に転がっていたアニマルレンジャーの一人であるシャークブルーであった。

どうやら俺が飛び退いて着地した場所が丁度彼の近くであったらしい。


「貴女方の話は聞いていました。そこで私に一つ考えがあるのですが、乗ってみませんか?」


「ヒーローであるアンタが悪の組織に所属している奴を助けると言うのか?」


ようやく体の痺れが取れてきたのか、膝立ちの状態で体を起き上がらせながらそう言うシャークブルー。

本来悪の組織とは敵対関係であるヒーローが助け船を出そうとする事に俺は驚いた。

それはどのような考えによって出した言葉なのか、皆目見当も付かなかったが、さすがにそれを素直に信じる事は難しかった。


「正直信じられないな。敵対する相手に協力すると見せかけて後ろからグサリッ!・・・なんてのはある意味定番だからな」


「その様に警戒されるのは当然だと思います。ですが私には・・・いえ、私達には貴女方に対してそれを行う事など決してありません。そう、決して・・・!」


拳をグッと握り締めつつ力説するシャークブルー。

そんな意気込みどころかある種の熱意すら感じられる様子を目にした俺は、つい彼に向かって問い掛けてみたくなった。


「随分と言葉に力が(こも)っている様だが、どうしてそう断言できるんだ?」


「そんなの決まっているでしょう。貴女が、貴女達が()()()()()()()()!」


「・・・おいこら」


問い掛けてみたくなったのだが、その後で返された理由に思わず低い声が出た。


「貴女の月の光を反射して輝くであろう白銀の髪。意思の強さを感じさせる瞳。人形の様に整った造形の顔立ち。そして何よりも、出る所はボインと出て、引っ込む所はキュッと引っ込んでいるそのバランスの取れた豊満な体。まるで男の理想が形作った様な美であり、実に男好きしそうな容姿ですありがとうございます!それと、今日初めてお会いしたアルミィという女性もまた素晴らしい!モデルの様なスレンダーな体型と、発達した筋肉。それらが彼女の肉体美をより魅力的に引き上げ、肉食系の野性味溢れる美を感じさせる。しかもアクセントとしてなのかケモ耳ケモ尻尾や両手足の猫の手を擬人化させた様な形が、彼女の美しさと可愛らしさを際立たせている!ちくしょう!やっぱりどちらも甲乙付けがたい・・・!」


「・・・・・・おいこら変態」


シャークブルーの演説染みたセリフに再び声が出たが、今度のはドン引きから来るモノだった。

真っ当な女性が彼の話を聞こうものなら、変質者または性犯罪者として警察に突き出すレベルであり、正直元男である俺でさえ純粋に気持ち悪いと思えてしまえるモノであった。


「メイド服を着てご主人様と呼んでもらいながら鞭で打たれるのもありですが、他にも似合いそうな衣装がイメージ出来ますねぇ・・・。例えばナース服!優しい言葉を掛けられながら静かに攻められるのも燃えそうです・・・!後は・・・、体操服とかでしょうか?年下の少女に足蹴にされてイタズラされるというのも、そこはかとなく興奮出来ます・・・!!」


「よし黙れ。もう黙れ。それ以上気持ち悪い妄想を語るのなら、あのイノシシの前にアンタを先にぶっ倒さなくちゃいけなくなるんだが・・・!?」


「おっと、これは失礼。つい想像が膨らんでしまいました」


鼻息荒く性欲全開な己の妄想を語りまくるシャークブルー。

真面目にヒーローなのかと疑うくらいの変態度である。冗談抜きにマジヤベェ・・・!


「ま、まあ、言わんとしている事は理解したくなかったけど大体理解した。・・・それでだ。アンタの言う考えた事とは一体何だ?」


「なに、内容それ自体は簡単で簡潔です。貴女方が口にした用意しているという秘策。それを準備をしている間、我々があのイノシシを足止めする。ただそれだけですよ」


「足止めをしてくれると言うのはありがたい。が、我々ってことはアンタの仲間である他のアニマルレンジャーも参加するという事だろ?勝手に決めちゃって良いのか?」


「問題ありません。既に他のメンバーには説明及び説得は済ませています。皆さん、快く頷いてくれましたよ」


そう言いながらシャークブルーが自身の後ろに振り向き、手を差し伸ばす。

そしてそ先には、先程までのシャークブルーと同様に地面に倒れていた筈のイーグルイエロー、バッファローグリーン、ウルフブラックが集まっていた。


「そういうわけで、一時的だが協力させてもらうぜ・・・!」


「此方としても、これ以上あのデカブツに暴れられると困るからな。最悪、今現在撤収作業中のヒーロー連合協会の調査団にでも突っ込まれでもされたら、バカにならない被害が出る。そうなる前に仕留めたい」


「よろしくお願いしますだ。」


「アンタ等・・・!」


グッとサムズアップするイーグルイエロー。

腰に下げている剣の鞘を左手で、柄を右手で握っているウルフブラック。

ペコリと礼儀正しいお辞儀をするバッファローグリーン。

本来は敵対関係である彼等が協力してくれるという事に、俺の胸の内に感動とほんのりとした温かな気持ちが湧き、


「尚、協力する見返りとして、次回の戦闘時には是非ともこれらの衣装を着てもらいたいという要望が彼等から出ていたり・・・・・・」


「アンタ等・・・!?」


直後のシャークブルーによる欲望全開な交換条件の暴露と、サッと視線を脇に逸らすヒーロー(変態)達の姿を見てその気持ちが一気に醒めた。

ってか、さっき語っていたメイド服とかナース服とか体操服とか、あとその他にもサンタ服とか水着とかボンテージ服とか、一体何処から出した!?


「ちなみに私のオススメは此方の衣装なのですが、着て頂けますでしょうか?」


「誰が着るか・・・!?」


ズイッとシャークブルーが差し出してくるボンテージ服をはたき落としながらそう吠える。

いやマジで誰が着るか・・・!?


「そうですか・・・。非常に残念ですが仕方がありませんね・・・」


シャークブルーは意気消沈しつつ残念そうに引き下がろうとして、


「では代替え案として、膝枕からの耳掻きとか、手ずからアーンとかを・・・・・・」


「しないからな!?」


まだ食い下がろうとするのを却下した。

ちなみにこの時、彼の後ろにいる他のメンバーもガックリと肩を落としていた様子から、こっちが本命だったか・・・!と戦慄したりもしたが。


「ではこの件につきましては、また後日都合の良い時にでも私達のお願いを叶えてもらうとしましょう」


そんなお願いを叶えるつもりなんてサラサラ無いのだが、話が進まないので敢えて我慢する。


「では、行動開始――――――と言いたい所なのですが、実は一つ問題があります」


「問題・・・?」


「はい。ハッキリ言って戦力が足りません」


シャークブルーのセリフに首を傾げる。

ヒーローが四人もいて戦力が足りないとは、どういう事なのだろうか?


「正直に申しまして、今此処にいるメンバーだけではあの巨大イノシシの突撃を止める事は不可能です。単純に腕力や筋力等の力が足りないのですよ。せめてあともう一人・・・、レッド並みの人物がいてくれれば・・・」


「レッドって・・・、あのライオンレッドって名乗っていた奴か・・・?」


「ええ。彼は私達アニマルレンジャーのリーダーでして、彼の力――――――というか腕力はそれに相応しいだけのモノを持っていましてね」


「んだんだ。耐久面ではオラ。機動力ではイエロー。技の技術ではブラック。頭の良さではブルーが秀でているけど、力に関してはオラ達の中ではレッドが一番だよ」


「そうだな。渾身の力で十mの岩山を粉微塵に砕けるくらいにはあるな」


「まあ、本人がかなりのバカだから、その力を発揮する場面が中々ないんだがな」


そう口々に語る四人。

というかアイツってリーダーだったのか・・・。いやレッドって言うんだからヒーロー物の定番を考えれば特に不思議に思う事はないのだろうが・・・・・・、


「――――――お前達か、俺の名前を呼んだのは・・・!」


「「「「「・・・ッ!?」」」」」


その時、突然頭上から声が聞こえて来た。

声が聞こえて来た方を見上げれば、そこには一本の木の枝の上で仁王立ちをしているライオンレッドがいた。


「トオゥッ!!」


俺達の事を見下ろしていたライオンレッドは、木の枝から跳び上がり、


「――――――グギャッ!?」


「「「「「あっ・・・」」」」」


そして頭から地面に落ちた。


「えっと・・・、大丈夫か・・・?」


「ふっ・・・、も、問題ない・・・!この程度・・・・・・!」


「・・・・・・そう言いながらプルプルと足が震えているんだが?」


「も、問題ないとも・・・!!」


ビシッ・・・!と親指を立てるライオンレッド。だけどやっぱりその足は生まれたての小鹿の様に震えていた。

・・・本当に大丈夫なのだろうか?


「そ、それよりも、お前達の話は俺も聞いていた。俺も協力するのは(やぶさ)かじゃない」


そう言ってライオンレッドは拳を握りしめ、


「――――――ところで、アンタに服を着てもらうという話だが、俺はこのチャイナドレスを勧めたいんだが」


「うん。やっぱりお前もか・・・!」


何処からともなく真っ赤な意匠のチャイナドレスを取り出して見せる彼。

それに対して俺は、即座にツッコミを入れるのであった。






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