ミッション47 猫怪人VS戦隊ヒーロー・・・!? 前篇
「待たせちまったな!まずは俺が相手になってやる!さあ、何時でも来い!」
アニマルレンジャー達はようやく話し合いが終わったらしく、組んでいた円陣を解いて俺達の目の前で再び横並びとなり、ビシィッ!とそれぞれが格好良いと思うポーズを取る。
そんな彼等の様子からは、自分達の勝利は揺るぎはしないという自信が見受けられた。
「ああ、そう・・・。なら遠慮無く行かせてもらうよ・・・!!」
そんな彼等に相対するのは猫怪人のアルミィ。
彼女はアニマルレンジャーの態度を見て、自分達が馬鹿にされている、侮られていると思ったらしく、両手の指の先からシャキィィン!と鋭い爪を伸ばしながら怒りの感情が垣間見える笑みを浮かべる。
「シャァァァアアアーッ・・・!」
地面を蹴り、一瞬でライオンレッドの目の前にまで急接近したアルミィは、彼に向けてその鋭い爪を振り下ろす。
「なんのっ・・・!」
「・・・ッ!」
だがそれを、ライオンレッドは横向きに構えた片腕で受け止めた。
ギチギチという音を鳴らしながら行われる一瞬の鍔競り合い。だがアルミィの鋭い爪は、眼前に掲げられているその腕を切り裂く事が出来なかった。
ピッタリと肌にくっつく様でありながら異様な耐久性を持つライオンレッドのヒーロースーツ。その頑丈さは、本来ならコンクリートを溶けたバターの様に簡単に切り裂ける筈のアルミィの爪を防いでいる事から、どれ程のモノなのかが伺える。
「このっ・・・!」
このままでは埒が明かないと感じたアルミィは、突き出していた腕を一度引き戻した後、今度は両腕を高速で動かしての連続斬撃を放つ。
「効かぬ効かぬ効かぬ効かぬ効かぬぅぅっ・・・!!」
しかし、その攻撃すらも全て防いでみせるライオンレッド。
彼もまた両腕を高速で動かし、次々に迫り来る爪による斬撃の嵐を的確に受け止めていく。
「アタシの爪が効かない・・・!?どんだけ硬いんだ、コイツは・・・!?」
自身の攻撃が効かない事に少しばかりショックを受け、ほんの一瞬だけ体が硬直するアルミィ。
そしてその隙を、ライオンレッドが反撃とばかりに攻めてくる。
「隙を見せたな!【ライオンタックル】ゥ!」
「うわっ・・・!?」
交差させた両腕を前に突き出しながら突進するライオンレッド。
静止状態から一気にトップスピードに達するその勢いは凄まじく、彼の周囲で暴風とも言うべき風の暴力が吹き荒れる程。
当たれば吹き飛ばされる事は間違いない攻撃のそれを、しかしアルミィは寸での所で飛び退いて回避した。
「なんのまだまだぁ・・・!【ライオンタックル】!【ライオンタックル】!あ、もういっちょ【ライオンタックル】ゥゥッ!!」
「ちょっ・・・!まっ・・・!うひゃっ!?」
何度避けられようとも、諦めず突進を続けるライオンレッド。
その威力は誇らしく思える程にありはするのだが、動き自体はまるで跳び跳ねているカエルの様であり、傍目から見てもあまり格好良いものではなかった。
「クッ・・・!避けるのが上手いじゃないか・・・!っていうか一発くらい当たれよ!」
「ふん!当たれと言われて当たる奴がいるわけ――――――」
「その慎ましい胸とかムチムチしたお尻とか、どさくさに紛れて触れねぇじゃねぇかぁ!!」
「――――――って、そっちが目的か、この変態!?」
「変態じゃねぇ!ヒーローだ!そしてこの欲求は男として当然のモノだ!」
「相手が美人なら尚更なぁ!」と豪語するライオンレッド。
その姿はまさしく性的欲求全快のそれであり、相対しているアルミィが思わずドン引きする程であった。
「イーイーイー。イィ・・・イーイィ・・・!」(いやいやいや。ないわぁ・・・マジないわぁ・・・!)
「イッ、イーイー、イーイイー?」(アイツ、もうヒーローじゃなくて、変態って呼ぶのが相応しいんじゃねぇか?)
「イイイーイー、イーイーイッイー・・・」(男としての欲求という点には同意出来る部分もあるけど、さすがにあそこまでがっつくのは普通に逮捕案件だと僕は思うなぁ・・・)
「つまり、紛う事なき変態と言う事だな、アイツは」
尚、アルミィの後ろで話を聞いていた俺達もまた、彼女と同様にドン引きしていた。
仮にもヒーローなんだから、もう少し自重出来ないのだろうか、アイツは・・・・・・。
「欲求に忠実すぎるわ!――――――ええい、これ以上お前等に付き合ってられるか・・・!様子見は終わりだ。本気を出す!」
「本気だと?お前の爪じゃ、俺のスーツを切り裂けないのにか?」
「アタシの攻撃がこの爪だけだと思うなよ・・・!――――――行くぞっ!」
バッ!と駆け出したアルミィ。彼女はライオンレッドに向けて、握りこんだ右手を突き出した。
「食らえっ!【キャットサンダー】!」
「あれ?なんか手の先がバチバチ言って――――――アババババババババッ!?!?」
バチバチバチバチッ!!
再び攻撃を受け止めてやろうと余裕ありげに構えていたライオンレッドであったが、アルミィの右手の先が静電気を纏い始めたのを見て、警戒心が首を擡げた。
が、対応するには反応があまりにも遅すぎた。
攻撃を防ごうと掲げていたライオンレッドの腕にアルミィの右手が接触した瞬間、バチバチという音と共に放電現象が発生。接触した部分からライオンレッドの体に高出力の電流が流れ込み、彼の体は感電した。
「・・・・・・・・・カハッ」
全身から大量の黒い煙を立ち上らせ、その後にバタリと倒れるライオンレッド。
プシューという音と共に肉が焼ける様な独特な匂いが周囲に拡散していく。
「はっ!どうだ!これがアタシの必殺技。【キャットサンダー】だ!」
倒れ伏したライオンレッドを鼻で笑い飛ばすアルミィ。
その表情は自分達の敵であるヒーローを倒せたことにご満悦の様であった。
「く、くそぅ・・・!体が痺れて、思う様に動けねぇ・・・!」
「まったく。何をやっているんですか、レッド。」
地面に倒れ伏し、ビクンビクンと体を震わせるライオンレッド。そんな彼の姿を後ろから見ていたシャークブルーは呆れたように溜め息を吐いた。
「油断し過ぎですよ。相手は女性といえど怪人。何かしらの特殊能力を持っている可能性は想定出来るでしょうに・・・。」
「うぐぐっ・・・・・・!?」
シャークブルーからの指摘に何も言い返せないライオンレッド。
その後、やれやれと首を横に振ったシャークブルーは、今度は自分の番だと前に出て来た。
「さて、今度は私の番ですよ、お嬢さん。先程の彼と同じだとは思わない事です・・・!」
「はん!いいぜ、どんどん来なよ!このまま全員ぶっ潰してやるからさぁ!」
「安い挑発ですね。ですが、敢えて乗ってあげましょう・・・!」
片手を伸ばし、掌を上にして指をクイクイッと動かすアルミィ。
それを見たシャークブルーはフッと笑みを浮かべながら息を吐き出しつつ、左腕をまっすぐに伸ばし、左手の指もまっすぐ伸ばしてアルミィに向ける。
「食らいなさい!私の新必殺技!【シャークウォーター】!」
プシャァァァアアアッ!!
「なっ!?指の先から水が・・・!?」
そして左手の指の先から大量の水が勢いよく噴出した。
その勢いの程はまるで濁流の様であり、進路上にある木々や草花など、様々なモノを呑み込みながら押し流していった。
「ちょっ・・・!待てブルー!まだ俺がここに、オボボボボボボボッ・・・・!?」
もちろんその進路上に倒れていたライオンレッドも巻き込んで。
「アァーーーッ!?」
ライオンレッドの体はまるで某昔話に出てくるピンク色の果物の様に、どんぶらこっこどんぶらこっこと流されていくのであった。
「くっ!?そう簡単に受けて堪るか!」
背後でそんな事が起こっているとは知らないアルミィは、自身に向かって放たれる濁流のごとき大量の水をサイドステップを踏んで回避する。
初めはシャークブルーの指先から大量の水が出たことに驚きはしたものの、すぐに気を取り直したアルミィは冷静にその射線上から退避していく。
「よく避けましたね。ですが今度は外しません!【ダブルシャークウォーター】!!」
プシャァァァアアアッ!!プシャァァァアアアッ!!
「こなくそっ!?」
自身の必殺技が回避されるのを見たシャークブルーは、次は逃がしはしないと、今度は両手で【シャークウォーター】を放ち始めた。
アルミィはその攻撃を右に左に飛び跳ねたり、当たりそうになった時に体を反らすなどして回避していく。
「く、くそう・・・!ブルーめ、よくもやりやがったな・・・・・・!」
大小さまざまな木々が乱立する森。
その中を、シャークブルーの必殺技である【シャークウォーター】に巻き込まれ、流されたライオンレッド這う這うの体で移動していた。
「戻ったら、絶対仕返ししてやる・・・!」
ライオンレッドは「復讐する権利は我にあり!」と言わんばかりの恨み言を吐きながら草木を掻き分けつつ進んでいく。
「・・・そう言えばアイツ、何時の間にあんな技を使えるようになっていたんだ?去年まで新技なんて全く覚えていなかったのに・・・」
そんな中、ライオンレッドはふと疑問に思ったことがあった。それはシャークブルーの新必殺技についてだ。
今日までシャークブルーと長い付き合いをしてきたライオンレッドだが、【シャークウォーター】なんて必殺技を今まで見聞きしたことが無かった。
おそらく最近になって習得した技なのだろうと当たりをつけたライオンレッドは、絶対問いただしてやる!と意気込む。
「よっと・・・!ようやくさっきの場所の近くまで戻って来れたか・・・。もう少し歩けば、皆のいるところに辿りつけるな――――――って、んん?」
身の丈ほどの岩の段差をよじ登りながら、そう息を溢すライオンレッド。その時、彼の耳に聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「――――――【ダブルシャークウォーター】!!」
「この声・・・、ブルーの奴か?――――――というか、この水音って、まさか・・・・・・!」
ドドドドドドドドドッ!!
「や、やっぱりアイツの出した水――――――ウボォアアアーッ・・・!?」
その声の主がシャークブルーのモノであると理解した瞬間、ライオンレッドの目の前に大量の水の濁流が押し寄せて来た。
「ち、畜生・・・!あの野郎、マジ覚え――――――オボボボボボボボッ!?!?」
再び濁流に飲み込まれ、どんぶらこっこと流されてしまうライオンレッド。
ちなみにその時、ライオンレッド以外の面々はシャークブルーとアルミィの戦闘を集中しており、彼が近くにまで戻ってきている事に誰も気づいていなかった。
彼が流される原因となった濁流も、その戦闘の余波にて発生したものであり、言うなれば完全なとばっちり。
なんとも不運であり、不憫な男であった。
「ちょっ・・・!?でっかい丸太まで流れて来て――――――オゴッ・・・!?」
ゴンッ!・・・・・・プカァッ。
・・・・・・・・・マジで不憫な男であった。
「くっ!大木が圧し折れる程の威力だなんて・・・!これだけの技を持っている奴がさっきの変態の仲間だとはとても信じられないね・・・!」
「ふっ・・・!この技の凄い所は威力だけではありません。もう一つ、素晴らしい美点があるのですよ・・・!」
「美点ねぇ・・・それは聞いたら教えてくれるのかい?」
「ええ。問題ありません。ぜひ教えて差し上げましょう!この技のもう一つの美点とは、――――――相手の着ている服をヌレヌレスケスケに出来る事です!」
「・・・・・・・・・はっ?」
シャークブルーのそのセリフに、アルミィは思わず空いた口が塞がらなかった。
え、何その理由・・・?と。
「想像してみてください。水に濡れてピッチリと肌に張り付いた服を・・・!そしてその服が透けた先に覗かせる光景を・・・!――――――服の下に隠された秘密を垣間見る。これほど素晴らしいモノは二つとしてありはしませんよ!」
「変態だ・・・!やっぱりコイツも変態だった!?」
演説染みたノリで語るシャークブルー。
それを見聞きしたアルミィは、「やっぱりコイツもさっきの変態と同類だった・・・!?」とドン引きした。
「イイィ・・・。イーイイィ・・・・・・!」(そっちかぁ・・・。そっち方面かぁ・・・・・・!)
「イイッ、イイイーイー・・・・・・」(いやまあ確かに言う通り、直接的ではないという部分では同じじゃないけどさぁ・・・・・・)
「イー、イーイイー、イー・・・」(なんかその分、マニアック的な趣向に走ってるね、あの青いの・・・)
「うわぁ・・・・・・」
尚、アルミィと同様にシャークブルーのセリフを聞いていた俺達もまた、ライオンレッドの時に続いて再びドン引きしていた。
丁寧な言葉を使っている分、より変態感が増している様に感じるのは気のせいだろうか・・・?
「この技の素晴らしさが理解出来ましたか?――――――では、そろそろ決着を付けるとしましょう!【シャークウォーター】!」
「しまっ・・・!?うぐぅ・・・!」
これでフィニッシュです!と必殺技を放つシャークブルー。
驚愕により呆然としていた隙を突かれたアルミィはそれを避ける事が出来ず、放水された大量の水をその身で受けてしまった。
「ふふふっ・・・!これであなたの着ている服はヌレヌレのスケスケになりますね・・・。さあ!服の下に隠された貴女の秘密を私に見せ・・・・・・ッ!?そ、そんな馬鹿なっ!?」
バイザーの下に隠された瞳を光らせながら、【シャークウォーター】を食らってびしょ濡れになったアルミィを見るシャークブルー。
だが次の瞬間、その瞳は驚きに見開かれることとなった。
「つぅ~・・・!よくもやってくれたな・・・!」
全身からポタポタと水滴を落としながら立ち上がるアルミィ。痛みを感じてはいる様ではあるが、さほど大きな怪我は負ってはいないようだった。
「何故・・・、何故なのです・・・!?」
「・・・あん?」
だが、シャークブルーが注目したのはそこではなかった。
「何故貴女が着ている服は、ヌレヌレスケスケになっていないのですか!?」
そう。シャークブルーが見ていたのはアルミィの身に着けていた服の方だったのだ。
彼はどうして水に濡れた筈なのに、透けていないのかとアルミィに問いかける。
「あ~・・・、服に関してはアタシは詳しくはないけどさぁ・・・、ウチのボスは確かこう言っていたっけ。アタシの着ているコレは、”水着としても使えるビキニ服”だって」
「なん・・・だと・・・!?」
アルミィのその言葉を聞いたシャークブルーは驚愕し、地面に向けて崩れ落ちて四つん這いとなった。
「水着・・・?水着ですって・・・!?しまった・・・!それは全く想定してはいなかった・・・!!」
「なんでガックリしているんだ、コイツ・・・?まあいいや。おら、食らえ!【キャットサンダー】!」
バチバチバチバチッ!!
まるで打ちひしがれた様な状態になっているシャークブルー。
そんな彼の姿を見て不思議そうに首を傾げつつ、とりあえず隙だらけだから攻撃してしまおうと思ったのか、アルミィはシャークブルーに【キャットサンダー】を放った。
「アバババババババババッ!?!?――――――カハッ!ヌ、ヌレスケが、見られないとは、む、無念・・・!ガクッ・・・!」
そして【キャットサンダー】を食らったシャークブルーは盛大に感電し、黒焦げとなって地面にバタリと倒れ伏すのであった。
「姐さーん!アタシの活躍を見てくれたかぁー!二人もヒーローを倒したぞー!」
俺達に――――――というか俺に向けてブンブンと両手を振るうアルミィ。
二人のヒーローと連戦したと言うのに、まだまだ元気が有り余っている様であった。
俺はそんな彼女に向けて手を振りかえしつつ、感心したように溜め息を吐いた。
「しっかし、まさかアルミィの奴があんなに戦えたなんてなぁ・・・」
「イイーイー。イーイーイー。イイイーイー、イイー」(ああ見えて彼女も怪人。しかもバイオニズム液を使用して成った怪人ですからね。並みのヒーローなんて全く相手にならない位には強いんですよ、ディーアルナ様)
「イー。イイーイーイイー、――――――イッ、イーイイイー」(そうそう。幾つもの悪の組織が合同で作っている『怪人強さランキング』でも上位に入れる程度の、――――――所謂、幹部級程度の強さを持っているんですよ)
「幹部級って・・・、え?そんなに強かったの?」
「イイイッ、イーイイーイー。イーイー」(肉体ポテンシャル自体もそうだが、持っている能力の出力とかも並みの怪人の倍以上はあるからな。強いのは当然だ)
戦闘員達の話を聞いて驚きに目を見張る。まさか、そんなに強かったとは・・・!?
「ん?ってことは、俺もそうなのか?」
そこでふと疑問に思った。
話が本当なら、俺もアルミィと同じようにバイオニズム液を使って怪人に成ったわけだから、彼女と同じ位に強くなっているという事になるのだが。
「イ~・・・、イーイー?」(あ~・・・、ディーアルナ様の場合はどうなんだろう?)
「えっ、何その反応・・・!?」
だが、俺の呟きを聞いた戦闘員達は揃って腕を組みつつ首を傾げ始めた。
「イーイーイイイー・・・。――――――イイッ、イイーイーイー」(身体能力に関しては俺らとドッコイドッコイだし・・・。――――――いやまあ、俺らはそこらの戦闘員より倍くらい強いけどさ)
「イイッ、イーイー・・・。――――――イイイー」(色々な技を使っているが、それは怪人に成る前から使えていたモノだし・・・。――――――それはそれで凄いが)
「イッ、イーイイー、イイイーイーイイー。イッイー」(結論を言えば、能力的には大して強くなっていない筈なのに、何故か幹部級かそれ以上の強さを持っているって言う謎状態だからね。言葉にするのが難しいんですよ)
「何その評価・・・!?」
それは強いの?強くないの?
「イー、イーイー、イイイー、イイー」(まあ、強いと言えば強いんですけど、バイオニズム液を使ったにしては大して強くなっていないんですよね、ディーアルナ様って)
「イッ、イイイッ、イーイー」(だな。身体能力に関して言えば、あそこにいるアルミィよりも低いし)
「マジで・・・!?」
まさかの事実に「俺って、そんなに弱かったの・・・!?」とショックを受けた俺は、背中にどんよりとした暗雲を背負う。
「イー、イイイー、イーイーイーイイー」(ああ、なんかショックを受けている様ですけど、だからってディーアルナ様がアルミィより弱いってわけじゃないですからね)
だが、そんな俺に対して戦闘員一号が励ます様に声を掛けてくる。
「イイイッ、イーイイー、イイー」(むしろ総合的な面で見たら、何故かアルミィよりは上なんですよ、ディーアルナ様って)
「イー、イイー、イイイーイーイイー・・・・・・」(ただまあ、一番不思議なのは、能力の数値以上の強さをディーアルナ様が持っているって事なんだがな・・・・・・)
「おかげで、データ上の能力数値が全く当てにならないんだよ」と溢す戦闘員二号に、「その通り」と力強く頷く一号と三号。
「・・・つまり、どういうことだ?」
「イー、イイー、イイーイーイーイイイー。イイッ!」(まあ、一言で言うのなら、ディーアルナ様は訳の分からない強さを持っている。ってことですね!)
「・・・・・・いや、それ答えになっていないから」
思わずツッコんでしまったのは仕方がない事だと思う。というか、本当に俺ってどれだけ強いのさ?




