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ミッション43 帰還!そして後日談・・・!



時間を少し巻き戻して、増幅バスター君マークⅢからぶっ放したエネルギー砲で三幻亭ロボを倒した後の事。その時の俺達は、全員が大量の冷や汗をダラダラと流しながら焦っていた。

その理由は今にも爆発を起こしそうな増幅バスター君マークⅢが原因であった。


「なあ、おい。これ、どうするよ?三幻亭ロボの爆発で起こった爆風のおかげで、ぶっ放していたエネルギーは吹っ飛んで消えたけど、肝心の本体がまだ火を噴いたままなんだけど・・・・・・!」


「イ~・・・。イッ、イイー。イッ、イイイーイー。」(あ~・・・。もうこれ、カウントダウンを切っているね。多分、後数十秒くらいしたら爆発するよ。)


「イイイッ!イイッ、イー!?イッ・・・!イイイッ・・・!?」(いやいやいや!何をそんなに落ち着いてんの、三号!?何か・・・!何か解決策はないのか・・・!?)


「イッ!イイイッ、イーイイーイー。・・・イッ、イイーイーイー、イッイー・・・・・・!!」(無理!内包されているKエネルギーが許容量を大幅に超えているし、強制停止装置も機能していないみたい。・・・というか、アレだけのエネルギーを放射しておいてまだ許容量オーバーの状態のままって、そっちの方が信じられないんだけど・・・・・・!!)


「イッ!イッ、イイッ!イーイー!」(ちっ!なら、とっととそいつを放り捨てろ!そして手早くここから離れるぞ!)


「イッ、イイー!イーイー、イイイー!」(ごめん、それも間に合わない!内包されているエネルギー量を考えると、爆発したら周囲三kmは吹き飛んじゃう!)


「イーイー?」(転移装置はどうだ?)


「イッ、イイー!イイイー・・・!」(駄目、それも時間が足りない!転送開始する前に爆発するよ・・・!)


「イーイイイー!?」(どっちにしてもデッドオアデッドかよ!?)


ワタワタと慌てふためく俺と戦闘員達。折角襲い掛かる敵を倒したと言うのに、このままでは自分達の兵器の暴走で死ぬ羽目になりかねない。


「・・・そうだ。バリアはどうだ?俺達全員で重ねる様にバリアを張れば・・・!」


「イーイー、イイーイー、イイッイー・・・!」(僕もそれを考えたけど、絶対的に強度が足りないし、四人分程度じゃ一割から二割くらいしか威力の減退は出来ないよ・・・!)


「イイッ、イイイッ、イッイーッ!?」(あれも駄目、これも無理って、八方塞りじゃんかぁっ!?)


「うぉぉぉぉっ・・・!?」と頭を抱えて振り回す戦闘員一号。その豪快な動きはヘッドバッティングのそれに良く似ていた。


「イッ、イイイー、イーイーイイー・・・!」(計算では、せめて爆発の威力を一定方向へ限定することが出来れば、なんとかバリアで防ぐことが出来るくらいに威力が減退すると思うんだけど・・・!)


「イッ、イー。イイー?」(まて、三号。その計算は確かなのか?)


「イッ?イー。イイッ、イーイー・・・。」(え?うん。理論上は、と言う話だけど・・・。)


「イイー!イッ・・・!イーイー!」(可能性があるだけマシだ!そうと決まれば・・・!ディーアルナ様!)


「な、何・・・!?」


突然戦闘員二号から声を掛けられたことに驚いた俺だが、しかし彼はそれを無視して「やってほしい事がある!」と叫ぶ。


「イイイー!イーイイーイー!」(地面に大きな穴を作ってほしい!そしてその中に増幅バスター君マークⅢを放り込んでくれ!)


「・・・ッ!分かった!一号、ちょっとパス!」


「イッ・・・!?イイー!?」(パスって・・・!?ちょっとディーアルナ様ぁ!?)


戦闘員二号の指示を聞いて、その考えがどういったモノなのか何となく予想が出来た俺は、一号に増幅バスター君マークⅢをパスして、上空へと跳躍した。


「はっ!【四肢風刃旋(ししふうじんせん)】!うおりゃぁぁぁーーーっ!!」


跳躍後、両手足へ螺旋状に回転するエネルギーの刃を纏わせ、そのまま真下に向けて突撃した。

回転するエネルギー刃を纏わせた腕を、足を、高速かつ連続で地面に叩き込む。

それは最早斬撃の嵐とも呼べるものであり、それを受けた地面の土は瞬く間に掘削されていき、人がニ、三人分くらいは入りそうな穴が出来た。


「出来たぞ!」


「イッ!イイッ!イーイィーッ!!」(よし!今だ、一号!(増幅)(バスター君)(マークⅢ)を穴の中に放り込めぇっ!!)


「イ、イイィィィッ!?イイッ、イイィィーーーッ!!」(う、うおぉぉぉっ!?こうなったらヤケクソだ、オラァァーーーッ!!)


そしてその穴へと増幅バスター君マークⅢをポイッと放り込む戦闘一号。

それを見た戦闘員二号は自身の持っているバリア発生装置を手に取った。


「イイッ!イーイイー!」(全員持っているバリア発生装置を穴の中へ!四方に配置してバリアを起動させろ!)


「イッ・・・!イイッ、イー!」(そういう事か・・・!考えたね、二号!)


「イイイー、イイィィーーーッ!!」(こいつはオマケじゃ、ゴラァァーーーッ!!)


「そぉいっ!」


ピピィッ!ブゥンッ・・・!!


そして彼の指示の通りに俺達はそれぞれが持つバリア発生装置を穴の中へ入れ、増幅バスター君マークⅢを囲むように四方に配置。バリア発生装置を起動した。


「イイッ!イー!」(準備完了!総員撤退!)


「イッイー!」(全力疾走!)


「イイイイ~~~!!・・・・・・・・・イッ。」(逃ぃげるんだよぉ~~~!!・・・・・・・・・あっ。)


「うわっ!?一号がコケたぁ!?」


その後俺達はその場所から即時離脱。

その数秒後に増幅バスター君マークⅢが爆発。

バリアが一瞬阻みはしたもののすぐに壊れ、背後に乱立する木々を呑み込みつつ、地面をどんどん削りながら爆発光が迫って来た。


「イヤァァァッ!?来た!来たぁぁっ!?」


「いいぃぃぃっ!?」(うおぉぉぉっ!?)


「イイイィ・・・!イッイィィッ!!」(ファイトォ・・・!いっぱぁぁつっ!!)


「イッ!イイイー!!」(風だ!俺は今こそ風に成るんだぁ!!)


背後から吹き付けてくる熱風を感じながら、必死に足を動かす俺達。その速度は体感ではあったが、時速百km以上は出ていたのではないかと思う。

そしてそのまま俺達は走り続け、その後、命からがらで迫り来る爆発光から逃れることが出来たのであった。







悪の組織アンビリバブルの秘密基地。その内の転送装置が設置されている区画に、とある人物達がいた。


「うぅ・・・、メンドくさーい。詰まんなーい。日向ぼっこしながらお昼寝したいなぁ~・・・!」


一人はアンビリバブルの構成員であり怪人のアルミィ。彼女は両手に箒と塵取りを持って、愚痴を溢しつつ床掃き掃除を行っている。


「文句を言っている暇があったらしっかりと掃除をする!」


そんな彼女を後ろから監視しているのはアンビリバブルのボスであるブレーバー。四つ目マスクを被っているのでその表情は分からないものの、纏っている雰囲気と所々で見せる動作で、彼がプリプリと怒っていることは分かる。


「ねぇ、ブレーバー様ぁ。こんな物(箒と塵取り)じゃなくて掃除機とかの文明の利器は使っちゃ駄目なんですかぁ?これじゃあ無駄に時間が掛かるんですけどぉ・・・。」


「確かに文明の利器を使えば楽に終わるだろう。だが、忘れてはいないか?これは君が食材倉庫を勝手に食い散らかした、その罰なのだぞ?」


そんな物(文明の利器)を使うと罰にならんだろう。」というブレーバーの言葉にガックリと肩を落とすアルミィ。

事実、自身のやらかしが原因なだけに何も反論出来なかった。

何故アルミィがこんなことをしているのかと言うと、今から数時間程前に、彼女が食材倉庫の食べ物を盗み食いをしていたことが理由であった。

エネルギー枯渇状態からいくらか回復したアルミィが、彼女が姐さんと呼び慕うディーアルナの下へ馳せ参じようと考え、その為に必要なエネルギーの補充をする目的で起こしたことであった。

また、その過程で飼育部屋からピョン太郎を出すこともしており、その結果としてピョン太郎がブレーバーの酒の肴を食べてしまうという事態も起こった。

食材倉庫の件もピョン太郎の件も色々とアウトではあろうが、ブレーバーが特に許せなかったのは、自分が食べたかった物を(ことごと)く先取りしていったことだ。

言うならば、完全なる八つ当たり。まあ、信賞必罰という観点から見ても十分な罰則と言えるだろうと思われるが。

ちなみにピョン太郎の方はどうなったのかと言えば、現在ハムスターの回し車ならぬウサギの回し車にて、力の限り走っている最中であった。

この回し車は、回転させることで電力が発生する仕組みとなっているが、動力となる存在やその大きさから鑑みて、その発電量は推して知るべし。


「まったく・・・!本来であれば、この程度で済ますつもりはないのだぞ・・・!怪人に成り立てだったからこそ、大目に見ているのだということ理解して欲しいものだ・・・!」


アルミィに背中を向けてブツブツと愚痴を溢すブレーバー。


キィィィイイイン・・・・・・!


「はぁ・・・。・・・うん?あれ?なんだ、この光・・・?」


アルミィはそんなブレーバーの姿をそれを横目で見ながら「本当に面倒臭いなぁ・・・」と溜め息を吐くのだが、ふとブレーバーがいる方向とは逆の方から強い光が差してくることに気付いた。

一体何によって光りが差してくるのかと思い、原因を知ろうとその方向へと視線を向けたアルミィ。そこで彼女は、転送装置が起動していることを知る。


「転送装置が起動して、何かが転送されて来る?ちょっとちょっと、ブレーバー様!なんか転送装置が動いてるんですけど・・・!?」


「ブツブツブツ・・・・・・うん?転送装置?一体何を言っているのだ、アルミィよ。アレが動くはずがな――――――動いてる!?」


アルミィの声に反応したブレーバーは、「そんな馬鹿な・・・」と呆れながら振り向いて、彼女の言葉通りに転送装置が動いている光景を目にして「そんな馬鹿な・・・!?」と驚いた。


「むむむ。コイツは我々以外には使えない筈・・・。」


「任務に出ていた姐さん達が帰ってこようとしているんじゃないですか?アクセスログを見る限りでは、転送装置に今アクセスしているのは、どうやら姐さんの端末からみたいですし・・・。」


「むぅ・・・。今回の彼女達の任務は最低でも数日は掛かるモノ。半日以上一日未満で帰って来れる筈がないのだが・・・?」


「何かあったのだろうか?」と首を傾げるブレーバー。

そんなことをしている間にも転送装置に転移サークルが発生し、それから一際強い光が発せられると、複数の人物達が転送されてきた。


「やはり、ディーアルナ達だったのか・・・。ご苦労だった。随分と早い帰りだった、な・・・?」


その人物達が、自分の部下であるディーアルナと戦闘員達であると理解したブレーバーは、彼女達に労わりの言葉を掛けようとして、そこで彼女達の様子がおかしい事に気付いた。


「むぅ・・・?お、お前達、何故そんなにボロボロになっているのだ・・・?」


「まあ、ちょっと・・・。」


「「「イーイイー・・・。」」」(いろいろありまして・・・。)


何故かボロボロの状態となっているディーアルナ達の姿を見たブレーバーは目を丸くする。

彼女達が着ている戦闘服は所々の布部分やアーマー部分が破れたり、欠けていたりする。それだけでなく、一部に土や泥、それから何故か焦げ跡や煤等まで付いていた。


「えっと、大丈夫ですか、姐さん・・・。医療室へ行きますか?」


「・・・えっ?ああ、アルミィか・・・。ううん、大丈夫。見た目はかなり酷いけど、大きな怪我とかはないから・・・。」


外から帰還したディーアルナが、その体を全体的にボロボロにしているのを目にしたアルミィは、心配げな表情をしながら緊急セットを持ち出してくる。

それを見たディーアルナは、大丈夫だと苦笑をしながらアルミィの事を落ち着かせるために、その頭を優しく撫でる。

その様子は、傍目から見ればまるで疲れた姉と心配性な妹と言った関係性にも見えそうな光景であった。


「コホン・・・。一体何があったのか、報告をしてもらっても良いだろうか?」


見た目はともかく雰囲気的にはどこかほのぼのとした光景を目にしつつ、そこから空気を変えるかのようにブレーバーは咳を一つ行う。

そして唯の調査任務だった筈なのに、どうしてこんなにボロボロになっているのだろうかとブレーバーがディーアルナ達に問いかける。


「イイッ、イー・・・・・・。」(一体何があった、ねぇ・・・・・・。)


「イイイー、イーイー・・・・・・。」(色々とあり過ぎたというか、何と言うか・・・・・・。)


「イーイー、イイッ・・・・・・。」(一言で言うならカオスでしたね、あそこ・・・・・・。)


「事件に、怪人に、巨大猪に、ヒーローに、後それから巨大ロボに、嫌になるくらいに盛り沢山だったよ・・・・・・。」


すると、全員が疲れたように―――というか、燃え尽きたように?―――その視線をどこか遠くへと飛ばすのであった。


「む、むぅ・・・?」


もちろん、彼女達の苦労を知らないブレーバーとアルミィからすれば、「なんのこっちゃ?」と首を傾げるしかないのだが。







後日談。

※会話をスムーズに行う為、戦闘員達のセリフは直訳しております。



「はあ・・・。しっかし、今回の任務はかなり疲れたなぁ・・・。唯の調査任務だったのに、なんだかよく分からないドタバタ騒ぎになっちゃったし・・・。」


『本当に予想外だったよね、アレは・・・。』


『まあ、騒ぎが起こる前に一応は調査を行う事が出来たのは幸いだったがな。』


『ほんと、それな!』


「・・・・・・そういえば俺、調査を下は良いけど、その結果をまだ確認していなかったな」


『あっ。それ、俺も。』


『俺も。』


『僕もだね。丁度全員揃っているから、確認してみる?』


『そうだな。さて、俺がいた場所の調査結果は――――――」


ピピッ!


「――――――外れだな。三号はどうだ?』


ピピッ!


『うーんと・・・。僕の方も外れみたい。』


ピピッ!ピーッ!


「俺の方は・・・微妙な当たり?バイオクリスタルのエネルギーを捉えたみたいだけど、なんだか反応が弱いな?」


『反応が弱い?うぅん・・・。そうなると、考えられるのは二つだな。ディーアルナ様の調べた地点がバイオクリスタルのある場所から遠いか、もしくはバイオクリスタルが無いか・・・。』


『なんか、反応の強さもちょっとおかしいね、これ。最初はエネルギーの濃度が高かったのに、何故か段々と薄くなっていっているみたい。』


「どうなっているんだろうな、これは・・・。」


『分からないけど、少なくともディーアルナ様のいた地点から川とか源泉を辿って行けば、バイオクリスタルのある場所に辿りつけるとは思うよ。』


『反応があったという事はそういう事だもんな。』


「つまり、また調査に行かないといけないのか。はぁ~・・・。」


『まあまあ、元気を出してディーアルナ様。今日はゆっくり休んで、明日から次回の調査に向けての準備をしよう?』


「そうだな。ありがとう、三号。その言葉に甘えさせてもら――――――」


ピピッ!ピーッ!ピーッ!


『・・・あっ、バイオクリスタル見つけた。』


『『「マジでッ・・・!?!?」』』






次回投稿は10月15日を予定しております。

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