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ミッション38 炎の復讐者達・・・!? 2



戦いの初撃を先に放ったのは怪人側であった。


『邪魔ダァァァアアアーーーっ!!!』


真柴伝助は雄叫びを上げながら自身の片腕に緑の炎を纏わせ、それを弾丸にして目の前に立っているシルバリオンに向かって投げた。


「ぬぅん!【シルバーバリア】!」


ガンッ!


それを目にしたシルバリオンは左腕を盾にするように前面に出し、そして技名を口にした途端、左腕に装着されているアーマーから銀色に輝く薄透明の壁が出現し、迫り来る炎の攻撃を防いだ。


『俺達がいる事も忘れるなよぉ!カァーッ!!』


『隙ありですよ・・・!』


攻撃を防いだ瞬間を好機と見たのか、斉藤五郎と三幻寺豊子がシルバリオンの後ろにいた西條睦月に向けて、それぞれ緑色の炎の息吹と炎弾を放つ。


「忘れてなどいない!そしてそんなものなどない!」


だがしかし、既に彼等の動きを視界に捉えていたシルバリオンは、焦ることなく対処する。

腰に付けられていた、掌より少し長い空洞のある銀色の棒を手に取ると、技名を言いながら腕を振るう。


「【シルバーレイザー】!はあっ!」


ザンッ!シュバァッ!


技名を口にした瞬間、銀色の棒の空洞部分に光が収束していき、一瞬で長さ八十cm程のエネルギー刃が形成された。

そしてシルバリオンはそれを剣の様に振り回し、二つの攻撃を切り裂いた。


「今度はこちらの番だ!【シルバーブレイザー・十字切り】!!」


ザンッ!シュバァァァンッ!


『ぬぅぅぉぉおおおおっ!?』


『きゃぁぁああああっ!?』


『ォォォオオオオッ!?』


連続攻撃を防いだシルバリオンは、エネルギー刃を十字に振るい、怪人達に向けてエネルギーの斬撃を放った。

斬撃の範囲は広く大きく、真柴伝助等三人が動けるだけのスペースが無い部屋の中では避けきることが出来ずに、それに押されるような形で部屋の窓枠部分を破壊しながら外へと吹き飛ばされた。


『ちぃっ!?あの野郎、存外にやりやがる!』


『まさか、三人がかりの攻撃でダメージを与えられないなんて・・・!?』


『グゥゥウウウウッ!?』


吹き飛ばされた先の緑豊かな日本庭園のような中庭に降り立った怪人達は思わず悪態を吐く。


「お褒めの言葉をありがとう、と言うべきなのかな?」


そしてその悪態に返事を返すようにして、彼等を追って中庭へとやって来たシルバリオンが笑う。


「僕の方も驚きましたよ。さっきの一撃で倒せないとしても、ダウンくらいは取れているだろうと思っていたら、誰一人全然堪えていないんですから。」


『ふん、そうかい。予想が外れて残念だったな・・・!』


『ですが、今度は先程の様には行きませんわよ・・・!』


三人の怪人達の内、斉藤五郎と三幻寺豊子が両の掌に緑色の炎を集中させ、火炎放射として放つ。


「ふっ!」


シルバリオンはその攻撃を横跳びに回避する。

だがその動きを予想していたのか、シルバリオンが地面に着地した瞬間を狙って、真柴伝助が飛び出してきた。


『死ィィィネェェェ!!!』


ブォォンッ!


「なんのっ!」


勢いよく振るわれる拳。

しかし、その一撃はシルバリオンが軽やかに跳躍することによって当たることはなかった。


『そこだぁっ!』


『燃え尽きなさい!』


ガガガガガガガガガガガガッ!


そこに追い打ちを掛ける様にシルバリオンへマシンガンのような炎弾の嵐を叩き込む怪人二人。

満足に動けない空中であれば当たるだろうと考えての攻撃であったのだが、しかし次の瞬間に目にしたシルバリオンの動きに驚愕した。


「ブースト!」


ガシャン!ゴォォォォォッ!


『『な、なにぃ!?』』


シルバリオンがそう叫んだ瞬間、彼の背中に取り付けられていた小さなバックパックのようなものが、ガシャリと音を立てながら開いて変形。そして変形することで露出した推進器から炎が勢いよく吹き出し、まるでブースターの様な役割を果たしてシルバリオンの背中を押した。


「空中ならば攻撃が当たるとでも思いましたか?残念でしたね。」


『『ぐっ・・・!?』』


背部のブースターによって雨霰と迫る炎弾を回避したシルバリオンは、地面に着地すると怪人達を挑発した。

その挑発を受けた怪人二人は「おのれぇ・・・!?」と悔しそうに唇を噛んだが、感情に任せて動く事はしなかった。

もしかしたらシルバリオンには、まだなにか隠し種があるかもしれないかもと思ったからだ。

挑発をして見たものの動こうとしない怪人達を見たシルバリオンは「ふむ・・・」と声を漏らした後、姿勢を若干前屈み気味にさせた。


「挑発すれば来るかと思ったのですが、思っていたより冷静ですね。仕方がありませんので、こちらから向かうとしましょう。・・・ブースト!」


シルバリオンは一歩前へと踏み出すと同時に背部のブースターを起動。瞬く間に二人の怪人の元へと接近し、手に持つ【シルバーレイザー】を振るった。


『ぐあっ!?』


『きゃぁっ!?』


【シルバーレイザー】の一撃を受けた二人は、体が切られることは防いだものの衝撃によって吹き飛ばされ、それぞれ岩や大木などにぶつかる。


「これで終わりでは――――――」


『殺ス殺ス殺スゥゥゥッ!!!』


ゴォォォォォオオオオオッ!


「――――――ッ!」


吹き飛んだ二人に向けて追撃をしようとしたシルバリオンであったが、そこへ真柴伝助が緑色の火炎放射を放つ。

それに気付いた彼は一瞬だけ驚きに息を飲み、ブースターを起動させてすぐにその場から離脱した。


『ウォォォォオオオオオオーーーッ!!』


ガガガガガガガッ!ドゴンッ!ガコォンッ!ゴォォォオオオオオッ!


その後も真柴伝助は、飛び退いたシルバリオンを追って炎弾や炎の斬撃を放って追撃する。

がむしゃらに、そしてかなりの速度と合間の少ない連続性のある攻撃にシルバリオンは思わず舌打ちをする。


「・・・っ!?なんて攻撃威力と密度だ・・・!これは、直撃すれば唯では済まないな・・・!」


ステップを踏み、飛び退き、【シルバーレイザー】で切り落としたり、ブースターで飛んで回避したりと、様々な回避行動を取るシルバリオン。

横目で炎弾などが着弾した個所を見れば、そこには大きく抉られ、残り火が今も燻る大穴の空いた地面があった。


『オ前、邪魔ダァァァアアアアッ!!』


「――――――ッ!!」


数多の攻撃を回避し、地面に着地したシルバリオンの姿を見た真柴伝助は、叫び声を上げながら突進を開始。その速度は百mを一秒で到達出来るほどであった。

また、空気抵抗による摩擦によって真柴伝助の体に緑色の火が点火。そして一瞬で炎となって彼の全身を覆い、まるで巨大な炎の砲弾と化してシルバリオンに迫った。


「【シルバーバリア】!ぐうぅぅぅっ!?」


ドゴォォォンッ!!!


自身に迫り来るそれに気付いたシルバリオンは【シルバーバリア】を展開し、迎え撃った。

炎の弾丸と成った真柴伝助と【シルバーバリア】が激突した瞬間、辺り一帯の地面が吹き飛び、抉れるほどの大爆発が引き起こされた。


「なんて威力・・・!?だが、こんな自爆染みた攻撃なら彼も――――――」


『オォォ、ォォォオオオオオオオッ!!!』


ドゴンッ!


「――――――何っ・・・!?」


爆発によって辺りが黒煙で満たされた頃、攻撃を防げたと思ったシルバリオンは安堵の息を吐こうとして、しかし重い衝撃音が響くほどの勢いで【シルバーバリア】に叩きつけられた骨の手を見て目を見開く。


『死ニヤガレェェェーーーッ!!!』


ガオォォン!パキィィン!ガッ!


「ぐはぁっ!?」


【シルバーバリア】越しに姿を見せた真柴伝助は、半身となって体を逸らし、後ろに引き絞っていた拳を突き出す。

突き出された拳には凝縮された緑色の炎球が纏わりついており、【シルバーバリア】に衝突した途端に爆発。耐久値的にそろそろ限界が来ていた【シルバーバリア】はその一撃によって破壊され、そしてそのまま前へと突き出された骨の拳がシルバリオンの腹部を突き刺し、吹き飛ばす。


「ま、まさかのゴリ押し戦法とは・・・!?ですが、二度は食らうつもりはありません。この必殺の一撃で終わりに――――――!」


『それをさせると――――――』


『――――――思っているのですか?』


ドドドドドドドドドッ!!


「――――――ぐぅっ!?」


一撃を受けた腹部を手で押さえつつ体勢を立て直したシルバリオンは、自身の習得している必殺技を放つことで戦況を一気に終わらせようと考えた。

しかしそれは、先程までダウンしていた斉藤五郎と三幻寺豊子の妨害によって中断させられた。


『オラオラオラオラッ!さっきのお返しだぁっ!』


『炎に煽られながら、無様に踊り死になさい・・・!』


ドドドドドドガガガガガガガッ!!!


「こ、の・・・!?」


無数の炎弾、斬撃、炎の鞭。更には蛇を模した炎がシルバリオンに向かって放たれる。

バックステップを取るなどして回避行動を取るシルバリオンであったが、周囲一帯を無差別に攻撃する炎の嵐によって次第に逃げ場をなくし、追いつめられていく。


『取った!』


『灰となりなさい!』


『ガァァァアアアアッ!』


ドドドドドォォォォォンッ!!!


そして完全に逃げ場を失くして立ち止まったシルバリオンに向けて、怪人達は頭上に掲げた巨大な炎弾を、周囲を舞い踊る四匹の巨大な炎の蛇を、炎を圧縮することで放たれる熱光線をそれぞれ放った。

三人の攻撃はシルバリオンのいる地点に向けて直進し、着弾。巨大な火柱が立ち上るほどの爆音と衝撃が辺りに響き渡った。

火柱が収まった後に三人が見た光景は、キノコ雲の様に立ち上る黒煙と、周囲にあるモノ全てを燃やし尽くさんと地面を走る緑色の炎であった。


『オォォォ・・・・・・。』


『流石にこれを受けては、骨も残らないでしょうね。』


『そうだなぁ。さて、邪魔者も片付いたことだし、そろそろ逃げ出した筈の西條を追いかけるとするか・・・。まあ、他の連中に既にとっ捕まっているかもしれんがなぁ・・・。』


『そうね。早くあの汚豚を焼き殺して、あの子の仇を取らないと・・・・・・?』


自分達の目的を邪魔する者をようやく片付けたと思った怪人達は、踵を返し、標的のいる旅館の方へと一歩を踏み出そうとした。

だがその時、彼等はふと妙な風を感じた。

敢えて言うならば風向きが変わったと言うところだろうか?最初は精々違和感程度でしかなかったそれは、次第に勢いを増していき、何かが起きていると思わせる程の異常を怪人達に感じさせた。


ゴォォォォォォッ・・・!!


『なに、これ・・・?風が、吸い寄せられていく・・・!?』


『いや、よく見ろ・・・!風だけじゃねぇ・・・!周りで燃えていた炎も一緒に吸い寄せられていやがる!』


斉藤五郎の言う通り、怪人達の視界の先には吸い寄せられる風と共に地面を走っていた緑色の炎が浮かび上がり、ある一点に向かって行った。

その一点とは、シルバリオンが立っていた地点であり、先程怪人達の手で爆発炎上させた場所であった。

風がどんどんと吸い寄せられ、引き寄せられた炎が渦を巻き、上空へと立ち上っていた黒煙がまるで巻き戻るかのように下がって行く。

最終的にそれは竜巻の如き勢いとなり、そしてその中心にいた人物に吸収されるかのようにして消失した。


「・・・・・・危なかった。まさか、切り札を使わされることになるとは思ってもみませんでした。」


『ば、馬鹿な・・・!何故生きて・・・!?』


そこにいたのは怪人達の攻撃によって死んだと思われていた筈のシルバリオンであった。

ボディアーマーの至る所に燃えた跡や煤のようなものが付いてこそいるものの、それ以上のダメージは見受けられず、一歩ずつ歩いてくるその動作からは何らかの支障も感じられはしなかった。

いや?唯一の違いがあると言えば、ボディアーマーの胸部だろうか?

ボディーアーマーの心臓の位置に当たる左胸部分に先程の戦いでは見かけなかった紫色の輝きを放つ宝石のような物が納められていた。

宝石の横にスライド式のカバーのような物があることから、おそらく先の戦闘ではそのカバーによって宝石部分が覆い隠されていたのだろうと考えられる。


「しかし、僕にこれを使わせた貴方達には敬意を表しましょう。大抵の相手はこれを使う前に終わってしまいますからね。」


そう言いながら露出した紫色の宝石を撫でるシルバリオン。

その瞬間、宝石から目が眩むほどの輝きが放たれ、シルバリオンの体の各所から炎のように揺らめく銀色のエネルギーが噴出する。


「さあ、第二ラウンドを始めましょう・・・!」


そう語りながら怪人達に見せるツインアイは、()()()()()()()()を放ち、その輝きを真正面から見ることになった真柴伝助達は、言葉に出来ない悪寒が背筋に走るのを感じ取る。

彼等には、悠々と両腕を広げる目の前のシルバリオンの姿が、まるでヒーローの皮を被った別の何かの様に見えた。






次回投稿は9月15日を予定しています。

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