外伝ミッション1ー5 とある場所での取引・・・・・・?
今回は何時もより早めの投稿です。
ある意味ここで一区切り。
日が高く上った某時刻。
場所は人がいなくなり長い時間を掛けて荒れ果てたとある廃工場の、その内部の中心地点に作られた、周囲をコンテナの壁で囲むようにして設けられたスペース。
今日この日。今まさにその中で、とある人物達による取引が行われようとしていた。
向かい合う人物の片方は、見た目は二m近い長身の男。
高級そうなつばの広い白い帽子を被り、これまた高級そうな白いスーツを着ている。斜に構えつつ片手にアタッシュケースを持つその姿からは、溢れんばかりの余裕が感じられ、そしてその男の後ろには、部下と思われるサングラスを掛けて黒服のスーツを着た四人の男達が立ち並んでいた。
「・・・・・・よお、遅かったじゃねぇか。どこで油売っていたんだい?情報屋さんよぉ」
男の口からバリトンのきいた低い声が聞こえてくる。
帽子のつばから覗かせる深い笑みとは裏腹に、その声色は苛立ちが感じられ、ギラリと光らせる片方の目からは、下手な言い訳を言おうものならド突き回すとでも言いたげなプレッシャーが放たれていた。
「お待たせしてホンマ申し訳ない!いやな、ちょいと探し物しとってな。」
それに対するは、飄々とした態度を取る豊満な肉体を持つ一人の女。
天井の屋根の隙間から射し込む光が日に焼けたような色合いの肌を照らし、廃工場の入り口から吹き込む風が背中まで届く程のゆるフワカールな長いワインレッドの髪を靡かせる。胸元までを覆う肩出しタイプの赤いシャツに黒いタイトミニスカート。その上から袖と裾に明確なダブつきが感じられる程のコートのような白衣を身に纏い、大きめの青いショルダーバッグを肩に掛けている。
「見つからない見つからないとやっとるうちに、いつの間にか時間になってしもうてな。取るもん取って、慌てて来たんよ。」
情報屋と呼ばれた女は男のプレッシャーなど何処吹く風と言わんばかりに、妖艶さを感じさせる相貌でカラカラと笑いながら、片手を後頭部に添える。
「アハハハハハッ!いやぁ、失敗失敗。まぁ、ウチのこの可愛い顔に免じて許したってな。」
「・・・・・・随分と、ふざけた事を抜かしやがるな、テメェは。」
情報屋の笑みを見た男は、バカにされたとでも思ったのか、懐に手を入れて、仕舞っていた愛用品を取り出そうとする。
「ちょちょまっ!?落ち着いてや、兄さん!短気は損気やで!確かに約束の時間には遅れてしもうたけど、兄さん達の望むもんは、ちゃぁんと用意して来たんよ!」
その仕草を見た情報屋は両手をワタワタと振って、待って欲しいと声を出す。
今にも己の愛用品を取り出そうとした男は、情報屋の話とその仕草を見て、「チッ!仕方ねぇな・・・・・・。」と舌打ちを一つ溢しつつ、手を離す。
「ふぅ、焦ったぁ・・・。兄さんの短気は、まるでスズメバチみたいやわぁ・・・・・・!」
「・・・御託はいいから、さっさと出すもん出しやがれ。それとも、まだ下手な芝居を続ける気か?」
「それなら、メンドくせぇから、いっそひと思いに・・・・・・」と言いながら、再び懐に手を入れてガチャリと音を鳴らす男。
それに対して、「分かったから・・・!?もうふざけないから・・・!?その物騒なもん出さんといてや・・・!!」と、アワアワと情報屋が慌てて叫んで止める。
「最初からそう言えばいいんだよ。・・・・・・それで?例の物は何処にあるんだ?」
「ホンットォ~にせっかちな人やね、アンタも・・・。ほら。兄さんのご注文の品はこれやで。」
疲れたような表情となった情報屋は、溜め息を吐きつつ白衣の内ポケットから長さ縦横十cmの平べったい箱を取り出し、男に向かって投げ渡した。
男はその箱を受け取ると、パカリと箱の蓋を開けて中身を確認する。
箱の中にはクッションが詰め込まれおり、その中央には全長三cmの一枚のチップが納められていた。
「・・・・・・なるほど。コイツが、例の情報が入ったメモリチップか。」
「その通り。ホンマに難儀したでぇ。兄さんの求めていた情報、なんや結構昔の事過ぎて、話を集めるどころか、探すとこから手間取るとは思うとらんかったわ。」
情報屋は疲れたような溜め息を吐きつつ、肩に手を当て、凝りを解そうとするように腕を回す。
その様子を見た男は、「そうかい。そいつはご苦労だったな。」と言葉を溢しつつ、箱の蓋を閉じて懐に仕舞うと踵を反す。
「それじゃあ俺は、とっととコイツを持ち帰らせて貰うぜ。コイツの到着を今か今かと待っている人がいるんでな。」
そう言って一歩足を踏み出そうとしたところで、「・・・ちょい待ちや、兄さん。」と情報屋から待ったの声が掛けられた。
「なあ、兄さん。報酬は、その情報の対価はどないしたん?・・・・・・まさか、踏み倒そう言う腹積もりちゃうやろな?」
情報屋はスッと目を細めて男の背中を見つめる。
男はその視線を受けて、「フッ・・・!」と笑う。
「テメェに集めてもらった情報だが、実はその存在を知る者からすれば、喉から手が出る程欲しがるモンでな。中には、ホンのひと欠片の情報でも戦争を仕掛けてくるイカれ野郎もいる。・・・だからこそ、俺達以外にその情報を知っている奴がいると困るのさ。」
男がパチンと指を鳴らす。
それを合図に、男の背後に控えていた四人の黒服の男達が、情報屋を取り囲む。
「テメェという人間は、最初からいなかった。筋書きとしては陳腐なもんさ。」
「・・・・・・つまり、初めから報酬を払うつもりはなかったと、そう言う事なんやな?」
「払うも何も、コレは俺達が集めた情報だ。他の人間なんていないんだよ!」
クハハハハハッ!と満足するまで笑うと、男は情報屋に背を向けたまま、自分の部下達に始末しろと命じた。
「これで、仕事は終わったな。後は叔父貴にこの情報を渡せば完璧―――――――――」
そうして男は口元に笑みを浮かべつつ、立ち止まらせていた足を動かそうとして、
「―――――――――に終わらせられると思うたか?」
「にぃ・・・!?」
突如何か重いモノが背後からのしかかって来たことにより、前のめりとなって地面に倒れ付してしまった。
「グゥッ・・・!?お、おい、お前等・・・!一体、どういうつもりだ・・・!?」
男は自身にのしかかって来たモノの正体を、背後に視線を向ける事で知る。
驚くべき事に男を組み伏させたのは、先程自分の指示で情報屋を始末するように命じた筈の四人の黒服達であった。
「何の真似だ、これは・・・!?殺されてぇのか、テメェ等・・・!」
男は黒服達に罵声を浴びせかけるのであったが、しかし彼等から返ってきた反応を見聞きして困惑するはめになってしまった。
『ワレワレハウチュウジンダ・・・!ワレラニクップクセヨ・・・!』
「はっ・・・?急に何訳分からない事を・・・。」
『腹ぁ減ったよぉ・・・!カツ丼、天丼、釜飯丼が食いてぇよぉ・・・!!』
「だから、一体何なんだ・・・!というか、何で丼ものばかり・・・!?」
『黙れぇい!この地べたを這い回るウジ虫め!軍人ならば上官の命令が絶対なのは当たり前だろうが!!』
「唐突な罵倒・・・!?そもそも俺は軍人じゃねぇ!」
『細胞分裂とは、1つの細胞が2個以上の娘細胞に分かれる現象のことで、核分裂とそれに引き続く細胞質分裂に分けられ、単細胞生物では細胞分裂が個体の増殖となり、多細胞生物では受精卵以後の発生に伴う細胞分裂によって細胞数が増える。それらは厳密な制御機構に裏打ちされており、・・・ああ、いい忘れていたがここはテストに出るから、しっかり覚えておくんだぞ。』
「組み敷きながら授業が始まった!?怖ェ・・・!?内容が理解できる分、余計怖ェ・・・!!」
淡々と。シクシクと。ガミガミと。ニヤニヤと。
四人の黒服達は、それぞれ異なる表情を男に向けながら話し掛けてくる。
そんなとってもカオスな状況にツッコミまくる男。
というか、そうして精神を保って置かないと、自分も彼等のようにおかしくなってしまうのではないかと、心の片隅で恐怖を感じていたからこそ、そのような反応を取っていた部分もあった。
「ざまぁみろ、と言うべきなんやろな、これは。」
そこに情報屋の声が聞こえてくる。
コツコツコツと靴音を鳴らしながら男の目の前にやって来ると、冷徹な視線でもって見下ろす。
「情報屋ァ・・・!?コイツはテメェの仕業か!一体何をしやがった!?」
「人の命を狙ってきた相手に、そう易々と答えを言うと思っとるんか?」
男は目の前にいる情報屋のことを見上げながら、体を起こそうとするのだが、未だ自身の上に黒服達が乗っていて、持ち上げる事すら出来ない。
情報屋はその様子を見ながら馬鹿にするように笑う。
「ホンマに馬鹿な真似をしたなぁ、兄さん。ウチ等の業界は信用が第一。誠意こそが大切で、裏切りはご法度なんやで。」
「身に染みたやろ?」と情報屋は言葉を溢しながら男の懐に手を伸ばして、仕舞われていたメモリチップが入った箱を取り出す。
「商談は決裂。これは返してもらうで。」
「なっ!?ふざけるなっ!?」
「いやいや、ふざけるなって、それは本来ウチがいう台詞の筈なんやけど・・・?」
「俺達を敵に回せばどうなるか、分かってんだろうなぁ!!」
「そもそも喧嘩を売ってきたんは、兄さんの方なんやけどなぁ・・・?まあでも、そのセリフはそのまま返させてもらうけどな。」
情報屋は白衣の内ポケットからスマホを取り出すと、通話ボタンを押してから男の耳元に寄せた。
『あん?どうしたんだ、サブ。お前、ヨシの奴を車で送迎するために、一緒に出掛けたんじゃなかったか?』
「・・・・・・ッ!?」
そして通話先から聞こえてくる声に、男は息を飲んだ。
聞こえてくる声はとても聞き覚えがある。
男の記憶が確かなら、その声の主は彼の上司であり、叔父貴と呼んでいる人物のもの。
それともう一つ。上司が口にした『サブ』という名前だが、こちらも覚えがある。
その名前は、男がこの廃工場に来る際に車で送迎をしてくれた舎弟の名前。
親しみが感じられる上司の声色から、そこに彼がいるのだろうと思い、しかしそれはおかしいとも感じた。
だってサブという名の自身の舎弟は、此処へ来て以降はずっと、廃工場にある表の駐車場で車に乗って待機している筈だったからだ。
なのに何故その名前が通話先から聞こえてくるのか。そう疑問を抱く時には、事態は崖から転がり落ちるかの様に急変していく。
『おい、サブ。その手に持っている物は何だ?玩具の銃なんか持ちやがって、なに遊んでやギャァァァアアアバババババババッ!?!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゲコッ。』
「――――――っ!?」
聞こえて来る悲鳴に、大量の脂汗を流しながら息を飲む男。
彼の意識はスマホから聞こえて来る声に集中していた。
同時に頭の中にはある思考が過ぎっていた。・・・・・・・・・ゲコッってなに?と。
『お、叔父貴!?今、叫び声が聞こえやしたが、一体何が・・・・・・?』
『・・・・・・お、叔父貴?』
「あ、兄貴・・・!?それに、もう一人はヤスの奴か・・・!?」
通話先でガチャリという音が聞こえ、それから男にとって聞き覚えのある二人の男の声が聞こえて来る。
一人は男が兄貴と呼んで慕っている人物。もう一人は自身の同僚であり、ヤスと呼ばれている人物のものであった。
『ゲコッ、ゲコゲコッ。』
『な、何やってんですかい、叔父貴・・・!?何でそんな、カエルみたいに屈んでいるです・・・?』
動揺する兄貴の声。そして、おそらく現場の状況を見たヤスが、サブが事態の犯人であると判断して詰め寄ろうとするのが声で分かった。
『そこに立っているのはサブか?おいコラ!これはテメェの仕業か!?叔父貴に何をしやアバババババババッ!?!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ニ゛ャア!』
『や、ヤスゥゥーーーッ!?』
「――――――ッ!?!?」
そしてヤスの悲鳴と兄貴の驚きの声がスマホから響き渡り、最後には野太いおっさんが出すような猫の鳴き声が聞こえて来た。
『や、ヤス・・・、お前まで・・・!?くそっ!サブ、この野郎!よくも裏切りやがったな!?この落とし前、きっちりつけてや――――――ババババババババッ!?!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アヒョン。』
「あ、兄貴まで・・・・・・!?」
続いて男が慕い、兄貴と呼んでいる人物の悲鳴が響き、鳴き声のようなものを残して一時静かになると、そこから男達の鳴き声のようなものが聞こえて来るようになった。
『ゲコッ、ゲコゲコッ、ゲコッ!』
『ニ゛ャァァアアア・・・、ニ゛ャアァ・・・。』
『アヒョンアヒョン。アッヒョン!』
三重奏となった三人の男達の声。現場の状況を電話越しで、声からしか推測出来ない男には詳しい事は分からなかったが、それでも通話先の事態を目の前にいる人物が作り出したという事は理解出来た。
・・・・・・最後の鳴き声だけ何の声か不明だが。
「て、テメェ、一体何をしやがった・・・!?」
「何って・・・、今のを聞いて分からへん?・・・・・・報復に決まっとるやろ。」
報復と言う言葉を聞いた男は焦った様子で情報屋に向かって声を荒げる。
「バ、バカな・・・!?お前を始末しようとしたのは俺の判断であって、組織の総意じゃ・・・・・・!?」
「ああ、そんな嘘を掴んでもええで、兄さん。ウチはぜーんぶ知っとる。」
「――――――ッ!?」
「兄さん達が欲しい情報が、ウチでないと得ることが出来ない代物であること。そしてその事が他所様に漏れるわけにはいかなかったという事。そしてその危険性を考えて、ウチから情報を手に入れたらその場で始末するように、兄さんが職場の上司から命令されている事。」
「・・・・・・な、なんで、知って・・・・・・・・・!?」
「ウチは情報屋やで。それも超一流のや。この程度の情報を手に入れる事なんて、ヘソで茶を沸かす事よりも簡単なこと。保身の為の行動やったんやと思うけど、兄さん達は打つべき手を間違えた。」
情報屋はにっこりと笑いながら懐に手を入れ、箱が入っていた方とは逆の白衣の内ポケットから奇妙な形の物を取り出した。
その形状は全体的に丸っこい形をした玩具の光線銃であった。
「な、何だよ、そいつは・・・。へ、へへ。そんな玩具でごっこ遊びでもするつもりか・・・?」
「ごっこ遊びとは言うてくれるなぁ。こいつは、ウチが兄さんの連れに持たせたものと同じものなんやで。」
「な、なんだと・・・・・・!?」
「つ~ま~り~、兄さんも、電話先の兄さんの上司たちと同じような目に遭ってもらうってこと。お分かり?」
「ま、待て・・・!待ってくれ・・・!?」
「待てと言われて待つ奴なんているわけないやん。・・・と言うか、ウチはきちんと口にした筈やで。ウチ等の業界は信用が第一。誠意こそが大切で、裏切りはご法度、と。」
その瞬間、情報屋の背後に幾つもの青白い炎が現れた。
それは薄暗い廃工場の中であることも相まって、まるで人魂の炎の様に男には見えていた。
そして情報屋がカチャリと玩具の光線銃の銃口を男に向けた途端、青白い炎は次々と光線銃に集まっていき、
「ほな、さようなら。お兄さん。」
青白い輝きを放ち始めたそれの引き金を、情報屋はうっすらと笑いながら躊躇なく引いた。
「あ、ああ、アアァァァァァアアアアアァァアアアアーーーッ!?!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワン!」
「はぁ~・・・、まったく。今回はホンマ骨折り損の草臥れ儲けやったなぁ」
情報屋は先ほどまで自身が取引を行っていた廃工場から出てくると、両腕を上にあげて大きく背伸びをする。
「最初に話を聞いた時は、高い報酬が出るいい仕事と思っとったんやけどなぁ」
はぁ・・・、と情報屋は溜め息を吐きながらガックリと肩を落とす。
「今回のお金が得られたら、念願のアレが買えると思うとったのにぃ・・・」と愚痴を溢すその様子からは、自身が得る筈であった報酬にとっても未練タラタラな様子が丸分かりであった。
「まあ、何時までも落ち込んどってもしゃあない。こんな時はあれや!自分の好きなモンで気分転換した方がええな!」
情報屋は肩にかけていた青いショルダーバッグの口を開き、手を入れる。
「ふんふんふふ~ん!・・・・・・・・・あれっ?」
しかし、そこで違和感を感じた。ショルダーバッグの中に入れた自身の手が感じるのは、表面はツルツルして、端の方に行くとペラペラとページが捲れるような感触。
「あ、あれ?おかしいなぁ・・・。アレが見当たらへん・・・。というか、なんやこれ?紙の感触しかせえへんのやけど・・・?」
情報屋が口にした通り、その感触はまるで紙にでも触っている様。
不思議に思ってショルダーバッグの口を大きく開き、中身を覗き込んでみると、そこで情報屋は驚愕の声を上げた。
「・・・あ、ああぁ・・・!無い!ウチのアレが無い!?な、なんでや・・・!?他のモンはしっかりあるのに、どうしてあれだけ・・・・・・!?」
バッグの中の真ん中のスペースには何かの資料と思われる数枚の紙が入っており、また端の方には折り畳み式双眼鏡や試験管のような物が入っているのが分かる。
一見すると、鞄の中にはそれら以外は入っていない様に見えるのだが、情報屋からすれば逆にそれらしか入っていないという事が驚愕に値する理由であった。
「おかしいなぁ・・・。ウチ、キチンとアレをバッグの中に仕舞った筈。昨日の昼まではちゃんと入っているのを確認していたんやけど・・・・・・・・・あっ!」
何故目的の物が入っていないのだろうと首を傾げていた情報屋であったが、そこでふと何かを思い出したのか、「もしかして・・・!?」と声を上げる。
「まさか、昨日の飲み会の時か・・・!?そういえばあの時、ブレちゃんと一緒に飲んどる時にバッグから一回アレを取り出しとる!そこから・・・、そこから・・・・・・、何処に仕舞ったんやっけ?」
腕を組みながら「う~ん・・・?」と唸り声を出しつつ首を傾げる情報屋であったが、結局自分が何処に探している物を仕舞ったのか思い出せなかったようで、頭を抱え始めた。
「ダ、ダメや・・・、何も思い出せん・・・!?」
目元に涙を浮かべ、「うぅ・・・。アレなかなか手に入らん秘蔵品だったんやけどなぁ・・・・・・」と、物悲しそうな声を溢しながらトボトボと歩く情報屋。
その背中は、とても言い様のない深い哀愁が感じられそうなものであった。
これで書き溜め分は終了です。
次回投稿はかなり間を空けます。
執筆状況的に、多分10日以上掛かると思います。




