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外伝ミッション1ー2 情報屋の館・・・!?

今回の話は前回と次回を繋ぐ合間のようなものです。

正直あまり長くはないです。


俺達は話し合いをしている暇などないとばかりに急いで玄関口から洋館の中へと入り、両開きの扉を閉めた。


「イイッ!」(こっちに(かんぬき)があるよ!)


「イーッ・・・!」(ソイツを寄越せっ・・・!)


戦闘員三号から(かんぬき)を発見したと聞いた戦闘員二号は、こちらに寄越せと手を伸ばす。

要請を聞いた戦闘員三号は急いで戦闘員二号に(かんぬき)を渡し、それを受け取った戦闘員二号は両開きの扉に取り付けられていた(かんぬき)を固定する留め具に置く。


「ヴォォォオオオッ・・・!」


扉を閂で固定した後、ドンドンドンッ!と扉が軋んだ音を立てるほどの力強さによって扉が叩かれる。

そのまま扉が開け破られるのかと心配そうに見る俺達であったが、しかしその予想に反し、少しすると扉が叩かれることはなくなり、その場は一時の静けさを取り戻す。

それからしばらく様子を見ていても再び扉が叩かれることはなく、また外に現れた筈のゾンビたちが館の中に入って来ない事を理解した俺達は、「はぁ~~っ・・・!」と安堵の息を吐いた。


「イ~、イーイー・・・。」(あ~、ビックリした・・・。)


「イッ。イー、イイー。イーイーイイイー。」(あの化け物。扉を壊さずに、すぐに立ち去った。どうやら、俺の推測は間違っていなかったみたいだな。)


「推測って、確信があったわけじゃなかったのか・・・?」


「イイイッ。イーイー。」(まるっきり無かったとは言わない。半分博打だったがな。)


そう答える戦闘員二号に、「博打かよ・・・!?」とツッコミを入れる。

それは、もし推測が間違っていたらどうなっていたかなど、言葉にしなくても分かるからこそであった。


「イイッ。イー、イイイッ。」(そういきり立つな。今はそれよりも、現状把握に努めようじゃないか。)


「後で覚えていろよ、二号・・・!」


戦闘員二号の飄々とした態度に、ぐぬぬっ・・・!と歯を食い縛るのだが、そのすぐ後に「はぁっ・・・」と、溜め息を一つ吐いて気持ちを切り換えた。


「状況確認をしよう。まず初めに、俺達は仕事という体で、ブレーバーの頼み事である忘れ物を届けに、情報屋である彼の人物の住居へとやって来た。」


俺は腕を組みつつ、ここまで来るに至った経緯を振り返りながら口にしていく。


「そして、いざ中に入ろうとすると、巨大な骨の手が戦闘員一号を洋館の中へと引き摺り込み、そのすぐ後に大量のゾンビと怪物が出現。俺達は急ぎ洋館の中へと避難した、と。・・・・・・なんか、一度口にしながら振り返ってみると誘導された感が凄いな。」


「イッ。イイーイー、イー。イイー?」(ですね。二号の推測どおり、どこか誘導された感じを受けますね。それで、これからどうします?)


「イイッ、イー。イーイーイー。」(どうするって、そりゃ決まってるだろう、三号。最優先目標はこの洋館からの脱出だ。)


「それと平行して、浚われた一号の救出だろうな。正直、今回は仕事の件は後回しにしたほうがいいだろうな。」


「イー。イイッ。」(ディーアルナ様の考えに賛同だ。命あっての物種だからな。)


「イー。イイッ、イー。」(僕も賛成。早く一号を見つけて、ここから出よう。)


三人で話し合い、満場一致で脱出するという内容で意見が纏まった。


「イイイッ。イーイー、イイイー。」(まずは出口となりそうな場所を探そう。脱出口が分かっていないと、無駄に迷う嵌めになりかねん。)


「イッ。イイーイー、イーイー。イイッ、イー。」(そうだね。こういう古い建築様式かつ大きな建物であれば、必ず何処かに裏口があるはずだよ。考えられる場所と言えば、キッチンとか裏庭に通じる道とか、かな。)


俺達はそれぞれ意見を出しつつ洋館内の探索を始めた。

俺達が現在いる一階部分には大きな玄関ホールが広がっており、上を見上げると、天井が三階分の吹き抜けの状態となっている。また視界の端の部分に通路と思われる出っ張りが見え、おそらく二階と三階に相当する場所を行き来する為の道なのだろうと思われる。

ホールの中央から奥にいくと左右対称の弧を描く二階への階段があり、その中央にある台座にはおそらくティラノサウルスの物と思われる骨格標本がドンと置かれていた。

さらに一階のホールを見回すと、ホールの左右にそれぞれ一つずつ洋館の奥へと繋がる通路があることを確認した俺達であったが、そこで困った事態に出くわした。

なんとその通路は、天井の床が崩れ、そこから落ちてきたと思われる大きな木材や石材の破片等によって通れない状態になっていたのだ。


「イッ・・・、イイッ。」(チッ・・・、道が途中で無くなってやがる。)


「イイッ。イー・・・。」(廊下の天井が崩れたみたいだね。上から落ちて来たベッドやタンス、何かの石材で廊下が完全に塞がれちゃって通れないや・・・。)


戦闘員二号は道が塞がれてしまっていることに悪態を一つ吐くと、ガチャリと電子ストレージからロケットランチャーを取り出し、塞がっている通路に向けて構える。


「イー?イイイー?」(どうする?この道を塞いでいる物を吹き飛ばすか?)


「イッ。イイイッ。イーイーイイーイー。イイッ、イイイー。」(待って。それは危険過ぎるよ。この洋館の経年劣化具合がどれ程進行しているか分からない。下手をしたら、その吹き飛ばした衝撃で洋館が崩壊するかもしれないよ。)


ロケットランチャーの発射体勢に入った戦闘員二号に対し、もしそれを撃てば衝撃で建物が崩れるかもしれないと、待ったを掛ける戦闘員三号。


「流石にあの小学校の時みたいな、生き埋めになりかける状況になるのは勘弁して欲しいし、ここは遠回りして、他に通れる道がないか探そう。」


「・・・・・・イイー。」(・・・・・・仕方ないか。)


彼等の話を聞いていた俺は、最終的に他の道を探そうと決定する。

それを聞いた戦闘員二号は「やれやれ・・・」と、言いたげな雰囲気を出しながら武器を納めてくれた。


「まずは一階をもう少し調べよう。いくつか部屋があるから、横の通路が通れなくてもそこから外に出られないか確認してみよう。」


俺は戦闘員達にそう指示を出すと、彼等を引き連れ、洋館一階の探索に動き出した。







◆ ~一階客室の間(正面玄関から見て右の扉)~


「イー・・・。イイッ。」(ここは・・・。どうやら客室のようだな。)


「イイイッ、イーイー。イーイイーイー、イー・・・?」(外から見た時も思ったけど、建築様式がヨーローッパとかにあるものに近いね。建てられたのはそんなに昔じゃないっぽいし、築五十年から百年の間くらいかな・・・?)


「十分昔では・・・?だが、ここには何もないなぁ・・・。ボロボロのベッドに戸が外れたタンス。洗面台もあるようだが壊れてしまっているし・・・。」


「イイイッ、イーイーイーイー。イイー・・・?」(状態を見る限りでは、人が住まなくなって相当の年月が経っている様に見えるね。本当にこんな所に情報屋が住んでいるのかな・・・?)


「イイイッ。イッ、イイッ?」(それを今疑問に思っても仕方がないだろう。それよりも、窓から出られそうか?)


「イッ・・・、イッ・・・!・・・・・・イー。イイッ、イー。イイイー。」(よっ・・・、ふんっ・・・!・・・・・・ダメみたい。外開きの木窓の様だけど、多分外から塞がれているみたいだ。うんともすんとも言わない。)


「壊したら、出られないか?」


「イー、イイッ、イー。」(僕もそれを思ったけど、ちょっとここの隙間から外を見てみて、ディーアルナ様。)


「・・・?・・・・・・げっ!?マジか・・・!さっきの怪物がいる・・・!」


「イイッ、イーイー。イーイイイー。」(様子を見る限り、どうも見回りをしている様に見えるな。ここで無理に出れば格好の餌食になるだろうな。)


「・・・・・・はぁ・・・、仕方ない。次に行こうか。」


◆ ~一階トイレ(正面玄関から見て右奥の扉)~


「ここは・・・、トイレか?」


「イー。イイー、イイイー。」(みたいだな。個室がいくつかあるから、おそらく共用のものだろう。)


「イ~・・・。イイッ。イー。イイイー。」(う~ん・・・。ダメだね。水が流れないや。多分水道が通っていないだと思う。)


「イーイー。イー。」(さすがにここを調べても何も出ないだろう。次へ行こう。)


◆ ~図書室(正面玄関から見て左の扉)~


「イッ・・・、イー?イイー・・・・・・。イイッ、イイイッ。」(ここは・・・、図書室か?結構な量の本棚があるな・・・・・・。天井が吹き抜けになっているし、多分部屋面積的に二階層分あるだろうな。)


「イーイイー。イイイー、イーイーイイー・・・。」(本棚に収められている本は少ないね。床に散乱している物もあるみたいだし、見る限りでは慌てて持ち出したみたいな印象を受けるなぁ・・・。)


「・・・・・・読めないな。年月が経過して、中の文字が滲んだり、掠れたりしている。」


「イイッ、イイーイー。イイイッ。」(奥まで行ってみたが、通り抜けられそうな場所はなさそうだ。それに、ここの木窓も開けられなかった。)


「イーイー、イイー、イイイーイー。イイイッ、イイーイーイーイイー・・・?」(二階部分に上がる階段の横に、中庭が見える小窓があったからちょっと見てみたけど、どうやら木窓の外から木板を打ち込んで固定しているみたいだね。見える限りの全部の部屋の窓がそうだから、多分見えていない他の木窓も同じように塞がれているんじゃないかな・・・?)


「中庭から外に出る道はあるか?」


「イイッ。イイイー、イーイイー。」(残念だけどないみたい。どうやらこの洋館の形は正四角形の形になっているみたいで、真ん中に中庭のスペースがあるという風になっているみたい。)


「そうか・・・。う~ん・・・。この洋館の形を考えると、もしかしたら俺達が入って来た正面玄関とは正反対の所に裏口的なモノがあるかもしれないなぁ・・・。」


「イッ。イイイッ、イイッ。」(それは十分にありそうだね。ここまでの広さで出入口が正面玄関だけってのは、さすがに色々と不便すぎるだろうから。)


◆ ~一階物置部屋(正面玄関から見て左奥の扉)~


「ここは物置部屋みたいだな。色々な物が置かれているみたいだけど・・・。なんか、どれもこれも物騒過ぎて怖いんですけど・・・・・・!?」


「イーイイー・・・。イッ、イイッ?・・・イー。イイー・・・!」(いくつかの拷問器具に・・・、これは等身大の悪魔像的なモノかな?・・・うん。かなり形が不気味だね・・・!)


「イー・・・。イイッ、イーイー、イイーイー。イッ、イイイッ。イーイイー。」(この拷問器具・・・、劣化具合からして、おそらくこの洋館が建てられてすぐに用意された物の様だが、何度か使用された形跡があるな。問題なく使えていた頃は、誰かを拷問する為に使用されていたんだろうな。ほら、そこに古い血痕が・・・・・・。)


「ヒィッ!?こここ怖い事言うなよ二号・・・!想像しちゃったじゃないか・・・!?」


「イイー、イー・・・。」(この部屋には外に出れそうな所はないみたいだし、他を探そっか・・・。)







玄関に隣接していた各部屋を見て回ってきた俺達は、再び玄関ホールへと戻って来ていた。

現在分かっているのは、この洋館は正四角形の形をしていて、建てられてから築五十年以上が経過しているということ。また推測ではあるが、もしかしたら洋館の正面玄関の反対には裏口があるかもしれないということ。そして最後に、一階にあるその裏側に向かう為の道が塞がっているということくらいであった。


「・・・・・・さて、とりあえず近場を調べて周って来た訳だけど、次はどうする?」


正面玄関ホールに戻ってきた後、俺は戦闘員二号と三号にこの後はどうするかと尋ねる。


「イー、イイー?イイイッ、イーイー。」(それなんだが、やっぱり一度洋館の裏側に行ってみないか?図書室でこの洋館が正四角形の形になっているという事は、多分二階や三階からも向こう側に行ける通路がある筈だ。)


「イッ。イー。イイッ、イイー。」(僕もそう思うよ、ディーアルナ様。それにまだ一号の事も見つけられていないから、多分ここ以外のどこかにいるんだと思う。)


戦闘員二号の主張に同意する戦闘員三号。


「俺も二人の意見に賛成だ。それに、下手に外に出て行こうとすれば、あの怪物もやって来るだろうしな。」


二人の意見に頷く。今現在分かっている事だけでは、明らかに情報不足であり、安全に脱出する方法も確立できていないからだ。


「イーイー、イイイーイー。イッ、イイッ、イイーイー。」(アイツの行動を見る限り、俺達をここに閉じ込めるようとしているのは間違いないと思う。じゃなきゃ、とっくに建物の中に突撃して、俺達に襲い掛かって来る筈だからな。)


「イッ。イイイッ。イイー。」(そうだね。多分何らかの目的意識を持って行動しているんだと思う。知性がなければ出来ない芸当だ。)


時折見かけていた怪物の行動を思いだしながらそう語る戦闘員二号と三号。

二人の話を聞いた俺は、「やっぱりそうなるよな・・・・・・。」と嫌そうな顔で溜め息を吐きつつ、洋館の二階を探索することを決めた。


「・・・はぁ。それじゃあ、二階の探索を開始しよう。目的は最初と変わらず、脱出路の確保と戦闘員一号の救出。・・・・・・異論は?」


「「イイー!」」(ありません!)


「よろしい。・・・・・・では、行くぞ・・・!」


俺達は全員の視線を二階への階段に向けると、その弧を描く大きな階段を一歩ずつ足を踏み出して上って行くのであった。





現在もう一つの作品の改訂作業を集中して行っており、ちょっとこちらの執筆が進んでいない状態の為、進行状況を考えて既に完成している分を10日ごとに投稿していきます。

続きの執筆は改訂作業が終わってからになると思います。

とりあえずは読者の皆様には変わらず楽しく読んで頂ければ幸いです。

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