第一話 プロローグ
『あなたの人生が変わった瞬間はいつですか?』
そう聞かれて即答できる人間はそう多くはないだろう。
だけど俺なら即答してしまうだろう。
『俺の十六歳の誕生日。あのダンボールを開けてしまったその時だ。』
これは俺と"奴ら"の信じられない様な物語………
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七月七日。今日は誕生日。
今年の春に高校生になった俺の十六歳の誕生日だ。
誕生日だからといって特別な事をしたわけでもない。短冊に願い事を書いたわけでもない。ごく普通にまったりと過ごしていた。
すると突然チャイムが鳴った。
『ピンポーン!』
普通の家庭なら父か母が出るのだろうか。
だが俺には父も母も居ない。祖母の話によると事故だったらしい。その祖母も高校の合格発表の次の日に亡くなってしまった。
だから俺は高校生をやりながらも家事をこなしている。
こんなスーパー男子高校生が俺の他にいるだろうか………
みたいなことを考えながら玄関に向かった。
そして玄関を開けるとそこに人の姿は無かった。七月にしては暑すぎる夜の空気が俺の体を包み込んだだけだった。
不意に違和感を感じて足下を見ると、そこにはダンボール箱が置いてあった。
一般的なサイズでごく普通のダンボール箱だと思った。送り主の名前がない、という所以外は。
普通の奴なら不審がって110番するとこだろう。けど俺は先程言ったように普通ではない。
ってことで開けることにした。
リビングに持っていっていざ開けるとなると何だか緊張した。
俺はテキトーに貼られたであろうガムテープを剥がしてその箱を開けた。
…………何も入って無かった。うん。
「ちっ、期待して損したか。」
そうして少しガッカリしてダンボール箱を潰そうとした時だった。
ダンボール箱の中が光始めたのだ。
「うわぁ!何だぁ!?」
俺のことなどお構い無しとダンボール箱は光を強めていった。
あまりに眩しすぎて俺は目を閉じた。
光が収まったのを感じて目を開けると、ダンボールがあった場所、というか我が家のテーブルの上に"何か"があるのが分かった。
そしてその"何か"は喋ったのだ。
「こんばんは。君を死神から護りにきたセレナだ。よろしくな。」
「………え?」