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想い出A 5月27日以降
「あのさ、平野」
「どうした?」
僕は最近早朝の川辺にいることが多い。平野ユヒトと会えるのはそこしかないから。
「どこにいつもいるの?」
平野はそうだねぇと少し考えて
「私はどこでもいるよ、うん。君が会いたいと思うときに私を呼んでくれ」
平野はそう言って笑った。僕らは手を重ねあった。
……僕は平野ユヒトが好きなのだろう。
朝の短いこの時間がとても好きだった。
「……三羽人、なぁ三羽人ー?」
「どうした?」
「どうしたも何も、ボーッとしてるから……どうかしたの?」
最近、三羽人の様子がおかしい。1人でボーッとしていることが多く、こちらから話しかけても返事がないことがたびたびある。
「いや、何でもないよ……」
言葉を濁らせた。何か、悩みがあるのだろうと確信した。
「……悩みがあるのなら言えよ?」
「あ、うん」
僕は三羽人のことが心配だった。
でも、いつもは普段通り生活しているからきっと大丈夫なのだろう。
「あ、そんなとこよりさ。今度カラオケ行こう?何人か誘って」
「いいよー、今週の日曜日は?」
「じゃあ、決定な。適当にクラスから人集めてくるわー」
よかった、いつもの三羽人だ。