現実B 5月12日
世の中にはもうほとんど減ってしまったが、妖精、悪魔、妖怪、魔物……総称して化け物と呼んでいるが
それらがいる。そして、それらを倒すためのハンターもハンターは大きく2つに別れていてその土地に住んで化け物を倒すものと旅をしてハンターをするものがいる。
俺の父親、母親は土地に住んでその土地でハンターをしていた。
幼いころにハンターの存在をしったが、俺はハンターにはならず普通に生活することにした。そして今高校生となり学生生活を謳歌している。
「ただいまー」
「あ、お帰り」
家に帰ると、俺は自分の部屋に入り眠った。
「んー、今何時だろ……」
時計を見ると8時だった。結構昼寝というか夕寝をしてしまったらしい。
「飯でも食うか」
俺は1階に降りようと、部屋に出たとき。
「バチンッ」
暗くなった。停電のようだ。俺は暗くなった階段をゆっくり歩いた。
「……停電してるけど、うちだけみたい」
リビングから母さんの声がした。どうやら父さんに話しかけているらしい。
「なら多分――」
父さんの声が途中で途切れた。その代わり、ザシュ、バチンッ、バッグ
という音が聞こえる。
「あなたっ」
俺がリビング入ろうとしたとき、目を塞がれた。一瞬だけ見えたのは、父さんの頭に刀が刺されるところだった。
母さんが目を塞いだらしい、そして俺の手を引っ張り俺を自室のクローゼットに閉じ込めた。
「このままだと、あなたも殺される。隠れておいて」
母さんを見たのはこれが最後だった。
そして、1階のほうから
「いやーぁ、ハンターっていうから強いんだろうなって想像してたけど……これは弱すぎるねぇ」
女子の声がした。そして、グチャァという肉が潰れる音も
「もう1人いるねぇー」
金属音が響く、そしてまた肉が潰れる音も
「……あー、あーそこの君」
俺はビクッとした。次に殺されるのは俺だ。
カタン、カタン、と階段を登っている音がする。
……俺は身をひそめる。そして、クローゼットのドアが開いた。
「君はハンターではないね、なら殺される心配はいらないさ。君は誰だい?」
「……三羽人、野菊三羽人」
俺はゆっくりと顔をあげた、返り血を浴びた女子がいた。刀を持っていて、不気味に笑ってる。
「そうか、私は平野ユヒトだ。まぁ、君とは会うことはないと思うけどね」
「……」
彼女は窓を開けると、飛び降りた。そして、庭を駆けて行った。
誰もいない部屋はとても怖かった。静寂だけがある、僕は携帯を取りだし電話をかけた。母さんと父さんの知り合いのとあるハンターに
「もしもし、三羽人です――」
暗い部屋の中自分の声が響く。俺は事情をすべて説明した。途中で電気がついた。
「……そうか、とりあえず家に行こう」
20分もせずに彼は来た。横には見慣れない女性がいる。
「三羽人君、久しぶりだね。とりあえず、片付けかは彼女が手伝ってくれる。だからこれからのことを話そう、いいね? 」
落ち着いて彼は話していた。
「私、三島奈汰よ。よろしくね。じゃあ片付けてくるから」
「すまないな、手伝ってもらって」
「いいのよ、そんなことより。ね」
奈汰は1階に降りて行った。俺らは2人になった。
「ハンターはハンターの武器または化け物に殺られたとき、砂になるっているのは知っているかい?」
「いえ、初耳です」
彼はそうか、と言って話を続けた。
「つまり、彼らの遺体はない。だから、表向きでは私が問題ないようにどうにかしよう。君は今まで通り過ごすんだ、いいね?」
「はい」
いきなり過ぎる両親の死。さっきまで夕飯の支度をしていたであろう母。帰ってTVを見てた父。
あの日常は、存在しなくなったという事実を受け入れるにはまだ時間が必要だった。
これからは誰もいない場所で生活するのかと思うと気が重い。
「終わったよ、全部」
奈汰が2階へ上がってきた。
「あ、ありがとうございます」
俺はお礼を言った。
「いや、いいよ。あのさ、うちら一応ここ泊まってもいいかな?まだ、調べたいし……平野ユヒトについてもわからないことが多すぎる」
「あ、大丈夫ですけど。寝る場所は……?」
奈汰は笑って
「床の上でもいいくらいよ。まぁリビングのソファーで借りるから」
「俺は、毛布借りてリビングで寝る。……とりあえず、しばらく起きているから何かあったら呼んでくれ」
そう言って下に降りて行った。電気を消して俺はただ眠れずに窓の外を見ていた。
「……平野ユヒト」
俺の前で両親を殺し逃げた奴、許さない……日常を消した奴……許さない……絶対に報復すると心に誓った。