逃走中 6月10日
「もしもし、龍?」
私は平野と愛結を乗せてひたすら運転していた。目指しているのは海沿いにある、私の実家だ。
そして、今龍から電話がきた。今、音量を上げてスピーカーモードにして愛結に携帯をもたせてる。
「やぁ?奈汰……今の状況、説明してもらおうか」
そうか、龍には事実を説明してない。つまり、私も敵と見なされる。
「龍、これからいうことをよくきいて。平野ユヒトを殺してはいけない。少なくとも殺すには早いわ」
『どういうことだ?』
「平野ユヒトは化け物。ただし、殺せば殺すほど強くなる化け物。同じ種族を殺すことによって力を得る」
龍はほぅ、と言った。
「三羽人の両親は化け物だったみたいね、突然変異タイプの」
『だからなんだ?殺すなと?化け物なんだろ?』
「そうね、でも。そのタイプのハンターは珍しいわよ。つまりね、まだ研究段階なのよ。上手くいけば、もっと効率的にかつ安全に化け物を倒せるわ」
『なるほど、それでかばったわけか。わかった、攻撃は中止しよう。あと、本人から話もきく。どこにいけばいい?』
「私の実家そこにいるわ、ほかのハンターにも言ってちょうだい」
『了解』
「あと。手大丈夫?」
『あぁ、何とかな。気にすんな』
「ごめん」
私は携帯を切った。実家はもう、見えていた。
「着いたわ」
平野ユヒトは寝ているようだ。私は車を止め両親に手伝ってもらい平野を自室まで運んだ。
「あの、平野は?」
愛結が心配そうだった。
「大丈夫、包帯まくだけよ」
そう言ってドアをしめた。
「ねぇ、平野」
私はベッドに横たわった平野にたずねる。
「どうして、愛結を助けたの?」
「……何でだと思う?」
「わからない」
私は平野に包帯を巻きながらきく。
「たまたまなんだ、助けたのは。それで、アイツ私に惚れたみたいでさ。朝4時とか川辺に行くんだよ。本当にわずかしか会えないけど。最初は興味なんてなかった。でも、こんなに想われること初めてなんだ」
「どうすればいいか、わかんない?」
私はきく。 平野は首をふった。
「いや、もう決まってる。ただ、アイツは人間だ。本当は関わったらダメなんだ」
「そうかな……確かに平野は化け物だけど、愛結にとっては心から大事な人でしょう?それなら、迷っているうちにはその気持ちに答えてあげたら?」
私は平野のほうをじっと見た。
「……そうだな」
平野は平野自身で迷っているようだ。平野はこの部屋の窓から見れる海をみていた。
日にあたってキラキラと反射する。
「綺麗」
すぅっと、風が吹き抜ける。暖かい、いい風だ。
「終わったよ」
「あぁ、ありがとう」
車のエンジンの音、龍の車だ。
私は平野をおいて部屋を出た。
「龍ー」
龍はもう家の中に入っていた。
「やぁ、久しぶりだね。龍君」
私の父親と龍が話していた。
「お久しぶりです。あ、奈汰」
「平野は寝かせてあるわ、ごめん。席はずしてもらえるかしら?」
私は父親に言う、父は席をはずしてくれた。
「これからどうすんだ」
私はため息をついた。
「とりあえず、平野ユヒトは放置。これ以上何かしてもよくないわ」
龍はそうか……と言って黙り混む。
「……平野ユヒトに毒のついたナイフを刺したあと私も自分が毒を食らったようになった。解毒剤を飲んではじめてなおったわ……つまりね、平野ユヒトに攻撃したら跳ね返ってしまう」
「……平野ユヒトに攻撃をくわえること自体、もうやめておくべきか」
「それどころか、平野ユヒトを敵にまわしたらハンター全滅よ……」
私達はうなずいた。
「平野ユヒトはとりあえず、私達のそばにいたほうがいいと思うの。だから――」




