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初めてのキス

 しばらく抱き合った後、僕達は洞くつへと戻った。

 やっぱり横四方固めで運んであげるのだ。

 洞くつに着いたので降ろしてあげる。

 

 松崎さんは眠っていたようだ。

 遅くなって心配させてしまったかと思ったが、眠っていてくれて助かった。


 夕見さんを松崎さんの側にそっと寝かせて、木の実を割る作業に取り掛かる。

 パリッ、パリッ。


 途中で夕見さんに見線を向けると、恥ずかしそうに体を震わせる。

 そして……隠そうともせずに扇情的な視線を向けてくれる。

 あれ? カッコイイ女性だと思っていたけれど、なんだかかわいく見えるゾ。

 

 夕見さんが教えてくれた通り、ハリガネを押し当てて地面に叩きつける。

 木の実を割って、手で取り、1つずつ夕見さんの口へ運ぶ。

 おっと、寝たままだった。

 右手で背中に手をまわし、体を起こさせてあげる。

 背中に触れる右手が、ひんやりと心地よい温かみをくれる。

 左手で木の実を口に入れると嬉しそうに顔をくしゃくしゃにして喜んでくれた。

 うれしいなぁ。


 もう動けるんじゃないかとも思ったが食べさせてあげた。

 なぜかって?

 そぅ、僕がそうしかったからだ。

 夕見さんも嫌がってないし、いい、はずだ。

 大丈夫だ、問題ない。

 すっかり朝ごはんを食べ損ねてしまったからか、勢いよく食べてくれる。

 木の実の割りがいがあるというものだ。

 でもこれって結構重労働なのよね。


 割る時に僕のあそこが揺れるが、全っ然うれしくない。

 僕としては、目の前で木の実を割って見せてほしい。

 頼んだらやってくれるのかな。

 前は無理だったけれど今なら……。

 目の前でぷるんと揺れる胸、いいだろうなぁ。


 割って、口に運ぶ動作を何度も繰り返す、租借している間は、至近距離で見つめあう。

 青い瞳の奥に、僕の顔が見える。

 あんなことがあったからか、もうすっかり心を開いてくれているようだ。

 ステータスも見れたしね。

 もしかして、心に壁があるとステータスが見れないのだろうか。

 壁がなくなったからステータスが見れるようになった?

 ならば、松崎さんのステータスを見るためには心の壁をはずさないといけないのか、大変そうだ。

 でもね、でも、意外とあっさり出来ちゃったりして、ははは、まさかな。


 ぼーっとしながら口に木の実を運ぶと、

人差し指と親指で掴んで、そのまま僕の唇へと動かし、人差し指が唇に触れた。

 僕の唇に触れる人差し指が離れる瞬間、他の指が僕のあごにかすかに触れた。

 ああ、微かに触れるのってなんだかゾクゾクする。

 そのまま人差し指を口に加えて直行してしまいたいのだが、それでは松崎さんが逃げてしまうだろう。


「もう、いいの?」

 ぐっとこらえて笑いかける。

「えぇ、木の実、すごくおいしかったわ」

 どうやら満足頂けたようだ。

 お腹一杯になったようなので再び寝かせて、自分で食べることにした。

 夕見さんが口に入れてくれた木の実は、いままでのものにくらべて特別おいしいと感じた。


 夕見さんの木の実を大切にかみしめながら、ひたすら木の実を割り続ける。

 自分の分と松崎さんの木の実を割り終えて、夕見さんをみると、どうやら眠ったようだ。

「おやすみ、夕見さん」

 立ち上がり、眠った夕見さんのおでこに手を当てる。

 熱はだいぶ下がったようだ。


 座りなおして、食事にする。

 すると、夕見さんが起きている間は見ない様にしていた、大きな胸が視界に入る。


 手を広げて眠る松崎さんを眺めながら、自分の分を食べる。

 少しして松崎さんが起きた。

 あ、目があったかも。

 急に目を開けるからドキッとしちゃったじゃないか。

 心臓が止まるかと思ったよ。

 


「お、おはよう」

 すこしドモってしまった。

「……おはよ」

 なにやら口を開くまでに間があったが気にしないでおこう。


 いまは、昼過ぎかな。

 よく寝たから、風邪もすぐに治るだろう。

 起きても、大きなお胸を露わにして横たわっている。

 うん、何度見ても飽きない。


 松崎さんは、気が付いていないのか、気が付いているけど気を許しているのか分からない動作で立ち上がった。

 ん? もう立ち上がって大丈夫なのか……。


 どうせ気がついていないんだろうなぁと思いながら、洞くつを出ていこうとする松崎さんの姿を眺める。

 歩くたびに揺れるお尻が……あっ、あんなところにホクロがあるよ。

 斜め下から見る機会なんてなかったから分からなかったけど、お尻の下に小さなホクロがあった。

 キュートなお尻にアクセントが、すばらしい。

 

 どこに行くのかな?

 きっとトイレだろう。

 夕見さんのおかげで予習済みだ。

 いつでもこーい。

 野球のキャッチャーよろしくの受け止めるポーズをとる。

 だけど、うん。

 僕の出る幕じゃなかった。

 十分休んで動けるようになったらしいので……、1人で歩けるため……、僕の出番はなかったようだ。


 お父さん、さびしいよ。

 独り立ちしていく娘を送り出す父親の気持ちで、松崎さんの姿が見えなくなるまで見つめた。


 松崎さんが出て行ったあと、1人腕を組みながら考える。

 松崎さんの体のことだ。

 お胸のことを考えたいのだが、今はそっちじゃない。


 ん~、松崎さんの体も洗ったほうがいいのかな。

 そろそろ洗いたいだろうし。

 う、どうしよう。

 こういうのは、言ってくるまで待つか、汚れてしまって仕方なくというスタンスのほうがいいのだろうか。

 ここは待ったほうが安全だろう。

 夕見さんもそうだったからね。

 考えていると、松崎さんが戻ってきた。

 


 松崎さんに木の実を食べさせる。

 ごめんなさい。

 僕が悪かったです。

 食べさせてあげようとしたところ、口を開けてくれるまでは良かったんだが、

つまんで口に入れる寸前で、食べさせてもらう必要がないことに気がついたらしく断念せざる負えなかった。


 1人で食べられるというので、割った木の実を渡した。

 ちなみに綺麗な葉っぱが3枚あって、2枚使用したので1枚余っていたんだ。

 よほどおいしいのか涙目でぅぅ~ぅぅ~うなっている。

 なにこれかわいい。


 そのあと、水が欲しいようだったので、左手の人差し指をなめさせてあげた。

 でる量が少なすぎるので、40分ほど舐めてようやくコップ1杯だ。

  

 口の中で動く舌が、いやらしい音を放っている。

 あ、ちゃんと洗ったからね!

 ハリガネが刺さった部分はもうふさがっている。

 痛くはないがカサブタをはがされたら痛いだろう。

 僕は水をペロペロしているのをよそに、大きなお胸を眺めてる。

 うん、大は小を兼ねるというが、やはりすばらしい。

 呼吸とともに上下する胸が迫力を物語っている。

 しばらくそのままでいると咬まれてしまった。

「ぁぐ」

 イタイ……。

 やっと治りかけのカサブタの外側が少しはがれてしまった。

 まったく、容赦がないでござるよ。

 

 左手をさすりながら、優しい温かさをくれるたき火に近付き、火を絶やさない様に小枝をいれようとした。

 小枝を、と思ったがストックがほとんどない。

 このままでは火が消えてしまう。

 小枝や、やや太めの木のストックが切れかけていたので集めに出かけることにした。

「松崎さん、小枝がもうほとんどないから集めてくるよ」

「うん……」

 そう言って松崎さんは、少し間をあけて眠る夕見さんを見た。

 ちょっと匂いが気になったのかな。

 入念に洗ったつもりだったんだが。

 出ていく中で、もっと入念に洗っていてもよかったかなと少し後悔した。

 

 1時間ほどで木の枝を拾い終わり両手いっぱいに持って戻った。

 これだけあれば当分はいいだろう。


 二人を起さない様にそっと洞くつへ入る。

 火の明かりで、何者かが洞くつ内へと侵入したと勘違いした夕見さんが、木の棒で殴りかかってきた。

 木の棒というのは焚き火用に拾ったが、丈夫そうでちょっと長かったため、使用せずに取っておいたものだ。

「わわわ、僕だよ、結原」

 あわてて僕だということをつたえる。

 気がついたのか、振りかざす木の棒を止めてくれた。

 あ、危なかった。


 洞くつに戻ると二人とも起きていたようだ。

 寝ていると思って何も言わずに戻ったために、少し驚かせてしまったようだ。

 

「た、ただいま」

「どこへ行っていたの?」

 少し表情を変えながら夕見さんが木の棒を壁に立てかけた。

 夕見さんが寝ていたときに出かけたので、分からなかったみたいだ。


「木の枝を拾ってたんだよ。 もうあまり残ってなかったから」

「そぅ、ごめんなさい」

「……おかえり」

 夕見さんが謝ると松崎さんが挨拶をしてくれた。


 洞くつにはいって驚いたが、木の枝を数本落としただけだ。

 むろん、僕の両手は木の枝達でふさがっている。

 夕見さんはもう気にしていないようなので、怒られる心配はない。

 風邪をひいたことで緩んでいるのかもしれないが。 


 いままで注意するのが夕見さんだったので、ツッコミにお許しが出た今日こんにちでは、堂々としていられるのだ。

 もう、恐れるものは何もない!

 松崎さんは戸惑ってこそいるが、何をいうでもない。


 拾ってきた木の枝等を隅へおろす。

「おはよう」

 もう夕方だけど、結構寝ていたし、おはようでいいだろう。

「えぇ、おはよう」

「おはよ」

 松崎さんも起きていたんだけれど、おはようを返してくれる。


 そういえば二人とも咳がない。

「もう、風邪は平気?」

 

「ええ、おかげで治ったみたい」

「平気、みたい」

「良かった」

「「ありがとう」」

 二人して感謝の言葉を述べる。

 

 そのまま木の枝を何個かとって火に近付く。

 その際、ばったり夕見さんと目があった。

 

 夕見さんは、いままで隠していた体をまったく隠そうともせずにこちらに体を向けている。

 火あかりに照らされて、小ぶりの胸がぷるんと震えている。

 まだ少し臭う髪を気にしているようだ。


 弱っていく火に木の枝を入れるのを忘れて、二人で見つめあってしまっていた。


「うん……」

 松崎さんが顔をしかめて夕見さんに耳打ちする。

 

「遥ちゃん、隠さないとっ、結原君みてるよ」


「もう、いいのよ、めぐみ」

「えっ?」

「それって、どういう……」

「私達、付き合うことにしたの」

 付き合うとまでは言ってないのだが、まぁいいか。

 他の誰かに持ってかれたくはないし、夕見さんが彼女なら申し分ない。

 むしろ、こちらからお願いしたいくらいだ。


「えっ、それって、どういう……私、もう寝るね!」

 松崎さんは何やら怒って寝てしまった。

 あれ? さっき起きたんじゃなかったろうか。


 すぅ~すぅ~。

 ……本当に寝てしまった。


 松崎さんが寝てしまったので、夕見さんと再び見つめあい、抱き合った。

 つめたい肌が熱を帯びる。

 夕見さんの指の先が僕の背中をすぅ~となでる感覚に時をわすれそうになる。

 ぬくもりを感じあったまま、僕たちは唇を重ねた。


 このあとも夕見さんの髪を水魔法で洗ったんだけど、なかなか取れないようだ。

 シャンプーや石鹼が恋しい。


 外で雨の音がする中、僕達は抱き合って眠った。


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