2+前世の記憶に。
今度は、運命を感じるスーパーラブストーリー。ファンタジックなお話ですが、何故か、そこが重要になってくる。
ソウル・メイト。貴方は、この言葉を知っているであろうか?これは、前世からずっと結ばれているいわば、『運命の赤い糸』の様なもの。これのタイプは三つあり、『殺しに来る者』『助ける者』『真の恋人』が、居る。貴方は、この物語を読んで、幼い自分を、もっともっと大人に出来るはず。
秀學館高等学校。2ーJ。私は、寒い冬空を眺めながら、数学の宿題をとっとと終わらせていた。おっと、遅れました。私は、山名 唯。いつも冬になると、鬱々してしまう。何故だか知らないが、毎年、毎年、鬱々するのだ。今年は、最高に鬱々している。それから、鬱々するのは、毎度の事なのだが、その気持ちと同時に、不思議な気持ちになる。その感覚が、今年は、もっともっとはっきりしている。今年は、何故だろう?
「ゆい、ゆい、ゆーいっ!!」
友達が、呼んでいるのに、遅れて反応する。
「ん?」
「あのさ、ここ、分からないんだけど。」
「どれどれ。」
別に、成績は良くないのだが、理解をしているので、教えられない事はない。しかし、今は、6限目の自習中。ちょっとの音でも、この教室に響く。強烈な受験戦争に勝ち抜いてきた者がこの学校にいる。偏差値が、当たり前に60以上じゃないと受からない。そんな人達だから、集中力が物凄いらしくて、こうやって、教えていると...。
「そこ、自習は、自分でやるモノでしょ?自分で考えなさい。山名さんも、簡単に教えないの!」
「はぁい。」
学級長が注意をした。
「チッ。自分で考えても無理だから、聞いてるんじゃん。サイアク〜。」
小声で、ブーイングして、また元に戻る。それを何度か繰り返して行くと、あっという間に自習が終わる。
今日は、補習もなく、すんなり帰れた。いつも友達と寄り道して帰って行く様な事はしない。私は、一人でいる時間が好き。だから、今日も、こうやって本屋に立ち寄る。ここは、大きなビルで、1階から5階まで、全て本で埋め尽くされた、オシャレな本屋。いつもの様に、立ち読みにかかる。
「まだ読みかけなのよね。どうしよう、買っちゃおうかな。」
私は、立ち読みをし尽くして、『面白い』と思った物だけを買って、家に帰って3回は読む。今日は、何となく気分が乗らなかった。3分で1ページのペースも、何故か、今日は...
「やーめた。帰ろう。」
私は、本を棚に戻した。変な気分。やっぱり、今日はテンションひっくいなぁ。
私は、商店街を通った。すると、人混みをかきわけて、一人の男子が走ってくる。多分、高校は違うが、同じ高校生だろう。(制服着てたから。) チャリ―ン...
「あ。」
私の、髪留めが、地面に落ちた。それを拾い、立ち上がった瞬間...
「うあっ。」
「ああっ!」
ドンと、音がして、彼とぶつかった。地面に落ちる私。
「すみまない。」
とっさに彼が謝ってきた。私は、制服の土を払った。変なモノを見る様な目線で、人々が、一瞬止まって、過ぎて行った。
「こちらこそ、すみま...。」
私は、一瞬息を呑んだ。驚いたからだ。普通、恋愛のパターンで行けば、『カッコイイ』と思ったり、『ドキッ...』などと感想をもらすのだが、まぁ、『ドキッ』とはしたが、違う意味だ。走って来たのは見えたものの、誰か、なんて確認できていない。そのぶつかった相手は、中学時代の先輩。ちなみに、仲が、悪かった。今更だが、『謝るんじゃなかった!』と、思った。
「久しぶり。」
「お久しぶりです。」
それだけ言って、過ぎ去ろうとした瞬間、さっと腕を捕まえられて、軽く引き戻された。
「なんでしょう?」(やや睨みながら)
「あのさ、今日、これからヒマ?」
確かに、予定がなくってものすんごくヒマなんですが、嘘をついて、
「いいえ。これから用事があるんですけど。」
と、なるべく声を荒立てない様にしながら答えた。すると、相手はあきらめると、おもいきや、
「来い。勝手だが、お前しか、今つれる奴がおらんのだ。」
と、一言。
「え?はぁ?えちょっと。にゃあああああ!!!!」
そのまま腕を掴まれたまま走った。店と人が線の様に見える。
「は、離して下さい!」
私は、腕を振って抵抗するのだが、さすがに強い。止まろうとしても、自然に足が動いて、どんどんどんどん、前に前に進んでゆく...。そして、人が全くいない脇道に入り、そこの止めてあった車のドアが、タイミング良く開く。そして、私は押し込められて、そのまま車が発進。今、私の脳裏をよぎるのは、『犯罪?!』『誘拐!?』『殺人?!』『拉致られたぁ!?』...
「大人しくしとけば、何もしない。」
「もうしてるじゃないですか!!!」
私は、押さえる手を振払って、運転手を殴ろうとしたが、もっと強く引き戻された。
「大丈夫、落ち着け。」
厳しい表情で私を見つめる。車の後部座席で私は下、先輩が上と言う状態で言われた。足で思いっきり蹴りあげようとしたら、さっと押さえられた。
「話だけ聞きますから、普通に座らせて下さい。」
なんか、妙なドキドキ感に襲われて、体制を普通にしろと言った。すると、すんなり退いてもらえた。
「えー、まず、俺がやってる事はなんなのか言う。」
心の中で『犯罪。』と言う。
「元に戻る方法だ。」
心の中で『はぁ?』と言う。
「普通の人間になる方法。わかんねぇよな?」
心の中で『もちろん分かりません。早く降ろせよ、ゴルァ(怒)』と言う。
「なんとか言えよ。」
「わかりません。全く、ぜんぜん。」(不満げに。)
軽く舌を鳴らすと、相手も不満を持った様に答えた。
「こうなってしまうからだ。」
そういった瞬間、目の前に起こった事が、信じられなかった。ヒトではなく、彼は、ライオンになっていた。今にも私の喉を引きちぎる様に口を大きく開けて、私の頭に顔を近付けた。
「ぅぁぁ。。。」
小さく私は、声を上げて、顔を強張らせた。すると、ふっとライオンが歪み、いつものヒトに戻っていた。
「こうなるんで。戻して頂きたい。」
「...はぃ....。」