1+サンタ・クロースからのプレゼント
さえない。と、いうか、積極的に行けないイケメンの主人公。毎年送る寂しいクリスマス。。さてどうなる今年こそ...!!
今年もやってきた。この全世界を探しても、きっと俺以上にこのクリスマスを寂しく過ごす奴はいないだろう。だからと言って、好きな奴がいないわけじゃねぇ。同じ大学に通う、東城友紀乃。学園一の美人だ。毎年毎年、俺はいつものケーキショップでサンタの着ぐるみを着て、寒さにたえながら『いらっしゃーい』なんて言っている。。この気ぐるみを着てたら、よく同年代らしき可愛いコに、抱き着かれて、『きゃーっかわいいー、サンタさん、写メ撮ろー。』と、言われるのだが、中身に入っている本当の姿を見たらどうなるんだろ...。明日はクリスマスイウ゛。日本人は、本命のクリスマスより、イウ゛の方を大切にするらしい。
「こんにちはー。」
ケーキショップにまた来て、サンタになる。
「よう。サンタ。今日はやっぱりくる人少ないねー。25日まで、休暇撮る女の子がいっぱいでさぁこっちは店の売り上げが目まぐるしいって言うのにね〜。」
「は、はぁ。」
日本語の表現がちょいとおかしいこの店の店長が言う。確かに、毎年ここのくる度に思うのだが、パティシエの女の子以外はほとんど休んでしまう。ただでさえ俺がサンタの格好なんてしなくとも売れる人気のケーキショップで、大変だと言うのに、彼氏や友人のためにこの3日間をすんなり休むなんぞ、なんたる事か!と、思う。そんなふうにまた今日も忙しく過ごしていた。夕方の一山を超えたら、休憩をする。30分程だが、疲れで爆睡する。20分後に目を覚まし、少し動いてから、またサンタになる。でも今日は、疲れのせいか、眠気がなかなかとれない。しかし、表に出て、客を集めていると、思わぬ事が目に飛び込んできた。
「と...っ...東城 友紀乃...!」
小さい声をあげた。そして、一気に目が覚めた。彼女は、泣いていた。そして、サンタの俺を見て、走り去って行った。まるで、中身の俺を見る様に。澄んだ瞳で、睨んだ感じ。でも、強くて、とても哀しい瞳だった。
別に、俺は自分で言うのもなんだが、不細工ではない。イケメンサイドで、馬鹿ではない。まあ、大学が、東X大学と、言う時点で分かるが。しかし、魅力と積極性がないようだ。仕方ないだろう。この世で一番苦手なのは、女なんだから。しかし、それにしても、今日の東城の顔は忘れられない。俺は、ベットの中で、彼女が何故泣き、何故俺を見たのか、問った。
「ま、サンタの格好だったからな。」
俺は、悲しく開き直って、寝てしまった。