光と影
舞台は2060年の新日本連邦と呼ばれる国。
そこではAIが社会を管理し、
人々は「最適な人生」を与えられている。
離島に暮らす少女ジョアンは、
裕福な家庭に生まれ、何一つ不自由を感じたことがなかった。
欲しいものはいつでも手に入り、輝かしい未来も約束されている。
それでも、どこか満たされない毎日をおくっていた。
そんなある日、彼女は知ってしまう。
この国の本当の姿を…。
ー「最適化された幸福」それは、本当の自由と呼べるのだろうか。ー
2060年、日本は静かだった。
人口は8700万人を下回り、その4割が65歳以上。
自治体は統合され、47あった都道府県は23の地区に再編された。
無駄は削られ、効率は上がり、犯罪は減った。
国は、かつてないほど“安定”していた。
行政の多くはAIによって最適化され、
政策は感情ではなくデータで決定された。
首相は20年以上変わらない。
失言も、汚職も、ない。
国民の支持率は高く、誰もが、こう言った。
「この時代が一番幸せだ」と。
選択肢が減ることは、負担が減ることでもある。
住むエリアは世帯収入によってランク分けされ、
仕事は政府が作った適性分析診断が決める。
購買履歴が幸福度を予測し次に何を買うべきか消費者に提示する。
人々は、自分に最適化された情報の中だけで生きる。
それは管理ではない。
“合理化”だと説明された。
そして多くの人が、それを受け入れた。
しかし、
もし影が光を知り、
光が影に出会う時、
この静かな国は、揺らぎ始める。




