お弁当でわかる!? 仲良し兄妹!
「なぁ」
「なぁに? お兄ちゃん」
「キャラ弁作ってやるよ」
「キャラ弁!? なに、急に」
キャラ弁なんて作りそうもないキャラな兄を、妹は不審の目で見つめた。
「友達がキャラ弁作って動画サイトにアップしててさ。家族や友達が作ったキャラ弁もアップしたいってことで俺も協力することになってな」
「ふぅん、そうなんだ」
「それで、お前に作ってやろうってことになったわけ」
「絶対、変なの作る気でしょ?」
「そんなことないって。今回の動画のコンセプトは感動だから」
「凄いの作ってくれたら感動するかも。でも、お弁当作ったこともないよね? 作れる?」
「任せとけ。それでさ、お前も作ってくれない?」
「私も?」
「うん。兄妹がお互いに作る動画のほうが感動するだろうし、な?」
「作ったことないんだけどな……」
自信のない眼差しを向ける妹に対し兄は笑った。
「お前には無理かぁ。お弁当も作ったことないしな」
「あるし、お兄ちゃんより上手に作る自信あるけど?」
「じゃあ、作ってくれよ」
「いいよ!」
「ありがと! バズればいいけどなー、あ、キャラ弁は動画で見せ合うことにするから。それまで、中身は内緒な」
「うん、わかった。内緒ね」
兄が部屋を出ると妹はさっそく、ネットでキャラ弁を検索した。
「色々あるなぁ。漫画キャラのなんてクオリティ凄い! 無理かな……あ、動物のキャラ弁が可愛いなぁ」
一つのキャラ弁が目に留まった。
「シマエナガのキャラ弁! 可愛い!」
シマエナガ――通称雪の妖精、もふもふまんまる、つぶらな瞳の可愛い小鳥!
「今、冬だし、おにぎりで形作って海苔で目とクチバシと翼つけるだけで簡単だし……これにしよう!」
妹のキャラ弁が決まった頃、兄もネットでキャラ弁を検索していた。
「俺としては、劇画タッチの漫画キャラを海苔を駆使して作るクオリティ高いのにしたいんだが。妹に作るキャラ弁だからな、可愛いのにしてやろう。優しいお兄ちゃんだなぁ」
可愛いキャラ弁の中の一つが目に留まった。
「シマエナガ! これにするか。可愛いし、冬の鳥ってのが季節感があって良いよな。簡単そうだし……いや、簡単そうなほど難しいんだよ。よし!」
シマエナガのキャラ弁を交換した動画は仲良すぎ兄妹! とコメントが殺到し見事バズった。
「凄く恥ずかしいんだけど、ありがとね。お兄ちゃん」
「凄く恥ずかしいけど、嬉しいよ。バズったし。ありがとな」
兄と妹は嬉し恥ずかしい気持ちとともに感動をともにすることができた!