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飴喰い少女と音楽教師

私は昔から、音楽が大好きだった。

そのため、放課後は音楽室に入り浸っていた。


「先生、今日も来たよ!」


「ははっ、本当によく来るね。」


"京極 那谷"先生。

音楽担当の教師で歌が上手いし楽器も弾ける、音楽に愛された天才なんです!

そして、私の憧れだ。


「そういえば詩音ちゃん。曲、出来た?」


「はい!!けど、どこか...うーんって思うんですよね...。」


私は作詞作曲を最近やっている。

あれのせいで、最近は頭の周りが早い。

何事も出来てしまうのだ。


「...むぐ。」


「また飴?」


「あっ...はい...!」


「虫歯にならない程度だからね。」


「は、はーい...!」


私は甘い物ばっかり食べる。

じゃないと、死んでしまうから。


「先生。」


「何?」


「先生は私が奇病者でも、また今みたいに話してくれます?」


「...うん。」


「...先生は優しいですね。」


私は奇病者だった。


「私の奇病の名前は飴喰病。一生甘い物を食べないと、死んでしまうんです。」


「だからいつも飴ばっかり食べて...。」


「そうです。ちなみに、甘い物以外を食べると、脳死します。」


「脳死!?」


私も最初は嘘だと思っていた。

けど、同じ奇病になった人が、そうして死んだらしい。


「だから、朝昼晩、どんな時でも甘い物を口にしてるんです。」


そうしてまた飴を口にする。

この話が聴かれているとは知らずに...。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「詩音さん、少し良いかな?」


「ど、どうしたの?」


翌日、クラスの中心にいるような女の子が、私に話しかけてきた。


「詩音さん、いつも飴とか食べてるから、好きなのかなーって思って...はい、これ。私のおすすめの飴!」


「い、いいの...?」


「うん。」


彼女は笑顔で白色の飴を渡してきた。


「これから、仲良くしない?ずっと端っこで1人なの、かわいそうに思えちゃって...。」


「嬉しい...ありがとう...!」


私は知らなかった。

これが罠だってことを。


「ぇ...?」


口に含んだ瞬間に、甘さを感じなかった。


「っ...詩音ちゃん、いる!?」


扉から京極先生が入ってくるところは、ギリギリ見えた。

最後に大好きな先生に会えて、良かった...かな。


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「どうだった?私おすすめの、塩飴は?...死んじゃったから、分からないか。」


その少女を筆頭に、生徒が笑う。

何人か引いてる生徒もいたが、ほとんどが笑っていた。

人の死を。


音楽室に向かう途中、詩音の奇病の事を知った奴が、殺そうとしていた話を聞いた。

すぐに教室に向かった。

けど...。


「間に合わなかった...。」


「京極先生!どうかしました...?あっ、この子は寝てるだけで...!」


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「...あれ。」


いつも通り屋上に行くと、彼女はそこに倒れていた。


「寝ているのかな?...っ!?」


彼女の体温は無い。

死んでいるように...。


「脈がない...嘘、なんで...。」


涙が溢れてくる。


「まだ好きだって伝えられていないのに...。」


彼女の手は冷たいままだった。

僕を冷静にさせてくるくらいには。

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