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クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。  作者: 桜庭かなめ
続編

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第35話『誕生日前日』

 7月12日、金曜日。

 期末試験が終わり、今週から半日期間になったからだろうか。それとも、土曜日は千弦の誕生日で、当日は誕生日パーティーや千弦の家でお泊まりをする楽しみがあるからだろうか。あっという間に金曜日になった気がする。


「いってきます、母さん」

「いってらっしゃい」


 午前7時50分。

 洲中高校に向けて家を出発する。

 今日も梅雨らしく、起きたときからずっと雨がシトシトと降り続いており、空気もジメッとしている。

 平年通りであれば、あと1週間ほどで梅雨が明ける。今年はどうなるか。今朝見た天気予報の週間予報では、この先1週間は雨や曇りの日が多いけど。

 蒸し暑い中数分歩くと、千弦との待ち合わせ場所である交差点が見えてきた。そこには――。


「洋平君!」


 今日も青い傘を差した千弦がおり、俺に向かって手を振ってきた。今日も千弦はとても可愛いな。

 千弦、と名前を呼んで手を振りながら、千弦のいるところまで向かった。


「おはよう、洋平君」

「おはよう、千弦」

「じゃあ、今日も洋平君の傘に入るね」

「どうぞ」


 千弦は自分の傘を閉じて、俺の傘の中に入ってくる。その際におはようのキスをした。

 おはようのキスを終えると、学校方面の信号が青になっていることに気付く。


「じゃあ、学校へ行くか」

「うんっ」


 ニコッと笑いながら返事をすると、千弦は傘の柄を持っている俺の左手をそっと握ってきた。

 俺達は洲中高校に向かって歩き始める。


「今週は半日期間だったからか、いつも以上に早く金曜日になったな」

「そうだね。それに、前半の方の授業は、期末試験の返却と解説が多かったし」

「そうだな」


 昨日までに全教科の期末試験の答案が返却された。

 俺は中間試験に続いて、全教科90点以上で複数の教科で100点満点だった。期末試験のみが実施された保健も94点だった。これなら、期末でも成績上位者一覧に載れそうだ。

 千弦と星野さんも点数がかなり良かったとのこと。2人も中間に続いて上位者一覧に載れそうだ。

 苦手科目がある琢磨と吉岡さんと神崎さんも、赤点になった科目はなかった。3人とも赤点なしに喜んでいた。


「それで、今日が終わると千弦の誕生日だ。明日が楽しみだなぁ」

「私も楽しみだよ。パーティーやお泊まりはもちろん、お家デートをしたり、パーティーの準備をしたりして盛りだくさんだから」


 千弦はワクワクとした様子でそう言う。

 千弦の誕生日である明日は、午前中に千弦の家にお邪魔して午前中はお家デート、午後は千弦の御両親や星野さんとも一緒に誕生日パーティーの準備、夜に誕生日パーティー、その後は千弦の家にお泊まりする予定になっている。千弦の言う通り、盛りだくさんだ。パーティーとお泊まりは三者面談期間中に決めたけど、その少し後に、お家デートやパーティーの準備をすることを決めた。


「本当に盛りだくさんだな。パーティーとお泊まりはもちろん、お家デートとパーティーの準備も楽しみだよ」

「私も! 誕生日にお家デートして、パーティーの準備を洋平君とも一緒にできるなんて嬉しいよ」


 千弦は嬉しそうな笑顔で言う。

 千弦の誕生日パーティーだけど、千弦は御両親と一緒に毎年パーティーの準備をしており、結構楽しんでいるのだという。洲中に引っ越してきてからは、星野さんとも一緒に準備するのが恒例とのこと。

 千弦からこの話を聞いたときに、「俺もパーティーの準備に参加したい」とお願いした。それをきっかけに、誕生日当日の午前中はお家デートをして、午後は俺も一緒にパーティーの準備をすることが決まったのだ。


「明日の誕生日は一緒に過ごそうな、千弦。楽しい誕生日にしよう」

「うんっ!」


 千弦はとても可愛い笑顔で返事してくれた。この笑顔を見ると、明日迎える千弦の17歳の誕生日を楽しい一日にしたい気持ちがより強くなる。明日は千弦がたくさん笑顔になれるようにしたいな。


「明日で17歳ってことは……当たり前だけど、今日が16歳最後の登校なんだね。そう考えると何だか特別感があるよ」

「そうか。最後だもんなぁ。……次に登校するときは千弦が17歳になっていると思うと、俺も今日の登校が特別な感じがしてきた」

「ふふっ、そっか」

「千弦の16歳最後の登校を一緒にできて嬉しいよ」

「そう言ってくれて私も嬉しいです」


 えへへっ、と千弦は声に出して笑った。

 その後も千弦と談笑しながら歩いていき、洲中高校に到着する。

 昇降口で上履きに履き替えて、いつも通り階段を使って2年3組の教室がある4階まで向かう。

 4階に到着して、教室後方の扉から2年3組の教室に入る。

 クラスメイトの誰かがエアコンを点けてくれているおかげで、今日も教室に入ると涼しくて快適だ。

 星野さん達や友達に「おはよう」と朝の挨拶をしながら、俺達は自分達の席に行く。自分の机に荷物を置いて、近くにいる星野さん達4人のところへ行き、談笑に参加する。千弦と一緒に登校するようになってからはこれがいつもの流れだ。ただ、千弦にとっては16歳最後だと思うと、こうすることにもちょっと特別感が。

 6人での談笑を楽しんでいると、


「千弦ちゃん」


 千弦の名前が呼ばれた。千弦は声の主の方に体を向け、俺達も声がした方に視線を向けた。

 すると、千弦の近くに、クラスメイトの千弦の友人の女子3人が立っていた。3人はそれぞれラッピングした袋や紙の手提げを持っている。


「千弦ちゃん、明日の誕生日は土曜日だから、今日プレゼントを渡すよ。おめでとう!」

「あたしも用意したんだ。千弦、1日早いけどおめでとう!」

「17歳の誕生日おめでとう! 千弦ちゃん!」


 女子3人は笑顔でそう言い、千弦に誕生日プレゼントを渡した。

 明日は土曜日で学校は休みだから、前日の今日に誕生日プレゼントを渡しに来たのか。俺もこれまでに誕生日が休日のときは、直前の平日に学校で友達からプレゼントをもらったことがあったっけ。もちろん、俺が友達に渡すことも。


「嬉しい! ありがとう!」


 千弦はとっても嬉しそうな笑顔でお礼を言った。

 千弦の反応を受けてか、女子3人は嬉しそうな笑顔で「いえいえ」と言い、千弦に手を振りながら俺達の元から立ち去っていった。


「今年もプレゼントをもらえて嬉しいなぁ」


 千弦はニコニコとした笑顔でそう言う。プレゼントの入った袋や紙の手提げを見ているのも含めて可愛い。


「良かったな、千弦」

「うんっ!」


 千弦はニッコリとした笑顔で言う。俺がもらったわけじゃないけど、千弦の嬉しそうな笑顔を見ると俺も嬉しい気持ちになるよ。


「俺はパーティーのときに誕生日プレゼントを渡すよ」

「私もね」

「ちゃんと用意したわ!」

「楽しみにしててね、千弦」

「俺も用意したぜ」

「うんっ! 楽しみにしてるね!」


 千弦はワクワクとした笑顔でそう言った。

 千弦への誕生日プレゼントはちゃんと用意している。千弦が喜んでくれそうなものを。明日、プレゼントを渡したときに千弦の友人達からプレゼントをもらったときのような笑顔になってくれると嬉しいな。

 それからも、朝礼が始まるチャイムが鳴るまでの間、俺達6人は談笑し続けた。その間にうちのクラスや別のクラスの千弦の友達が誕生日を届けることがあった。

 また、授業の合間の10分休みや昼休みにも、千弦の友達やファンと名乗る女子生徒が誕生日プレゼントを渡しに来ることが何回もあって。千弦の人気の高さを改めて実感する。

 プレゼントをもらう度に千弦はとても嬉しそうな様子になり、お礼を言っていた。その様子をすぐ近くで見て、彼氏としてとても嬉しい気持ちになった。




 あと、これは夜になってから千弦からのメッセージで知ったことだけど、今日は金曜日なので手芸部の活動があり、部員達や顧問の先生から誕生日を祝われて嬉しかったとのこと。それを知ったときもとても嬉しい気持ちになった。

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