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クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。  作者: 桜庭かなめ
続編

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第17話『プールデートに行きたい』

 6月18日、火曜日。

 昨日から週が明けて、通常通りの日程に戻った。

 先週は三者面談があって全て午前中のみの日程だったから、昨日は少し長く感じた。ただ、隣の席に千弦がいるので、夕方まで授業があることが嫌だとは思わない。今週の学校生活を送る中で、通常通りの日程に慣れていくだろう。


「いってきます」

「いってらっしゃい」


 午前7時50分。

 洲中高校に向けて家を出発する。

 今日も梅雨の時期らしく、朝からシトシトと雨が降っている。朝食を食べる前に見た天気予報によると、今日はずっと雨が降り続くという。


「結構蒸し暑いな……」


 梅雨入りしてからジメッとした蒸し暑さを感じる日は多かったけど、今日は一段と蒸し暑い。6月も後半になったからだろうか。今後はこのくらい暑い日が増えていくかもしれない。

 千弦との待ち合わせ場所である駅前の交差点に向かって歩いていくと――。


「洋平君!」


 交差点には千弦がおり、千弦は笑顔で俺に手を振ってきた。今日も千弦は可愛いなぁ。そう思いながら、俺は千弦に手を振った。


「おはよう、千弦」

「おはよう、洋平君。そっちに入るね」

「ああ」


 千弦は自分の傘を閉じて、俺の傘の中に入ってくる。その際におはようのキスをして。この一連の流れが俺は結構好きだ。

 これまでに千弦と数え切れないほどにキスしたけど、キスをすると幸せな気持ちになれる。千弦の温もりや汗混じりの甘い匂いが感じられるのも良くて。

 2、3秒ほどキスをした後、千弦の方から唇を離した。千弦は至近距離で俺にニコッと可愛い笑顔を向けてくれる。本当に可愛いな。


「じゃあ、行こうか、洋平君」


 そう言い、千弦は傘の柄を持つ俺の左手をそっと掴んできた。


「ああ、行こう」


 俺達は洲中高校に向かって歩き始める。

 初めて相合い傘をしたときは、俺達をじっと見てくる生徒が多かったけど、今日はあまりいないな。何回も相合い傘をして登校しているから気にしなくなったのかな。


「何だか、今日は昨日まで以上に蒸し暑いよね」

「ああ。梅雨本番の気候って感じだよな」

「そうだね」

「今日ほどに蒸し暑いと、プールとか海へ遊びに行きたくなるよ。千弦とデートで行きたいな。どうだろう?」

「いいね! 冷たくて気持ちいいし。私もデートで行きたい!」


 千弦は明るい笑顔でそう言ってくれる。凄く嬉しいな。


「そう言ってくれて嬉しいよ、ありがとう。デートで海やプールに行くか」

「うんっ」

「決まりだな」

「うんっ。デートの話をしたら、さっそく今週末に行きたくなってきたよ」

「俺もだ。今週末は……日曜日なら大丈夫だ。千弦はどう?」

「私も日曜日は大丈夫だよ」

「良かった。ただ、今週はずっと雨が降り続く予報だし、今の時期だとまだ海開きをしていないだろうから、デートするなら屋内プールになるかな」

「そうだね。じゃあ、日曜日にプールデートしよう!」


 千弦はニコニコとした笑顔でそう言ってくれる。千弦がこんなにも笑顔になると、デートでプールや海に行きたいって言って良かったって思えるよ。


「屋内プールは……洲中から電車で20分くらいのところにいい屋内プールがあるよ。そこはプールが何種類もあるんだ。ウォータースライダーもあってさ」

「そうなんだね。……もしかして、その屋内プールってスイムブルー八神(やがみ)かな?」

「そこそこ。千弦、知ってたか」

「うんっ。お母さんとお父さんとはもちろん、彩葉ちゃんとか友達とも一緒に行ったことあるから。いいところだよね」


 千弦は快活な笑顔でそう言ってくれる。自分がいいと思っている場所を千弦もいいと思ってくれていることが嬉しい。


「いいよな、あそこ。俺も家族や琢磨とか友達と一緒に何度も行ったことがあるよ」

「そうなんだね」

「じゃあ、日曜日はスイムブルー八神へプールデートに行こう」

「うんっ! 楽しみだよ!」


 千弦は楽しそうな笑顔でそう言う。

 これまで、スイムブルー八神ではとても楽しく遊ぶことができた。きっと、千弦とも楽しい時間を過ごせるだろう。


「俺も楽しみだ」

「ふふっ。……プールデートへ行くまでに水着を新調しようっと。毎年新しい水着を買っているの」

「そうなんだ。……俺も新調するか」


 サイズ的に、家にある去年買った水着を穿けると思うけど。せっかくのプールデートだから、新しい水着を買いたい。


「洋平君も? じゃあ、洋平君さえよければ……一緒に水着を買いに行かない? 洋平君がいいなって思う水着を買って、プールデートで着たいなって。どうかな?」

「もちろんいいぞ」

「ありがとう!」


 千弦は嬉しそうにお礼を言った。千弦に似合う素敵な水着を選びたい。


「俺も新しい水着を千弦に選んでほしいな。いいかな?」

「もちろんいいよ!」

「ありがとう」

「いえいえ。……いつ買いに行こうか? 今日は火曜日だから、放課後に手芸部の活動があるから行けなくて。明日か明後日なら大丈夫だけど、洋平君はどうかな」

「明日なら大丈夫だ」

「分かった。じゃあ、明日の放課後に一緒に水着を買いに行こうか」

「ああ、分かった」


 明日の放課後に千弦と一緒に水着を買いに行って、日曜日はプールデートか。どっちも楽しみだ。プールで遊ぶのはもちろん、千弦の水着姿も。

 楽しみな予定が2つもできたから、今週の学校生活やバイトをより頑張れそうだ。

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