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クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。  作者: 桜庭かなめ
続編

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第11話『カラオケデート-前編-』

 6月12日、水曜日。

 今日の放課後は、千弦とデートすることになっている。洲中駅の周辺でお昼を食べて、その後はカラオケに行く予定だ。何日か前にデートでどこに行こうか話し合ったとき、


「カラオケに行くのはどうかな? 水曜日も雨予報だし。それに、洋平君とは一度も一緒に行ったことがないから行ってみたいな。洋平君の歌も聴きたいし」


 と、千弦が言ったのがきっかけだ。

 カラオケは屋内だから天気は関係ないし、個室だから2人きりになれる。だから、カラオケがとても魅力的に感じた。

 千弦からの提案を快諾し、今日の放課後デートはカラオケデートに決まったのだ。

 カラオケデートがとても楽しみで、お昼までの日程があっという間に感じられた。

 お昼で学校が終わり、千弦と星野さんの掃除当番が終わるのを待った後、3人で教室を後にする。

 星野さんとは校門を出たところで別れた。

 千弦と駅の方に向かいながらお昼はどこで食べるか話した結果、駅の近くにあるチェーンのファミレスでお昼を食べることに。

 俺は唐揚げ定食、千弦はナポリタンを注文した。唐揚げ定食はもちろん、千弦と一口交換で食べさせてもらったナポリタンも美味しかった。

 満足した気分の中、俺達はファミレスを後にして、本日のメインであるカラオケボックスへ向かう。ファミレスからだと歩いて2、3分ほどの距離だ。


「カラオケ楽しみ!」

「楽しみだな。千弦とは初めてだし、高2になってから行くのも初めてだからな」

「そうなんだ。ちなみに、最後に行ったのはいつ?」

「最後は……高1の春休みだな。琢磨や1年のときのクラスメイトの男子数人で行ったよ。これから行くカラオケ店で」

「そうだったんだね。私も同じ感じ。1年の春休みに、彩葉ちゃんとか1年のときのクラスメイトと一緒に行ったの。これから行くカラオケ店でね」

「そうなんだ。じゃあ、お互いに2年生になってからは初めてなんだな」

「そうだねっ。初めてが洋平君で嬉しいよ」

「俺もだ」


 2年生になってからカラオケでも、千弦の初めてが俺であることが嬉しい。カラオケが楽しみな気持ちがより膨らんだ。

 2、3分ほどの距離なので、千弦と話していたらあっという間にカラオケボックスに到着した。

 平日の午後2時近くという時間帯だからか、店内にはお客さんはあまりいない。

 受付に行き、ドリンクバー付きのフリータイムの料金を支払った。フリータイムとは午後6時まで利用できるプランのことだ。今からだと4時間以上利用することができる。

 受付にいる女性のスタッフさんから、料金の支払いと俺達が利用する部屋番号が印字されたレシートと、ドリンクバー用のグラス2つを受け取った。

 レシートに印字されている部屋番号は『205』と印字されている。205号室は2階にあるので、俺達は受付の近くにある階段から2階に上がった。

 2階に上がると、ドリンクバーコーナーが見える。ジュースはもちろん、コーヒーや紅茶、お茶など様々な種類のドリンクが用意されている。


「ここのカラオケ店、ドリンクがいっぱいあるよね」

「そうだな」

「飲み放題だけど、どれにしようか迷っちゃうときがあるよ」

「これだけたくさんあると迷うよな。美味しいドリンクばかりだし。……今、ドリンクをグラスに入れるか? それとも、一旦荷物を部屋に置いてからにするか?」

「今、ドリンクを入れるよ。特に荷物も重くないし」

「分かった。じゃあ、入れてくか」


 さてと、何にしようかな。

 ちなみに、カラオケのドリンクバーではコーヒーやジュースを飲むことが多い。


「何にしようかなぁ」


 ドリンクサーバーを見ながらそう呟く千弦。可愛い。


「俺は……アイスコーヒーにしようかな」

「洋平君、コーヒー大好きだもんね。私は……コーラにしようかな。好きだし、食後だから甘いものが飲みたくて」

「そっか」


 その後、俺はドリンクサーバーでアイスコーヒーをグラスの3分の2ほど注いだ。ガムシロップやミルクは……いいかな。ブラックが好きだし。

 千弦はドリンクサーバーで俺と同じくらいの量のコーラを注いだ。

 2人とも飲み物を用意できたので、俺達は205号室へ向かう。


「205号室……ここだな」


 俺は205号室の扉を開ける。

 2人で利用することを考えるとなかなか広い部屋だ。

 正面には大きなモニターがある。今は人気女性アーティストの最新曲のMVが流れている。

 部屋の中央にはテーブルがあり、それを挟む形で両側の壁側にソファーが置かれている。ソファーは俺達2人が並んで座っても余裕がありそうなくらいに広い。


「なかなか広い部屋だね!」

「そうだな。2人だからゆったりできそうだ」

「うんっ。……ソファーは2つあるけど、隣同士に座らない? 学校でもお家デートのときも洋平君の隣に座るのが凄くいいなって思うから。隣同士に座りたくて」

「もちろんいいぞ」


 俺と隣同士で座るのがいいとか、隣同士に座りたいと言ってくれて嬉しいよ。


「ありがとう!」


 千弦は嬉しそうにお礼を言った。

 その後、向かって左側のソファーに荷物を置いて、右側のソファーに千弦と隣同士で座る。体が軽く触れる程度の近さで。ちなみに、モニターに近い方に千弦が座っている。


「やっぱりいいな、洋平君と隣同士で座るの」

「俺もだよ」

「良かった」


 嬉しそうな様子で言うと、千弦は俺にキスしてきた。

 一瞬触れた程度のキスだけど、千弦の唇の柔らかさや温もりははっきりと分かった。


「同じ気持ちなのが嬉しくて……キスしました。こうして洋平君の隣に座れるのも嬉しいし」


 えへへっ、と千弦は声に出して笑う。キスされた後なのもあって結構キュンとくる。


「そっか。可愛いな、千弦は」


 そう言って千弦の頭を優しく撫でると、千弦の笑顔は柔らかいものになった。


「ジュース飲もうかな」

「俺も飲もう。いただきます」

「いただきますっ」


 ストローを使って、俺はアイスコーヒー、千弦はコーラを一口飲む。

 苦味がしっかりしていて美味しいな。俺好みだ。結構冷えているのもまたいい。


「コーヒー冷たくて美味しい」

「コーラ美味しい! 甘いしスカッとするよ」


 千弦は爽やかな笑顔でそう言った。炭酸が入っているからスカッとしたのだろう。


「じゃあ、そろそろ歌うか」

「うんっ、そうだね」

「どっちから歌う? それとも一緒に歌うか?」

「まずは……洋平君の歌を聴いてみたいな。いいかな?」

「もちろんいいぞ」

「ありがとう! 楽しみだなぁ」


 千弦は可愛い笑顔でそう言ってくれる。気合いが入るぜ。


「よし、歌うぞ。今年の曲だし、人気のあるアーティストの曲だから、千弦も知っているかもしれない」


 その曲は2ヶ月くらい前に発売されたから、もうカラオケに入っているだろう。

 俺はテーブルに置いてある電子リモコンを手に取り、歌おうと思っている曲が入っているかどうかを検索する。……あった。良かった。

 送信ボタンを押すと、程なくして俺の選んだ曲の曲名とアーティスト名、作詞作曲者がモニターに表示される。


「あっ、この曲知ってる」

「良かった」


 知っている曲なら、千弦も楽しめそうかな。

 俺はマイクを持ち、ソファーから立ち上がって歌い始める。

 俺が選んだ曲は大人気の男性シンガーソングライターの曲だ。現在放送されている朝ドラの主題歌になっており、爽やかな雰囲気が印象的だ。このアーティストは結構好きで、今歌っている曲は指折りに好きな曲だ。

 千弦はうっとりとした様子で俺を見つめている。知っている曲だからか口ずさむときもあって。そんな千弦がとても可愛くて。

 千弦のおかげでとても楽しくて、気持ち良く歌うことができた。


「ありがとうございました」

「良かったよ! 凄く上手だね!」


 パチパチ! と千弦は興奮気味に拍手をする。


「千弦にそう言ってもらえて嬉しいよ。千弦のおかげで楽しく歌えたよ」

「そうだったんだ。良かった。この曲、いい曲だよね」

「いいよな。この曲好きなんだ。だから、千弦にいいって言ってもらえて嬉しいよ」

「ふふっ、そっか。あと、洋平君が歌う姿がかっこよくて見惚れちゃった」

「ありがとう。嬉しいよ」


 俺はお礼を言って、千弦の頭を優しく撫でた。

 マイクをスタンドに立てて、俺はソファーに座る。アイスコーヒーを飲むと……一曲歌った後だから、さっきよりも美味しく感じられた。


「コーヒー美味い」

「ふふっ。……次は私が歌っていい?」

「もちろんだ。千弦の歌を聴かせてくれ」

「うんっ!」


 千弦は元気良く返事をすると、電子リモコンを操作し始める。千弦はどんな曲を歌うのかな。

 それから程なくして、モニターに千弦が入力した曲名とアーティスト名、作詞作曲者が表示される。その曲は長年活躍する女性シンガーソングライターの曲で、今年のゴールデンウィークに千弦と星野さんと結菜と一緒に劇場で観た『名探偵クリス』の劇場版の主題歌になった。


「おぉ、今年のクリスの曲だ」

「うんっ」


 千弦は笑顔で首肯した。

 イントロのない曲なので、カウントがされた後、千弦は歌い始める。

 千弦の歌声はとても綺麗で。伸びのある声で、音程も安定していてとても上手だ。だから、すぐに千弦の歌唱に引き込まれていく。千弦達と一緒に観た『名探偵クリス』の主題歌だから、映画のシーンを思い出すときもあって。

 俺のことを見ながら笑顔で歌う千弦が可愛くて。また、この曲はラブソングなのもあって何度もキュンとなった。


「ありがとうございました!」


 最後まで歌った千弦は、可愛い笑顔でそう言った。


「良かった! 上手だな!」


 俺はそう褒めて、千弦に向かって拍手する。それが嬉しかったようで、千弦の笑顔は嬉しそうなものに変わる。


「ありがとう、洋平君! この曲を歌うのは初めてだからちょっと緊張したけど、洋平君を見てたら楽しく歌えたよ」

「そっか。良かった。主題歌だし、千弦の歌が上手だから、千弦達と観に行ったクリスのシーンを思い出したよ」

「ふふっ、そっか。この曲にして良かった」

「あと、歌う千弦が可愛かったぞ」

「ありがとう! 凄く嬉しい」


 えへへっ、と千弦は声に出して笑った。その姿も可愛くて。

 千弦はマイクをスタンドに置いて、ソファーに座る。そして、自分のコーラを一口飲む。


「あぁ……美味しい。歌った後だから凄く美味しいよ」

「歌った後のドリンクって美味いよな」

「うんっ。……さあ、どんどん歌おうか!」

「そうだな。1曲歌ったら、どんどん歌いたくなってきた」

「私も!」


 千弦はニッコリとした笑顔でそう言った。

 たくさん歌って、千弦との初めてのカラオケを一緒に楽しんでいこう。

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