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クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。  作者: 桜庭かなめ
本編

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第46話『母の日-後編-』

 バイトから帰宅すると、母さんと結菜が一緒に夕食のハンバーグ作りをしていた。母の日なのもあり、結菜が「一緒に作ろう!」と申し出て、一緒にハンバーグ作りをしているらしい。結菜も作っていると知ってお腹がより空いた。

 結菜と相談して、夕食後に母さんに母の日のプレゼントを渡すことに。

 俺が帰宅してから20分ほどで夕食が完成し、家族4人で夕食を食べた。結菜もハンバーグ作りに協力したのもあり、今日のハンバーグはいつも以上に美味しかったな。バイトをしてお腹がかなり空いていたからペロリと平らげた。


「お母さん。あたしとお兄ちゃんからそれぞれ母の日のプレゼントがあるの」


 父さんと俺で夕食の後片付けが終わったとき、結菜は母さんにそう言う。そのことに、母さんは嬉しそうな笑顔になる。


「楽しみだわっ」

「ふふっ。お兄ちゃん、プレゼントを持ってこようか」

「そうだな。ちょっと待っててくれ」


 俺と結菜はそれぞれの部屋に、用意している母の日のプレゼントを取りに行く。

 俺はローテーブルに置いてある紙の手提げを持って部屋を出る。

 同じタイミングで結菜が部屋から出てきた。結菜は俺よりも小さなサイズの桃色の紙の手提げを持っている。あの手提げの中にスイーツが入っているのかな。


「じゃあ、キッチンに戻るか」

「うんっ」


 俺達は母さんと父さんがいる1階のキッチンに戻る。


「お母さん、お待たせ」

「プレゼントを持ってきた」

「おかえり。2人がどんなプレゼントを用意してくれたのか楽しみだわ」


 これからプレゼントをもらえるからか、母さんはワクワクとした様子に。そんな母さんのことを、父さんは隣から「可愛いねぇ」と微笑ましそうに見ている。


「結菜、どっちから渡す?」

「どっちでもいいよ」

「そっか。じゃあ、年齢順で俺から渡すか」

「うん、分かった」

「まずは洋平が渡してくれるのね。どんなものか楽しみだわ」


 みんなからの視線が集まる。家族とはいえ、こうして視線が集まるとちょっと緊張するな。ただ、俺から渡すと言った以上、ちゃんと母さんに渡さなければ。

 俺は母さんの側まで行き、


「母さん。いつもありがとう。日頃の感謝を込めてプレゼントを渡すよ」

「どうもありがとう」


 母さんにプレゼントの入った紙の手提げを渡す。母さんが喜んでくれると嬉しいな。

 母さんはさっそく手提げからコーヒーセットの箱を取り出す。箱の蓋を開けると、母さんは「あらぁ」と声を漏らした。


「いろんなインスタントコーヒーが入っているのね」

「ああ。母さんはコーヒーが好きだから、今年もゾソールのインスタントコーヒーにしたよ。ただ、去年と違って、この1年バイトをしてお金はそれなりにあるから、奮発してセットにしたんだ」

「そうなのね。ブレンドやモカ、カフェオレ、アイスコーヒー専用もあるのね。これからしばらくは、色々な美味しいコーヒーを楽しめるわね。ありがとう、洋平」


 母さんは嬉しそうな様子で俺にお礼を言ってくれた。そのことに嬉しく思うと同時にほっとする。


「いえいえ」

「良かったね、お兄ちゃん。じゃあ、次はあたしから。お母さん、いつもありがとう!」

「ありがとう、結菜」


 結菜は母さんに桃色の紙の手提げを渡した。

 さっきと同じように、母さんは手提げから箱を取り出す。結菜からはコーヒーに合いそうなスイーツをプレゼントすると聞いているけど、どんなスイーツなんだろうな。

 母さんが箱を開けると、中には、


「あら、フィナンシェとマドレーヌ」


 フィナンシェとマドレーヌがそれぞれ3つずつ入っている。どっちも美味しそうだなぁ。洋菓子だし、確かにこの2つはコーヒーと合うな。


「お母さんはスイーツが好きだから、フィナンシェとマドレーヌにしました」

「そうなのね。フィナンシェもマドレーヌも好きだから嬉しいわ」

「良かった。お兄ちゃんからゾソールのインスタントコーヒーをプレゼントするつもりだって聞いていたから、一緒に楽しんでほしいと思ったのもあるよ」

「ふふっ、なるほどね。もっと嬉しくなったわ。結菜、ありがとう」

「いえいえ!」


 とは言いながらも、結菜は母さんにお礼を言われてとても嬉しそうだ。可愛い妹だ。


「良かったね、母さん」

「ええ。じゃあ、さっそくコーヒーとスイーツをいただくわ」


 母さんはブレンドのインスタントコーヒーをホットで淹れ、今は夕食後なのでフィナンシェをいただくことに。

 母さんはブレンドコーヒーを一口飲む。


「あぁ、美味しい。やっぱり、ゾソールのコーヒーは美味しいわ」


 母さんは柔らかい笑顔でそう言う。ホットコーヒーだからか、まったりとした様子にもなっていて。これはインスタントコーヒーだけど、俺がバイトをしているゾソールのコーヒーなので、母さんの言葉や笑顔がとても嬉しい。

 母さんはフィナンシェを一口。


「う~ん! このフィナンシェ、甘くて、香ばしさもあって美味しいわ! コーヒーとも合うし!」


 そう言うと、母さんはフィナンシェをもう一口。笑顔でモグモグ食べる姿は息子から見てもとても可愛い。同じことを思っているのか、結菜は嬉しそうな笑顔で、父さんは優しい笑顔で母さんを見ている。

 母さんはブレンドコーヒーを一口飲むと、「ふぅ」と息を吐いた。


「コーヒーもフィナンシェも美味しいからとても幸せな気分だわ」

「お母さんがそう言ってくれて嬉しいよ!」

「嬉しいな、結菜。これも結菜が、コーヒーに合うスイーツを買うって言ったおかげだな」


 俺はそう言って、結菜の頭を優しく撫でる。

 母さんが俺達のプレゼントを美味しくいただいているのが嬉しいのか、結菜は俺に嬉しそうに笑いかけてくれる。


「2人はとてもいいプレゼントをくれたね。良かったね、母さん」

「ええ。2人ともいい子達だわ。洋平、結菜、ありがとう」

「いえいえ」

「お母さんが喜んでくれて良かったよ!」

「これから何日かは2人のプレゼントを一緒に楽しむわ」


 ふふっ、と母さんはとても嬉しそうに笑っている。一緒に楽しめるプレゼントにして正解だったな。もしかしたら、来年以降も母の日のプレゼントはこういう形にするのが恒例になるかもしれない。

 最高の形で母の日のプレゼントのお渡し会が終わった。

 俺は自分の部屋に戻る。

 金曜日の授業で出された課題は昨日の千弦とのお家デートで終わらせたし、明日の授業の予習は今日の午前中にやった。今日は午後にバイトもあったし、とりあえずはゆっくりするか。

 ローテーブルに置いてあるスマホを手に取ると、LIMEで千弦と星野さんからメッセージが届いていた。通知をタップすると、千弦、星野さん、俺がメンバーのグループトークの画面になり、


『カーネーションとボディークリームをお母さんにプレゼントしたよ。夕食にはお母さんの好きなオムライスを作って。お母さん、喜んでくれた!』

『良かったね、千弦ちゃん。私もマカロンやクッキーとか色々なスイーツを作って、お母さんにプレゼントしたよ。お母さん喜んでくれたし、美味しそうに食べてくれて嬉しかったな』

『彩葉ちゃん、お菓子作り上手だもんね。良かったね』


 というメッセージが15分前から10分ほど前までに届いていた。今日はバイト先で千弦と母の日のプレゼントの話をしたし、昨日は星野さんは母の日のプレゼント用のスイーツを作るから千弦の誘いを断ったのもあり、このグループトークで母の日のプレゼントについてメッセージをやり取りしたのだと思う。

 あと、千弦のメッセージの文体や星野さんを「彩葉ちゃん」と書いていることからして、千弦は素の状態か。このグループは千弦の素を知る人だけがメンバーだもんな。

 千弦も星野さんもプレゼントをお母さんに喜んでもらえたか。良かった。2人の嬉しそうな笑顔がすぐに思い浮かぶよ。


『2人とも喜んでもらえて良かったな。俺も母さんにインスタントコーヒーセットをプレゼントしたよ。結菜のアイデアで、結菜はコーヒーに合うスイーツをプレゼントして。だから、母さんは一緒に楽しんで、とても喜んでくれた』


 とメッセージを送った。

 千弦と星野さんもゆっくりしているのだろうか。俺の送信したメッセージにすぐに『既読2』という、2人が俺のメッセージを見たと示すマークが表示される。


『ありがとう、洋平君。洋平君も喜んでもらえて良かったね!』

『ありがとう、白石君。お母さんに喜んでもらえて良かったね。コーヒーとそれに合うスイーツをプレゼントするのは素敵なアイデアだね』


 千弦と星野さんはそんなメッセージを送ってくれた。文字だけど、2人の優しい気持ちがしっかりと伝わってくるよ。温かい気持ちになる。


『2人ともありがとう』


 と、シンプルにお礼のメッセージを送った。

 送った瞬間に『既読2』となり、千弦からは『どういたしまして』という文字付きの三毛猫のイラストスタンプが、星野さんからは『いえいえ』という文字付きの白猫のイラストスタンプが送られてきた。だから思わず、


「可愛いなぁ」


 と、声が出た。2人とも、俺が猫好きなのを知っているから、このイラストスタンプを送ってくれたのだろう。

 スタンプにはスタンプで返そう。俺も猫のイラストスタンプを持っているので、『ありがとう』という文字付きの黒猫のイラストスタンプを送った。

 その後は今日のことを中心に3人で話した。

 母さんがとても喜んでくれたし、そのことを千弦と星野さんが良かったねと言ってくれたのもあって、今年の母の日はこれまでで一番思い出深い日になった。

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