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クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。  作者: 桜庭かなめ
本編

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第31話『連休明け』

 5月7日、火曜日。

 ゴールデンウィークが明け、今日から再び学校生活が始まる。

 今年のゴールデンウィークは千弦の家や俺の家で遊んだり、結菜と千弦と星野さんと一緒に映画を観に行ったり、8人で東京パークランドに遊びに行ったり。バイトをした日もあったので、去年よりも盛りだくさんで楽しいゴールデンウィークになったな。そう思えるのは、ナンパの一件で千弦と関わるようになり、千弦と星野さんと神崎さんと友達になったからだろう。

 ゴールデンウィークが楽しかったし、学校に行けば同じクラスに琢磨や千弦達がいる。おまけに、曜日の関係で今週は火曜日スタート。だから、五月病にはならずに済むだろう。


「いってきます」


 午前8時過ぎ。

 今日もいつも通りの時間に、学校に向けて家を出発する。

 今日は朝から晴天だ。幸先のいい連休明けのスタートじゃないだろうか。今日の学校と放課後にあるバイトを頑張れそうだ。


「日差し強いなぁ。ジャケットを着ないで正解だった……」


 今、俺はジャケットを着ておらず、ワイシャツの上にグレーのベストを着ている。起きた段階で寒さは感じなかったし、最高気温が25度になると予報されているからだ。

 2年生になってから、ジャケットを着ないで登校するのはこれが初めて。今月末まで冬服期間だけど、晴れている日は基本的にこの服装になると思う。

 ちなみに、洲中高校では校則により、5月はジャケットを着ずに学校生活を送ってもいいことになっている。5月になると、晴れている日だと日中はかなり暑くなる日があるからだろう。

 琢磨や千弦達はどういう服装になっているだろうか。先週は晴れてもそこまで暑くなったからか、琢磨以外はジャケットを着ていたけど。

 洲中駅前やバイト先のゾソールを通り過ぎると、周りを歩く人の大半は洲中高校の制服を着た生徒だ。ジャケットを着ている生徒もいるけど、俺のようにジャケットは着ず、ベストやカーディガンを着る生徒が結構いる。

 うちの高校は学校指定のベストやカーディガンはない。着てきていい色やデザインも自由なので、目の前の光景は割とカラフル。来月からは夏服期間になってジャケットもなくなるので、これからしばらくの間は登下校時にこういう光景を見ることになるだろう。

 それから程なくして、校門を通り、2年3組の教室がある教室A棟に入る。

 昇降口で上履きに履き替え、教室のある4階まで階段で上がっていく。

 4階に上がり、俺は教室後方の扉から2年3組の教室に入る。


「おっ、洋平来たな! おはよう!」


 教室に入った直後、自分の席に座っている琢磨がいち早く俺のことに気付いて元気良く挨拶してくれた。その流れで、琢磨の周りにいる吉岡さん、千弦、星野さん、神崎さんも俺に向かって笑顔で「おはよう」と挨拶してくれた。昨日はパークランドで遊んだのもあり、これまで以上にいい笑顔になっているように見える。

 朝来ると、藤原さんと星野さんと神崎さんは別の友達と話していることもある。ただ、今日は琢磨と吉岡さんと一緒だ。昨日、パークランドで楽しく遊んだからかな。


「みんなおはよう」


 俺はそう挨拶して、自分の席へ向かう。その中で5人の服装を見ると……みんなジャケットは着ていない。

 琢磨はワイシャツ姿で、袖を肘近くまで待っている。吉岡さんはブラウンのベストを着ている。2人の服装は去年、ジャケットを着なくていい時期や夏服期間にたくさん見た。なので、何だか懐かしい気分になる。

 千弦はネイビー色のベスト、星野さんはピンク色のベスト、神崎さんは赤いベストを着ている。3人のベスト姿は全然見たことがないので新鮮な気持ちになれる。

 ちなみに、教室にいる生徒の8割近くがジャケットを脱いでいる。

 自分の席に到着し、机にスクールバッグと、体育の授業があるので体操着が入った袋を置いた。


「洋平もベスト姿で登校してきたな!」

「そうだね、琢磨君。今日はみんなジャケットを着ずに登校してきたから、白石君もジャケットを着ないで登校してくるかどうかって話になっていたんだよ」

「そうだったのか」


 先週は琢磨以外みんなジャケットを着ていたから、服装のことが話題になるのも自然な流れかな。


「今日は結構暖かくなるから、白石はジャケットを着ないってあたしは予想してた」

「私は、もしバイトがあったら夜になるから、白石君はジャケットを着るかもって予想したよ」

「ジャケット好きだから、ブレザーのジャケットを着てくるかなって思ってた」

「俺は着ないと思ってたぜ!」

「あたしもね。去年も5月になると着ない日があったから」

「なるほどな。……神崎さんと琢磨と吉岡さんが正解だったな。理由も当たっている神崎さんが一番正解だな」

「ふふっ、そっか」


 神崎さん、結構嬉しそうだ。可愛いな。

 正解した琢磨と吉岡さんはもちろん、外れてしまった千弦と星野さんも笑顔だ。


「みんな、ワイシャツ姿とかベスト姿が似合ってるな。琢磨と吉岡さんは懐かしいし、千弦と星野さんと神崎さんはあんまり見たことないから新鮮だ」

「おう、ありがとな! 洋平のベスト姿も懐かしいぜ!」

「ありがとね。このブラウンのベストは気に入っているから、今年も着ることにしたんだ。白石君のグレーのベスト姿も懐かしいよ」

「あたしもこの赤いベストを気に入っているからね。赤が好きだし。だから、ありがとう、白石。白石も似合っているわ」

「似合っているよね、玲央ちゃん。私も去年から着ているベストだから、似合っているって言ってくれて嬉しいよ」

「私もこのベストが好きだから、洋平に似合っているって言ってもらえて嬉しいよ。洋平も似合ってるよ。かっこいい」

「みんなありがとう」


 みんなから似合っていると言ってもらえて嬉しいな。特に、今年初めて同じクラスになって友達になった千弦と星野さんと神崎さんに言われたことが。


「そういえば、千弦と白石……下の名前で呼ぶようになったのね」

「玲央の言う通りだね。昨日、パークランドで遊んだときは名字で呼んでいたし」

「……私が洋平と名前呼びしたいと思ってね。昨日、洲中に帰ってきたときに、洋平にお願いしたんだ。そうしたら、洋平は快く「いいよ」って言ってくれて」


 千弦はちょっと照れくさそうな様子でそう言った。洲中駅で俺と2人きりになってお願いしたし、2人きりで話したいと千弦が言ったときに星野さんと琢磨がいたからかな。

 ちなみに、星野さんと琢磨は……星野さんはいつもと変わらない優しい笑顔で俺と千弦を交互に見ており、琢磨はどこか納得した様子だった。きっと、2人とも、昨日の帰りに千弦が俺と2人きりになりたいと言った理由が分かったのだと思われる。


「なるほど。そういうことがあったのね。良かったわね、千弦」

「良かったね、千弦」

「千弦ちゃん、良かったね」

「良かったじゃないか」


 神崎さん達は優しい笑顔で千弦に言う。


「うん、ありがとう」


 千弦はニコッとした笑顔になる。俺が名前呼びすることを許可したからだと思うと、何だか嬉しい気持ちになるな。そして、千弦が可愛く思える。


「ねえ、みんな。似合っているし、ベスト姿とかワイシャツ姿の写真を撮ってもいい?」


 神崎さんはスマホを手に持ちながらそう言ってくる。似合っていると言うだけあって、ワクワクした様子になっていて。

 俺達は神崎さんのお願いに快諾し、神崎さんのスマホで今の制服姿の写真をたくさん撮影した。千弦達女子4人の写真や、俺と琢磨の男のツーショットなど。神崎さんの友達の女子に頼んで、6人での写真も撮ってもらった。それらの写真はLIMEのグループトークに送ってもらった。

 写真撮影会が終わった後は、昨日遊びに行ったパークランドの話で盛り上がった。それもあり、


 ――キーンコーンカーンコーン。

「はい、みんな。席に着いてね」


 朝礼を知らせるチャイムが鳴り、それと同時に山本先生が教室に来るまであっという間だった。今日は暖かくなる予報だからか、先生はロングスカートにノースリーブのブラウスという涼しげな服装だ。

 山本先生を見ていると、昨日のパークランドで楽しそうにしていた先生を思い出す。そんな中、教卓に立っている先生と目が合うと、先生は俺に微笑みかけてくれた。そんな先生がとても可愛くて。

 今週の学校生活が始まる。

 千弦や琢磨達と一緒に授業を受けるし、今日は山本先生が担当する現代文の授業もある。だから、今日の授業も放課後のバイトも頑張れた。

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