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クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。  作者: 桜庭かなめ
本編

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第27話『お化け屋敷』

「おかえりなさい! フリーフォールお疲れ様でした!」


 マシンが地上に戻ると、女性のスタッフさんがそう言ってくれた。ジェットコースターに比べれば乗っている時間は短かったけど、物凄い速度で落下したのもあり「おかえりなさい」って言ってもらって安心感がある。


「フリーフォールも楽しかったねっ、白石君」


 山本先生はいつになく弾んだ声でそう言ってくる。先生……急降下中に黄色い声で叫んでいたもんな。終わった直後なので、ちょっと興奮気味の笑顔になっている。それがとても可愛い。


「楽しかったですね。ジェットコースターとはまた違ったスリルがあって。俺もいっぱい叫びました」

「隣に座っていたから、ジェットコースター以上に白石君の絶叫がよく聞こえたよ」

「叫んでましたよね、飛鳥先生」


 俺の隣に座っているから、藤原さんは山本先生の言葉に笑顔で同意している。そのことに先生は嬉しそうで。絶叫という内容だけど、2人に楽しい話題を提供できて良かったよ。

 その後、女性のスタッフさんに安全バーが上げられ、俺達はフリーフォールのマシンから降りる。


「あぁ、地上だよ。安心する……」


 マシンから降りたとき、星野さんは安堵した様子でそう言う。


「あたし、そういう反応をする子は初めて見たかも」

「そうなんだ。私は今みたいに安心する彩葉は何度も見ているし、彩葉以外にも地上に戻れて安心する友達を見たことあるよ」

「そうなのね。まあ、フリーフォールは脚がブラブラしているから、地上に戻れて安心する彩葉の気持ちも分かるかな」

「急降下したとき、脚がフワって浮いた感じにもなったからね。だから、地面に足を付けていることに安心して。楽しかったんだけどね」

「いつもと違った感覚を体験して、日常の大切さを知るって感じですね!」

「そうとも言える……かな」


 星野さんがそう言うと、星野さん、藤原さん、神崎さん、結菜中心に笑いに包まれる。

 足を置く場所がないから、脚が宙ぶらりんになるし、急降下したときはフワッとした感覚にもなる。だから、こうして地上に立っていると安心する星野さんの気持ちは結構分かるかな。

 俺達はフリーフォールを後にする。


「次はどこにするか?」

「3連続でスリル系の絶叫アトラクションに行く? それとも、他のジャンルのアトラクションに行ってみる?」


 琢磨と吉岡さんがそう問いかけてくる。

 ジェットコースター、フリーフォールと2連発でスリル系の絶叫アトラクションに行ったから、3連発でも楽しめそうだ。ただ、パークランドには色々なジャンルの王道アトラクションが揃っているし、そろそろ別ジャンルのアトラクションも行ってみたい気持ちもある。


「お化け屋敷はどうでしょう?」


 俺がそう提案する。お化け屋敷はジェットコースターと同じくらいに王道のアトラクションだ。遊園地に来たら、お化け屋敷に行かないことが珍しいくらいだから。あと、個人的にお化け屋敷が結構好きなのもある。


「もちろん、みんなが心霊系のアトラクションに行ってもいいならですが。琢磨と結菜は苦手だけど、俺と一緒ならお化け屋敷に入れたのは覚えてる」

「そうだね。お兄ちゃんみたいに平気な人が一緒なら入れるよ」

「俺もだ」

「あたしも2人と同じ感じかな。去年、琢磨君とデートしたときはお化け屋敷には入らなかったよ。琢磨君も心霊系は苦手だから」

「あたしは心霊系は苦手だけど、お化け屋敷は王道だから一度は入りたいタイプね」

「玲央の気持ち分かるよ。私も心霊系はあまり得意じゃないけど、遊園地に来るとお化け屋敷には行きたくなるね」

「これまで遊園地に遊びに来たときも、お化け屋敷は行ったよね、千弦ちゃん。私は割と好きな方かな。ただ、平気な人が一緒だと心強いな」

「先生は心霊系も平気よ」


 みんなが心霊系の耐性について教えてくれた。


「苦手な人はいるけど、絶対に嫌っていう人は一人もいないので……次はお化け屋敷でいいですか? ここのお化け屋敷は何人かで一緒に入れますし」


 俺がそう問いかけると、みんなは行ってもいいと賛成してくれた。お化け屋敷は好きな方なので、みんなが賛成してくれるのは嬉しい。


「では、行きましょうか」


 俺達はお化け屋敷に向かって歩き始める。提案した俺が先頭になって。

 お昼も近くなってきたから、パークランドに来たときに比べるとお客さんの数がかなり多くなっている。これからお昼過ぎくらいまでがピークの時間帯になるだろうか。

 所々にある案内板や地図に従って、俺達はお化け屋敷の前まで行く。

 ジェットコースターやフリーフォールほどではないものの、お化け屋敷の前にも入口に向かって長い列ができている。

 男性のスタッフさんがいるので、お化け屋敷には何人まで一緒に入れるのかと訊くと、4人までOKだと教えてくれた。


「4人までか。8人いるし、2組に分かれて入るのがいいかな」

「そうですね、山本先生」

「4人まで入れるのは安心したけど、どっちの組になっても平気な人がいた方が嬉しいな」


 吉岡さんがそう言うと、心霊系が苦手な琢磨、神崎さん、結菜が何度も頷いている。まあ、吉岡さんの言うことは分かるかな。


「苦手な人だけの組の人は不安ですよね」

「そうだね。じゃあ、私と白石君でどっちの組に分かれるか決めて、吉岡さん達6人でどっちの組に分かれるか決めるのはどうかしら?」


 山本先生は落ち着いた笑顔でそう提案する。確かに、このやり方なら、どっちの組になっても心霊系が平気な人はいるから、吉岡さん達も安心か。

 山本先生の提案した決め方にみんな賛成。グーとパーで2組に分けるやり方で決めることに。


「じゃあ、先生。やりましょうか」

「うん。……せーの」

『グッとパーで分かれましょ』


 というかけ声で俺はグー、山本先生はパーを出した。一発で分かれたな。


『分かれましょ。分かれましょ』


 結菜達6人は……何度もやっているな。3人ずつ分かれるのは難しいのかもしれない。

 そういえば、小学校や中学校でやったときは、間違えてチョキを出したらグー扱いするっていうルールがあったな。あれってローカルなルールなのだろうか。


「3人ずつ分かれたよ、お兄ちゃん」

「分かった。じゃあ、グーの人、手を挙げて」


 俺がそう言って手を挙げると、藤原さんと神崎さんと結菜が手を挙げた。


「お兄ちゃんと一緒だ!」

「結菜ちゃんが喜ぶってことは、白石は頼りになりそうね」

「ふふっ。よろしくね、白石君」

「ああ。みんなよろしくな」


 結菜と一緒なのが嬉しいし、藤原さんも神崎さんも俺と一緒なのが好意的で良かったよ。


「それ以外の人になるけど、パーの人」


 山本先生がそう言って手を挙げると、琢磨、吉岡さん、星野さんが手を挙げた。


「飛鳥先生と一緒で嬉しいです」

「そうだね、彩葉。それと、琢磨君と一緒で嬉しいよ!」

「俺もだ!」

「ふふっ。カップルと星野さんが一緒か。よろしくね」


 星野さんは山本先生と一緒で嬉しそうだし、琢磨と吉岡さんは2人とも心霊系は苦手だけど一緒の組になれたことに嬉しそうだ。個人的に琢磨と吉岡さんが同じ組になって良かったなって思う。

 その後、俺達はお化け屋敷の待機列に並ぶ。

 お化け屋敷も待機列は2列で並ぶ形。琢磨と吉岡さんが「グー組が先でかまわない」と言ったのもあり、結菜&神崎さん、俺&藤原さん、星野さん&山本先生、琢磨&吉岡さんの順番で並んだ。

 これからお化け屋敷に入るのもあり、これまで行ったお化け屋敷のことやこれまでに観た心霊系の映画やドラマの話などで盛り上がった。それもあり、俺達グー組の順番までは結構あっという間に感じられた。

 結菜と藤原さんと神崎さんと一緒にお化け屋敷の中に入る。

 外が晴れているのもあって、お化け屋敷の中は結構暗くて、涼しく感じられる。いかにもお化け屋敷という雰囲気だ。以前来たときは廃校がモチーフだったけど、今も同じだろうか。


「中、暗い……」

「そうね、結菜ちゃん。外が暖かいから、中が肌寒く感じるわ」

「これも怖い思いをさせるための雰囲気作りなんだろうね。寒いな……」


 藤原さんはそう言うと、両腕を擦っている。俺は長袖のVネックシャツにサマージャケットを着ているから涼しいと思えるけど、藤原さんは半袖のブラウス。だから、結構寒く感じるのだろう。

 俺はジャケットを脱いで、


「藤原さん。よかったら、俺のジャケット着る? 通気性のいいサマージャケットだけど」

「いいのかい? 白石君は寒くない?」

「俺は大丈夫だ。外が暖かかったから、ここが涼しいと思えるくらいだ。それに、ご覧の通り、長袖のシャツを着ているから」

「……分かった。じゃあ、お言葉に甘えるね。ありがとう」


 お礼を言うと、藤原さんは俺からサマージャケットを受け取り、袖を通す。


「あら、結構似合っているじゃない」

「似合っていますよね!」


 ジャケット姿の藤原さんに神崎さんと結菜は好意的な感想を言う。

 俺のジャケットなのでちょっと大きめだけど、2人の言う通り、似合っているな。若手の社会人って感じがする。登校するときや、放課後のバイトから帰るときに、駅周辺を中心にこういう服装の女性を見かけるし。


「似合ってるよ、藤原さん」

「ありがとう」

「少しは寒くはなくなった?」

「うん。さっきまで白石君が着ていたから、むしろ温かいくらいだよ。これなら、寒さは大丈夫だと思う」

「そっか。良かった」


 藤原さんは柔らかな笑顔になっている。もしかしたら、お化け屋敷の怖さが幾らか和らいだのかもしれない。そうだとしたら嬉しいな。


「じゃあ、行くか」


 俺達はお化け屋敷の中を歩き始める。

 歩き始めてすぐに、結菜は俺の左手を握ってくる。昔から、お化け屋敷に入ると結菜は俺の手を繋いできたっけ。

 また、藤原さんと神崎さんは俺の後ろで手を繋いで歩いている。

 周りを見てみると、壁には『会議室』とか『生徒会室』と書かれている汚れたプレートが備え付けられている。校内新聞とか予定表とかが書かれた色褪せた紙が画鋲で留められていて。どうやら、廃校がモチーフなのは以前と変わっていないようだ。


「3人と一緒だけど、段々怖くなってきたわ。……みんな。どこでお化けが出てきたか覚えてない? あたし、去年来たときは友達にしがみついてて全然記憶ないの……」

「あたしも友達の腕にしがみついてて覚えてないです。すみません……」

「私も怖かった印象が強くて。血まみれの生徒とかが出てきたことくらいかな……」

「俺が最後に来たのは1年以上前だからな。ただ、血まみれの生徒や顔が青白い教師とかが定期的に出てきたのは覚えてる」

「……そっか。分かったわ……」


 小さな声でそう言うと、神崎さんは「はあっ」とため息をつく。きっと、お化けや幽霊が出てくるタイミングが分かれば、心構えができると思ったのだろう。


「まあ、怖かったら、目を瞑って俺の手とか服とか掴んでくれ。しがみついてもいいし」

「……ありがとう。頼りになるわね」


 振り返ると、神崎さんは俺に微笑みかけてくれる。少しでも怖さが紛れたかな。


「結菜も藤原さんもいいからな」

「ありがとう、お兄ちゃん」

「白石君、ありがとう」


 結菜と藤原さんの顔にも微笑みが浮かぶ。4人のうち唯一の平気な人間として、3人を支えられればと思う。

 順路を進んでいき、1年1組のプレートが付けられた場所を通り過ぎようとしたときだった。


 ――ガラガラッ!

「うわああっ!」


 進行方向の右側にある扉が勢い良く開き、血まみれのスーツ姿の男が大声を出しながら姿を現した!


『きゃあああっ!』


 スーツ姿の男が姿を現した瞬間、3人は絶叫した。結菜と神崎さんの声が特に大きい。

 結菜は俺の左手をぎゅっと抱きしめてくる。また、背面に温もりを感じたり、服を引っ張られる感覚があったりする。振り返ると、神崎さんは俺の背中に身を寄せており、藤原さんは俯いて俺のシャツの裾を掴んでいた。みんなスーツ姿のこの男が怖いんだな。

 ちなみに、俺は特に怖くは感じない。3人の絶叫の声が大きくてほんの少しビックリしたけど。


「俺は……理科の実験中に事故を起こして、ここをクビになった男教師だ。そのせいで妻とも離婚した。職もなければ金もない。妻もいない。だから自殺したんだ……」


 随分と生々しい理由付けがなされているんだな。俺達は高校生や中学生だからまだいいけど、小さな子達が来ても今のように説明するのだろうか。


「先生がお前達に色々と教えてやる。教室に入れ……」

「断るわっ!! 今日は祝日だもの!!」


 食い気味に、神崎さんがかなり大きな声で反論する。気迫もこもっていて。祝日という現実の理由で断るとは。きっと、この男が相当怖いのだろう。絡まれたくない気持ちもあるかも。

 また、藤原さんが反論した直後に結菜が何度も大きく首肯して。後ろからは、藤原さんが「うんうん」と小さい声で言っている。

 あと、このスーツ姿の男……色々と教えてやると言ったけど何を教えるつもりなのか。さっき、理科の実験中と言ったから理科なのか。それとも、何か別のことを……? まあ、深くは考えないでおこう。


「た、確かに。今日はゴールデンウィーク中だもんな……」


 はあっ、とため息をつき、スーツ姿の男はげんなりとしている。神崎さんに大声で拒否されたのがショックだったのかもしれない。


「えっと、その……先に進んでもいいですか?」

「……どうぞ」


 はあっ、と再びため息をついて、スーツ姿の男は扉の向こうへと消えていった。その際に見えた背中はどこか哀愁が感じられた。


「いきなり大声で飛び出したのでかなり怖かったです……」

「あたしもよ。だから、教室に入れって言われたとき、すぐさまに断っちゃったわ」

「あのときの玲央の声は気迫があったよね。私も怖くて、絡まれるのが嫌だったから『うんうん』って言ったよ」

「そっか。あと、白石は全然驚いていなかったわね」

「落ち着いていたよね。白石君、凄いよ」

「お兄ちゃんと一緒で良かったよ!」

「ありがとう。あの程度なら大丈夫だよ」


 むしろ、3人の絶叫の方にちょっと驚いたくらいだ。まあ、それは言わないでおこう。


「あと、さっそく、驚いた拍子にシャツを掴んじゃったよ」

「あたしは顔埋めちゃった。白石の体が大きくて良かったわ。デカく生まれてくれてありがとう」

「ここで生誕を祝われるとは思わなかったな」


 俺のツッコミもあって、4人の中で笑いが生まれる。さっきは結菜達3人が怖がっていたので、こういうことでも3人が笑ってくれて良かった。


「まあ、この後も怖かったら俺を盾にしてくれ。……先に進むか」


 俺がそう言うと、結菜達は頷いてくれた。

 その後も順路に従って歩いていく。結菜達はみんな俺にくっついているので、それまでよりもゆっくりとした速度で。

 さっきのスーツ姿の男ほどの出方じゃないけど、扉から顔を出して大声を出す男子生徒や、背後から「わあっ!」と声を掛けてくる女子生徒など、定期的に驚かせてくる。その度に結菜達は、


『きゃああっ!』


 と大きな声で叫ぶ。そういう反応もあって、中には喜ぶお化け役のキャストもいる。まあ、驚かせるのが仕事だもんな。お疲れ様です。

 また、背後の遠い方から、野太い声と黄色い声の絶叫が聞こえてきて。もしかしたら、琢磨と吉岡さんと星野さんが叫んでいるのかもしれない。

 やがて、俺達は保健室の中に入る。


「うわあっ、保健室だわ。嫌な予感するよ……」

「絶対に何か出るパターンですよね。だって、これまではずっと廊下でしたもん!」

「結菜ちゃん、いい推理だね。ベッドの中に誰かいそう……」


 と、結菜達は予想や推理を口にする。

 確かに、これまでは廊下だったので、保健室で何か出そうな確率は高そうだ。前にここのお化け屋敷に入ったときも、保健室でお化け役のキャストが出現した気がする。

 保健室の中を歩いていく。

 通路の左右に計6床のベッドが置かれている。寝ている生徒がいる設定なのか、どのベッドも膨らんでいて。


『ふふっ……』


 と、女性達の笑い声が聞こえてきて、


『うらめしやあっ』


 左右それぞれ真ん中のベッドから、制服姿の女性が飛び出した! その瞬間、


『きゃあああっ!』


 と、結菜達は絶叫する。何度も聞いているので、彼女達の絶叫にも驚かなくなった。

 制服姿の女性達は俺達の目の前までやってくる。片方は血まみれで、もう片方は顔が真っ青だ。


「あたしは保健室の花子ちゃん。恋人の男の子に振られて絶望して、学校の屋上から飛び降り自殺したの」

「私は……保健室の花実さん。学校で致死率の高い感染症に感染して亡くなったの……」


 血まみれの花子ちゃんに真っ青な花実さんか。

 恋人にフラれたことが原因の自殺と、感染症に感染したことが原因での病死か。どっちもあり得そうな死因だな。2人の登場よりも、死因の設定の方がちょっと怖い。あと、最初の男が出てきたときにも思ったけど、小さな子供相手にも今のように死因を説明するのだろうか。


「金髪の男の子……物凄くイケメン。あたし、タイプだなぁ。後ろにいる黒髪の女の子もかっこよくていいなぁ」

「2人とも素敵だよね……。でも……男の子の腕を握っている金髪の子と、男の子に隠れている金髪の子も可愛い感じ……」


 花子ちゃんと花実さんは俺達のことを見ながらそう言う。お客さんを見てアドリブで言うことになっているのか。それとも、単なる本音なのか。ちょっと興奮しているようにも見えるので後者の可能性が高そう気がする。

 お化けの女子高生達に関心を向けられたからか、結菜達は怖がっている。特に結菜と神崎さんは体が震えていて。


「一緒にベッドに入って、気持ちいい時間を過ごさない?」

「ベッドふかふかだよ……」


 ふふっ、と笑いながら、花子ちゃんと花実さんは俺達をベッドに誘ってくる。ベッドで気持ち良くなるとはどういうことなのか。ふかふからしいので寝ることですか。他に何かあるのですか。

 お誘いを受けたけど……結菜は首を横に振っている。後ろを見ると、神崎さんは俺の背中に顔を埋め、藤原さんはうつむいている。


「えっと……申し訳ないですけど、先に進みますね。他に一緒に遊びに来ている友達もいるので」

「か、彼の言う通りです」


 後ろから藤原さんがそう言ってくれる。


「それは残念」

「残念だね……どうぞ……」


 そう言い、花子ちゃんと花実さんはそれぞれのベッドに戻っていった。あっさりと引いてくれて良かった。ただ、2人は何だか残念そうだったな。


「先へ進もう」


 俺達は再び歩き始める。

 その後も、お化け役や幽霊役のキャストが俺達を驚かしてくる。その度に結菜達は大きな声で絶叫するのであった。

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