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第22話『猫耳カチューシャを付けたら猫みたいになった。』

「星野さん、写真ありがとう」

「ありがとう、彩葉」

「ありがとうございますっ」

「いえいえ。私も可愛い写真がいっぱい撮れて嬉しいよ」


 星野さんは言葉通りの嬉しそうな笑顔でそう言う。


「あの。もしよければ、可愛い写真をもっと撮りませんか? ここって、猫耳カチューシャを貸し出しているじゃないですか」

「そういえば、そんなサービスやってたな……」


 前に結菜と一緒にここに来たとき、猫耳カチューシャを付けて、結菜や猫達と一緒に写真を撮ったことを思い出した。

 もしかしたら、猫耳姿の藤原さんと星野さんが見たいことも、結菜がこの猫カフェに来てみたいと提案した理由の一つかもしれない。俺も2人の猫耳姿がちょっと気になるな。


「猫耳カチューシャ付けてみませんか? あたしもお兄ちゃんも付けますし」

「俺も付けるのか。まあ、前に来たときも付けたし、藤原さんと星野さんの前なら別にかまわないけど」

「いいよ。私達もここでカチューシャを付けたことあるよね」

「そうだね、千弦ちゃん。じゃあ、みんなで猫耳カチューシャを付けようか」

「はいっ!」


 結菜、とても嬉しそうだ。藤原さんと星野さんが猫耳カチューシャを付けたらどんな感じなのか気になっていたから、俺も嬉しいな。

 猫耳カチューシャは受付で貸し出されている。なので、一旦、俺達は猫を膝から下ろして、キャットルームを後にする。その際、俺達のところにいる猫達が出口付近までついてきてくれた。懐いてくれたのかな。可愛い猫達だ。

 受付に行き、俺達は猫耳カチューシャを借りることに。ちなみに無料だ。

 受付にいた女性のスタッフさんが、カチューシャが入っているカゴを出してくれる。カゴには黒、白、赤、黄色、茶色など様々な色のカチューシャがある。

 髪の色と近い方が自然で良さそうということで、俺と結菜は黄色、藤原さんは黒、星野さんは茶色の猫耳カチューシャをカゴから取り、頭に付ける。


「わぁっ! 千弦さんも彩葉さんも猫耳カチューシャ似合ってますっ! 凄く可愛いですっ!」


 結菜は猫耳カチューシャ姿の藤原さんと星野さんを見ながら興奮気味に言う。可愛い2人を見られてご満悦といった様子だ。


「結菜の言う通り、よく似合っているし可愛いな」

「ありがとう。結菜ちゃんはもちろん、白石君も似合ってて可愛いよ」

「可愛いよね」

「ありがとうございますっ!」

「……まあ、猫耳カチューシャを付けているし、可愛いって言われるのはいいもんだな。ありがとう」


 素直にお礼を言うと、藤原さんと星野さんは優しい笑顔を向けてくれた。


「さっきまで猫を撫でていたので、猫千弦さんと猫彩葉さんの頭も撫でてみたいです」

「いいよ。ただ、猫結菜ちゃんの頭を撫でさせてくれるかい?」

「猫結菜ちゃん、凄く可愛いもんね。私も撫でたいな」

「いいですよ!」


 結菜はニッコリとした笑顔で快諾した。

 これまで猫にたくさん触ったので、結菜達はキャットルーム近くの手洗い場で手を洗う。

 綺麗に洗った後、まずは結菜が右手で藤原さん、左手で星野さんの頭を撫でる。結菜に撫でられるのが気持ちいいのか、藤原さんと星野さんはやんわりとした笑みを浮かべる。見ている俺もほのぼのとさせられる光景だ。


「あぁ、2人とも撫で心地がいいです。幸せです」

「良かったな、結菜」

「うんっ」

「結菜ちゃんに撫でられて気持ちいいよ。にゃあっ」

「猫ちゃんになってるね、千弦ちゃん。私も気持ちいいにゃあ」

「2人とも可愛いですっ」


 藤原さんと星野さんが猫の鳴き真似をしたのもあり、結菜は凄く満足した様子に。猫耳カチューシャを付けているのもあり、猫の巻き真似をした2人がとても可愛い。猫耳カチューシャを付けて、結菜に頭を撫でられて、猫の鳴き真似をして猫みたいだ。


「じゃあ、彩葉と一緒に結菜ちゃんの頭を撫でさせてくれるかな」

「いいですよっ」


 そう言うと、結菜は藤原さんと星野さんの頭から手を離す。

 藤原さんと星野さんは結菜の頭を撫でる。


「あぁ……とっても気持ちいいにゃあっ」


 甘い声でそう言うと、結菜は右手を猫の手の形にする。そんな結菜の顔には柔らかい笑みが浮かんでいて。……物凄く可愛いんですけど。ここの猫カフェにいるどの猫よりも可愛いぞ。


「結菜ちゃんの鳴き声、可愛いね。結菜ちゃんの撫で心地……とてもいいよ」

「いいよね。柔らかい髪質だし」

「そう言ってくれて嬉しいです。にゃあっ」


 そう言うと、結菜は藤原さんと星野さんの胸元に頭をスリスリして。2人以上に猫っぽく見えるな。そんな結菜の頭を藤原さんと星野さんは優しい笑顔で撫で続ける。


「結菜ちゃん可愛いねぇ。……結菜ちゃんを撫でていると、もう一人の金髪の猫ちゃんの頭も撫でてみたくなるね」


 藤原さんはそう言うと、視線を俺の方に向けてくる。それもあってか、星野さんと彩葉も俺に視線を向ける。


「俺の頭も撫でたいのか?」

「うん。白石君も猫耳カチューシャを付けているからね。どうだろう?」

「撫でられるの気持ちいいよ、お兄ちゃん」

「……結菜にそう言われると、一度、撫でられてみたくなるな」

「ふふっ。じゃあ、撫でるね。彩葉もどう?」

「私も撫でるよ」


 まさか、藤原さんと星野さんに頭を撫でられることになるとは。想像もしなかったな。

 藤原さんと星野さんは結菜の頭から手を離して、俺のすぐ近くまでやってくる。そのことで2人の甘い匂いがふんわりと香ってきて。

 藤原さんはまだしも、星野さんは俺との身長差が結構ある。なので、2人が頭を撫でやすいように俺は少し頭を下げる。

 頭を下げた直後、藤原さんと星野さんから頭を撫でられる。2人とも撫で方が優しくて。2人から伝わってくる温もりも優しいからとても気持ちいい。


「どうかな? 白石君」

「……凄く気持ちいい。……にゃあ」


 これまでの結菜達に倣って、俺も猫の鳴き真似をする。その直後、結菜達は「ふふっ」と声に出して笑う。

 視線を上げて、結菜達の方を見ると……みんな楽しそうな笑顔になっている。


「それは良かったよ。まさか、白石君も猫みたいに鳴いてくれるなんてね」

「私も予想外だったよ。でも、可愛いね」

「……3人が頭を撫でてもらったときに鳴いていたからな」

「ふふっ、そういうこと」


 正直に理由を話したけど、3人の笑顔は楽しそうなままだ。この様子なら、今のことを馬鹿にされることもなさそうだ。

 それにしても……頭を撫でられるのっていいもんだな。小さい頃は家族や親戚の大人、幼稚園の先生などから頭を撫でられることはそれなりにあったけど、大きくなってからは結菜がたまに撫でるくらいだから。


「……2人ともありがとう。気持ち良かったよ」

「いえいえ」

「喜んでもらえて良かったよ」


 藤原さんと星野さんはそう言い、俺の頭から手を離してくれた。


「……もし良ければ、私達の頭も撫でてくれるかな。私達も今は猫耳が付いているんだし」


 藤原さんがそんなお願いしてくる。いつもの落ち着いた笑顔だけど、上目遣いで俺を見てくるから可愛く思えて。


「藤原さんがそう言うなら……いいぞ」

「ありがとう」

「星野さんはどうする?」

「せっかくだから撫でてもらおうかな」

「分かった」


 俺もさっきまで猫を撫でていたから、手洗い場で手をしっかりと洗う。

 手を洗った後、さっきの結菜のように、右手で藤原さん、左手で星野さんの頭を優しく撫でていく。


「……結菜の言う通り、2人は撫で心地がいいな」

「そうでしょ?」


 どうして結菜がドヤ顔で返事をするのか。ドヤ顔の結菜も可愛いのでツッコまないでおくけど。

 藤原さんも星野さんも髪質が柔らかくてとても撫で心地がいい。あと、頭を撫でていると、2人の髪から甘い匂いが香ってきて。


「……白石君に撫でられるのも気持ちいいね。にゃあっ」

「うんっ。結菜ちゃんよりも大きな手だから、結菜ちゃんとはまた違った気持ち良さがあるにゃあっ」

「そうか。2人に気持ちいいと思ってもらえて嬉しいよ」


 結菜が撫でたときみたいに気持ちいいと思ってもらえるかどうか不安だったけど、2人に気持ちいいと言ってもらえて安心した。

 あと、藤原さんと星野さんは猫耳カチューシャを付けているし、猫の鳴き真似もしているから猫みたいに思えてくる。さっき、結菜もこういう風に思っていたのかな。


「このくらいでいいか?」

「そうだね。ありがとう、白石君」

「ありがとう。男の子に撫でられるのもいいね、千弦ちゃん」

「そうだね、彩葉」

「そう言ってもらえて良かったよ」

「ふふっ。では、キャットルームに戻って、猫耳カチューシャの写真を撮りましょう」


 その後、キャットルームに戻り、先ほどと同じ形で床に座る。すると、猫達が再び寄ってきて、膝の上に乗ってくれた。

 結菜のスマホで猫耳カチューシャを付けた俺達の写真を撮っていく。猫になりきって両手を猫の形にして。

 また、さっき写真を撮ったときのように、4人それぞれが撮影者になってスリーショットを撮ったり、スタッフさんにお願いして4人での写真を撮ってもらったりもした。

 結菜に写真を送ってもらった後は、猫じゃらしで遊んでみたり、床の上に猫と一緒に寝てみたりするなどして、猫との戯れの時間を楽しんだ。

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