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第21話『猫カフェ』

「ラーメン美味しかったですね!」

「美味しかったね。味噌ラーメンはもちろんだけど、みんなから一口ずつもらったラーメンも美味しかったよ」

「美味しかったよね。トッピングの味付け玉子も美味しかったし、満足だよ」

「ここのラーメン屋さんにして良かったな」


 午後1時40分過ぎ。

 お昼ご飯を食べ終わった俺達は、ラーメン屋さんを出てそんな感想を言った。また、結菜達は笑顔で俺に向かって頷く。

 みんなラーメンが好きだし、今後、このお店は一緒に駅周辺で食事をするときの選択肢の一つになったかな。映画館に近いので、映画を観る前後に食べるときには定番のお店になるかもしれない。

 また、ラーメンを食べているときにポニーテールだった藤原さんと星野さんは、お店を出る前にいつも通りの髪型に戻した。


「お昼ご飯も食べたし、予定通り、駅周辺のお店に行くか。みんなはどこか行きたいお店はある? それとも、適当に歩くか?」

「あたし、みんなで行ってみたいお店がありますっ!」


 ピシッ、と右手を挙げて結菜はそう言う。声もハキハキとしているし、そのお店に行きたい気持ちが強いのだと窺える。


「どんなお店だ?」

「猫カフェです! 千弦さんが猫好きだとお兄ちゃんから聞いていたので」

「……ああ、クレーンゲームで猫のぬいぐるみを取ったことを話したとき、藤原さんが猫好きだって話したな」

「あたしもお兄ちゃんも猫好きですし、もし彩葉さんが猫嫌いだったり、猫アレルギーだったりしなければ、4人で猫カフェに行きたいなって」

「私も猫好きだよ! アレルギーもないし」

「彩葉も猫派だよね。彩葉と一緒に、駅の北口近くにある猫カフェに何度も行ったことがあるよ」

「そこですそこです。行きたいと思っている猫カフェは。……彩葉さんも猫好きということですから、猫カフェはどうでしょう?」

「賛成」

「私も賛成だよ!」

「俺もだ」

「ありがとうございますっ!」


 3人全員が賛成したからか、結菜はとっても嬉しそうだ。今のニコニコとした笑顔は数多ある結菜の可愛い笑顔の中でも指折りに可愛い。


「では、猫カフェに行きましょう!」


 俺達は洲中駅の北口近くにある猫カフェに向かい始める。提案者なのもあって、結菜が先頭を歩く。

 これから行く猫カフェは、これまでに結菜や友達と一緒に何回か行ったことがある。スタッフである猫達も可愛いし、落ち着いた雰囲気の内装なので結構良かったのを覚えている。

 みんな猫好きなのもあってか、提案者の結菜はもちろん、藤原さんと星野さんも楽しそうな様子だ。

 今は駅の南側にいるので、南口から駅構内を通って、駅の北側へ行くことに。

 お昼過ぎなのもあって、駅周辺は待ち合わせをした午前中よりも人が多くなっている。それに比例するかのように、こちらを見てくる人も多くなっていて。ただ、男の俺がいたり、4人で話したりしているからか、俺達に声を掛けてくる人はいなかった。

 南口から洲中駅構内を通り、駅の北側に出る。

 駅の北側も、駅近くには色々なお店や商業ビルがあるので、結構賑わっている。


「着きました。ここです」


 駅の北側に出てから少し歩き、目的地の猫カフェに到着する。ベージュを基調とした落ち着いた外観だ。店名の『猫に洲中』という文字が柔らかいフォントで描かれている。


「もうすぐ猫と触れ合えると思うと楽しみだね」

「そうだね、千弦ちゃん!」

「楽しみだな」

「では、さっそく入りましょう!」


 俺達は猫カフェ・猫に洲中の中に入る。

 この猫カフェでは利用時間によって料金が決まる設定になっている。いくつかプランがあるけど、ゆっくりくつろげそうな時間ということで60分プランの利用料金を支払った。

 荷物を受付に預け、手洗いと消毒をして、俺達は猫スタッフがいるキャットルームに入る。

 キャットルームにはたくさんの猫スタッフがいる。雑種の猫もいれば、アメリカンショ―トヘアやマンチカンなどブランド猫もいる。人間のお客さんに撫でてもらったり、猫じゃらしで遊んでもらったり、エサをもらっていたり、グーグー寝ていたり、2匹でじゃれていたりするなど過ごし方は様々だ。ただ、どの猫も可愛い。


『わぁっ……!』


 たくさんの猫を前にしてか、結菜達は可愛らしい声を漏らす。結菜は目を輝かせ、藤原さんと星野さんは柔らかい笑顔になっている。


「みゃあっ」

「なーう」


 数匹ほどの猫がこちらにやってきて、藤原さんの周りに集まってくる。中には頭を脚にスリスリとする猫もいて。


「ふふっ、可愛い猫達だね」


 入店してすぐに猫達が来てくれたからか、藤原さんはちょっと嬉しそうだ。


「千弦さん、人気ですね! ここに来てすぐに何匹も猫が来るなんて」

「いつもそうなんだよ。猫カフェに来るとすぐに、千弦ちゃんの周りに猫が集まって。確か、みんなメス猫だったと思う」

「藤原さんの女子人気は人間だけじゃなかったんだな」


 さすがは王子様というべきか。


「今回も私のところに来てくれて嬉しいよ」


 藤原さんはいつもの落ち着いた笑顔でそう言うと、その場にしゃがみ、集まってきている猫達の頭を撫でる。その際、「いい子だね」と呟いていて。その姿はまさに王子様だなって思う。

 藤原さんに撫でられているのが羨ましいのか、その後もこちらに続々と猫がやってきて。藤原さんだけでなく、俺や結菜、星野さんの脚にもスリスリしてくる猫も。


「うわあっ、可愛い! もふもふ~!」

「可愛くて触り心地がいいよね」


 結菜と星野さんはその場でしゃがみ、結菜は茶トラ模様のマンチカンを、星野さんは白猫を幸せそうな様子で撫でている。そんな2人も猫に負けないくらいに可愛いと思う。もちろん、藤原さんも。

 俺もしゃがんで、脚にスリスリしてくる黒猫の頭を優しく撫でる。柔らかい毛並みなので触り心地がとてもいいな。


「いい子だね」


 俺がそう声を掛けると、黒猫は「な~う」と鳴き、撫でている俺の右手に頭をスリスリしてくれる。それがまた気持ち良くて。こちらの言動に反応してくれるのも凄く可愛いな。

 猫が集まってきているので、俺達はその場で座ることに。円形の形で座り、俺から時計回りに藤原さん、結菜、星野さんという並びだ。

 俺達が座ったのもあり、それぞれの膝の上に猫が乗ってくる。俺の上には黒猫、結菜の上にはマンチカン、藤原さんの上には三毛猫、星野さんの上には白猫だ。


「撫でていたマンチカンが乗ってきましたよ!」

「私もだよ。白猫ちゃん、可愛い」

「私の膝に乗っているこの三毛猫も撫でた猫だね」

「撫でた猫が膝に乗ってきてくれるのって可愛いよな」


 俺がそう言うと、結菜達は「そうだね」と首肯してくれる。

 俺の膝の上が気持ちいいのだろうか。黒猫は俺の膝の上で香箱座りをしてくれる。可愛い奴だ。右手で背中を、左手で頭を撫でると、黒猫はゴロゴロと喉を鳴らして、顔を俺の左手にスリスリしてくる。確か、この反応はリラックスしているんだよな。

 結菜達もそれぞれ自分の上に乗っている猫を撫でている。みんな幸せそうだ。猫達も気持ち良さそうにしていて。微笑ましい光景だ。

 また、今も藤原さんの周りには猫がたくさんおり、藤原さんの脚に顔を乗せたり、体や脚をスリスリしていたりする猫が何匹もいる。


「藤原さん、本当に猫から大人気だな」

「ハーレムに見えてきますね」

「あははっ、ハーレムか。こんなに可愛い猫達に囲まれて私は幸せだよ」


 藤原さんはとても柔らかい笑顔でそう言うと、膝に乗っている三毛猫だけでなく、周りにいる猫達の頭や体も撫でていく。そのことで猫達もご機嫌な様子だし、結菜の言う通りハーレムに見えてきたぞ。本当にさすがだ。

 藤原さんは「ふふっ」と笑いながら猫を撫でている。ただ、猫を驚かせないためか、小さな声で。


「ふふっ、本当に可愛いね。凄く幸せだな。ふふっ、笑いが止まらない」


 そう言い、藤原さんは笑い続ける。こんなにたくさん笑う藤原さんを見るのは初めてだ。猫達のパワーは凄いな。


「じゃあ、その凄く幸せな今の状況を写真に収めようか。白石君と結菜ちゃんと一緒に初めて猫カフェに来たんだし」

「おっ、いいね、彩葉」

「お願いしますっ」

「いいぞ。あと、写真をLIMEで送ってくれると嬉しい」

「もちろんいいよ、白石君」


 その後、提案した星野さんのスマホを使って、猫達と一緒に様々な写真を撮影する。たくさんの猫に囲まれた藤原さんを撮影したり、1人ずつ撮影者になって他3人のスリーショットを撮影したり。

 また、キャットルームの中にいる女性のスタッフさんにお願いして、俺達4人全員と猫が一緒に写る写真も撮ってもらった。

 撮影した写真は、星野さんからLIMEの4人でのグループトークに送ってもらった。さっきも思ったけど、猫達はもちろん、結菜達も猫達に負けず劣らずの可愛さだ。そう思いながら、送ってもらった写真をスマホのアルバムに保存した。

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