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クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。  作者: 桜庭かなめ
本編

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第20話『いつもと違う髪型でラーメンを』

「今年の劇場版も面白かったなぁ」


 約2時間の上映が終わり、劇場内が明るくなった瞬間、俺は自然とそんな感想を口にしていた。

 推理要素がしっかりとしており、ラブコメ要素もあり、劇場版では恒例になっている大規模なアクションも満載で。とても面白かったし、満足だ。あっという間の2時間だった。評判がかなりいいのも納得だし、結菜達が「面白かったからもう一度映画館で観たい」と言ったのも納得だ。


「面白かったよね、白石君」

「ああ。凄く面白かった」


 藤原さんにそう言うと、藤原さんはニコッと笑いかける。


「2回目でしたけど、凄く面白かったです!」

「そうだね、結菜ちゃん。犯人やトリックが分かっていても面白かったな」

「面白かったよね、彩葉、結菜ちゃん。犯人だって分かっていると、『このキャラ、犯人なのにこういうことを言っているんだ』って思えるし。タイミングが分かっていても、スクリーンだと爆発シーンとかアクションに迫力を感じるし。同じ作品を2回観るのもいいものだね」


 藤原さんのその言葉に、結菜と星野さんは楽しそうな笑顔で頷いている。3人は2回目の鑑賞だったけど、とても楽しめたようだ。


「3人が、2回目だけど劇場に観に来たのが分かるよ。今年の劇場版は面白かった」

「良かったよね。あと、初めて一緒に観に来たから、白石君と結菜ちゃんのことをたまに見ていたけど、2人は集中して観ていたよね。特に白石君は」

「俺は1回目だし、面白かったからな。集中してて、藤原さんがたまに俺を見ていたなんて全然気付かなかった。一度、目が合ったのは覚えているけど」

「合ったよね」


 そのときも、藤原さんは今のように笑いかけてくれたっけ。映画に集中していたのもあって、随分と前のことのように感じる。


「あたしとは何度か目が合いましたね。それに、千弦さんと彩葉さんと3人で、ポップコーンやドリンクを一口交換したときもありましたし」

「そんなことをしてたのか。気付かなかったな」

「かなり集中していたんだね、白石君」

「お兄ちゃん、面白い映画を観ているときは集中することが多いですからね。ですから、小さい頃は隣からポップコーンをこっそり食べていました。バレちゃうときもありましたけど」

「あったなぁ」


 ただ、すぐに「ごめんなさい」って謝ってくれたから、結菜を怒ったことは一度もない。普通に「食べたい」って言えばいくらでもあげたのにな。もしかしたら、こっそりと食べるスリルを楽しんでいたかもしれない。

 俺達の昔話が面白かったようで、藤原さんと星野さんは楽しそうに笑う。こういうことで、2人に笑いを提供できて嬉しいよ。


「来年も劇場版が公開されるって予告のムービーが流れていたし、今から楽しみだ」

「そうだね、お兄ちゃん。来年もみんなで一緒に観に行きたいです!」

「私もだよ、結菜ちゃん!」

「行きたいね。来年は玲央も一緒にね」

「そうだな」


 結菜と一緒に観に行くのもあり、今日のことを話したとき、神崎さんは藤原さんと星野さんのことを羨ましがっていたから。

 来年はみんな受験生になるけど、受験勉強の気分転換を兼ねてみんなで映画を楽しめたらいいなって思う。琢磨と吉岡さん、山本先生もクリスの映画を観るし、今度遊園地に行くメンバー全員で一緒に観るのも楽しいかもしれない。


「私達もそろそろ出ようか。もう、ほとんどの人が劇場から出てる」


 藤原さんがそう言うので、劇場内を見渡すと……さっきまでたくさん人がいたのに、今は俺達を含めて10人くらいになっていた。

 俺達は荷物を持って劇場を後にする。

 劇場を出たところで、ポップコーンとカップを乗せたトレーを映画館の男性のスタッフさんに渡して、ロビーに戻った。

 ロビーに戻った直後、俺達はお手洗いに。また、俺はパンフレットを買っていないので、売店でパンフレット買うことを結菜達に伝えた。なので、売店で落ち合おうということになった。

 2時間以上行っていなかったし、上映中はアイスコーヒーを飲んでいたので結構もよおしていた。上映中に席を離れることがなくて良かった。小さい頃、映画の前半でドリンクをがぶ飲みして、クライマックスのいいところでお手洗いに行くという苦い経験をしたから。

 用を足した後、俺はパンフレットを購入するために売店へ行く。

 パンフレットはレジにいるスタッフの方に言って購入する形だ。なので、レジに向かう。その際、レジにある時計が見え、今は12時40分であると分かった。お昼時だな。結菜達がお腹が空いていたら、この後はお昼を食べに行くのがいいな。


「すみません。『名探偵クリス』のパンフレットを1部ください」

「はい。800円になります」


 レジを担当している女性のスタッフさんに800円ちょうどを支払い、無事にパンフレットを購入した。


「お兄ちゃん、パンフレット買えたみたいだね」


 レジを離れてすぐ、結菜にそう声を掛けられた。結菜の側には藤原さんと星野さんもいる。


「ああ、買えたよ。……時間的にお昼時だけど、みんなはお腹空いているか? 映画を観ている間にポップコーンを食べたり、ドリンクを飲んだりしたけど」

「あたしはお腹空いてるよ! それに、甘い物は別腹だし!」

「ふふっ。私もお腹空いてきているよ。千弦ちゃんはどう?」

「私もお腹空いてる」

「分かった。じゃあ、これからお昼ご飯を食べに行くか」


 良かった。俺もお腹が空いていたし。


「みんなはどこか行きたいお店はある?」

「そうだね……。お兄ちゃんと一緒に映画に行ったときはラーメン屋さんが多いよね」

「あそこ、美味しい上に安いからな」

「そのラーメン屋さんって、この映画館近くにあるラーメン屋さんのこと?」

「そうだよ。藤原さん、知ってるのか?」

「うん。私も彩葉もラーメンが好きだから、何回も一緒に行ったことがあるよね」

「そうだね。白石君の言う通り、安くて美味しいから」

「そうなんだ」


 女子だけだと、ラーメン屋さんってあまり行かないイメージがあるけど。ただ、例のラーメン屋さんの店内は綺麗な雰囲気だから、女子も行きやすそうか。

 藤原さんと星野さんもラーメン好きなのか。それを知って、より2人に親近感が湧く。


「じゃあ、話に出たし、近くにあるラーメン屋さんに行くか?」

「賛成! 千弦さんと彩葉さんはどうですか?」

「私は賛成だよ。彩葉はどう?」

「私も賛成」

「じゃあ、ラーメン屋さんに決まりだな。行くか」


 俺達は映画館を後にして、ラーメン屋さんに向かう。

 お昼になったのもあって、映画館に行くときよりも暖かいな。ジャケットを着ているとちょっと暑いくらいだ。

 映画館に近いのもあり、1分ほど歩いたら目的のラーメン屋さんに到着した。

 今はお昼時だし、安くて美味しいと評判のお店だから、お店の外に短い行列ができている。店員さんに聞いたら、10分ほどで4人席に案内できると言われたので、俺達は列に並ぶことに。


「10分くらいで入れそうで良かったね、お兄ちゃん」

「ああ。人気のお店だし、お昼時なのを考えたらな」

「10分くらいなら余裕で待てるね。それに、並んでいる間にお腹が空いて、ラーメンをより美味しく食べられるし」

「そうだね、千弦ちゃん。よほど長くなければ、列に並ぶのは大丈夫なタイプだよね」

「そうなんだ。あと、藤原さんのその考え方、俺は結構好きだな」

「そうかい」


 ふふっ、と藤原さんは声に出して笑う。そんな藤原さんの顔には嬉しそうな笑みが浮かんでいた。そういえば、ナンパから助けたことのお礼でアイスを奢ってもらったときもアイス屋さんで並んだけど……藤原さんは並ぶことに嫌そうではなかったな。

 元々、並ぶのは嫌いではない。ただ、藤原さんの考え方を聞いたら、飲食店の列に並ぶのは好きになりそうだ。

 洲中駅周辺にある飲食店の話をしていたのもあり、店員さんに4人席に案内されるまではあっという間だった。

 並ぶだけあって、お店の中は多くのお客さんで賑わっている。祝日なので親子や家族連れのお客さんもいるけど、一番多いのは俺達のような若い世代のグループだ。

 俺と結菜、藤原さんと星野さんが隣り合って座ることに。ちなみに、俺の正面には藤原さんが座っている。

 俺は醤油ラーメン、結菜は豚骨ラーメン、藤原さんは味噌ラーメン、星野さんは塩ラーメンを注文。

 また、このお店は学生証を見せると、麺大盛りかトッピング1品の無料サービスを受けられる。なので、俺は麺大盛り、結菜はチャーシュー、藤原さんと星野さんは味付け玉子をサービスしてもらうことに。安い上に、この無料サービスがあるので、若い世代のお客さんが多いのだろう。

 注文が終わると、藤原さんはバッグから青いヘアゴムを取り出し、星野さんはおさげに結んであるヘアゴムを取ってストレートヘアになる。星野さん、ストレートも可愛いな。


「千弦さんと彩葉さん、髪をまとめるんですか? あたしの友達の中にも、ラーメンやうどんとかを食べる前に髪をまとめる子がいますし」

「髪がスープに入らないように、ポニーテールにまとめるんだ。ラーメン屋さんやうどん屋さんで食べても大丈夫なように、ヘアゴムは普段から持ち歩いているんだ」

「私は普段、おさげに結んでいるけど、ポニーテールにした方がより確実だから」

「そうなんですね! あたしはショートボブなので、髪をまとめることはしませんね」

「結菜ちゃんくらいの長さなら、まとめなくても大丈夫そうだね」


 藤原さんのその言葉に、星野さんは「そうだね」と笑顔で言った。

 思い返せば、結菜はラーメンとかを食べるときに髪を結ぶ姿は見たことないな。結菜の髪型は昔から変わらずショートボブだし。


「あと、彩葉さん、髪を解いたストレートヘアも可愛いですね!」

「可愛いよな」

「ありがとう」

「写真撮ってもいいですか? 同じストレートヘアなので千弦さんも一緒に」

「いいよ、結菜ちゃん」

「結菜ちゃんがそう言うなら、彩葉と写ろうかな」

「ありがとうございますっ」


 結菜はスマホを取り出して、藤原さんとストレートヘアの星野さんの写真を撮る。

 結菜が喜んでいるのもあってか、藤原さんや星野さんは触れるくらいに顔を寄せたり、ピースサインしたりとサービス精神旺盛。そのことでより結菜は喜んでいた。


「いい写真が撮れました! ありがとうございますっ!」

「いえいえ。結菜ちゃんが喜んでくれて嬉しいよ」

「そうだね、彩葉」


 その後、藤原さんと星野さんはヘアゴムを咥えて、両手で髪をまとめていく。ポニーテールになった2人がどんな感じなのか楽しみだ。

 藤原さんと星野さんが髪をまとめる姿は見たことがないのもあり、ついじっと見てしまう。新鮮なのはもちろん、大人っぽさも感じられて。

 いつもとは違う髪型だけど、藤原さんと星野さんは手慣れた様子でポニーテールにしていった。


「はい、ポニーテール完成」

「私も完成だよ」

「わぁっ、ポニーテール可愛いです! 似合ってますっ!」


 結菜は興奮気味に言う。


「お兄ちゃんもそう思わない?」

「ああ。2人ともポニーテール似合ってるな」

「ありがとう。2人にそう言ってもらえて嬉しいよ」

「そうだね、千弦ちゃん。ありがとう」


 2人とも嬉しそうな笑顔でそう言った。ポニーテールも結構似合っていて可愛いと思う。2人なら色々な髪型が似合いそうな気がする。


「ポニーテールの写真も撮ってもいいですか?」

「結菜ちゃんなら言うと思ったよ。もちろんさ」

「いいよ~」

「ありがとうございますっ!」


 その後、結菜はポニーテールになった藤原さんと星野さんの写真をスマホで何枚も撮影した。先ほどと同じで、藤原さんと星野さんは顔を寄せたり、ピースサインをしたりするなどしていた。


「ポニーテールもいい写真が撮れました! ありがとうございます!」

「さっきもだけど、2人ともありがとう」

「いえいえ」

「結菜ちゃんが喜んでくれて嬉しいよ」

「お二人に送りましょうか?」

「せっかくだから送ってもらおうかな」

「今日の記念にね」

「お兄ちゃんもほしいならグループトークに送るけど」

「……俺もほしいな。似合っているし」


 それに、お揃いの髪型で写っている藤原さんと星野さんの写真を見れば、今日のことを思い出せそうだから。


「白石君ならかまわないよ」

「私もだよ、白石君」

「ありがとう」


 その後、結菜からLIMEの4人のグループトークに写真を送ってもらった。いつもとは違う髪型もいいなと思いながら、写真をスマホに保存した。

 髪型のこともあり、男性の店員さんが俺達の注文したラーメンを運んできてくれるまではすぐだった。

 俺の注文した大盛りの醤油ラーメンは、麺の上にチャーシューにメンマ、なると、のりが乗せてあり、ネギがちらしてあるシンプルなもの。俺達はそれぞれの注文したラーメンをスマホで撮影した。


「それじゃ、ラーメンを食べるか。いただきます」

『いただきますっ』


 俺の号令で俺達はラーメンを食べ始める。

 まずはレンゲでスープを一口。できたてで湯気がたくさん出ているので、何度か息を吹きかけて。あっさりとした醤油味で、鶏ガラスープのコクもあって美味しい。

 その後、具材と一緒にラーメンを掬い上げ、ゆっくりとすする。


「……美味しい」


 細麺とあっさりとした醤油スープが合っていて美味しいな。麺の固さもやや固めで俺好みだ。チャーシューなどの具も美味しい。


「豚骨ラーメン美味しい!」

「味噌ラーメンも美味しいよ」

「塩ラーメンもね。美味しいな」


 結菜達も自分がそれぞれ注文したラーメンが美味しいようだ。みんな笑顔で美味しそうに食べている。何度も来たことのある好きなラーメン屋さんだから、藤原さんと星野さんが美味しそうにラーメンを食べていると嬉しい気持ちになる。

 それからも、クリスのアニメについて話したり、一口交換未経験の星野さんが「白石君ならいい」と言ってくれたので、4人でラーメンを一口交換したりしてお昼ご飯を楽しんでいった。

 麺を大盛りにしたけど、美味しいので難なく完食できた。ごちそうさまでした。

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