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第14話『4連休の予定』

 4月30日、火曜日。

 3連休明けだけど、今週は火曜日からのスタートだし、金曜日からは4連休。また、木曜日には球技大会があるのだ。なので、今週は実質2日と言ってもいいくらいだ。それもあり、3連休が明けても気持ちはとても軽い。

 洲中高校に登校し、2年3組の教室に向かうと、俺と琢磨の席の周りで琢磨と吉岡さん、藤原さん、星野さん、神崎さんが談笑していた。最近は一緒にお昼を食べるようになったので、5人が一緒にいる光景を見ることにも慣れてきた。


「おっ、洋平来たな! おはよう!」


 最初に俺に気付いた琢磨が元気良く挨拶してくれる。琢磨に続いて藤原さん達も笑顔で「おはよう」と挨拶してくれる。


「みんなおはよう」


 と、琢磨達に挨拶して、俺はスクールバッグを自分の机に置いた。


「洋平。土曜は藤原、月曜は洋平の家で遊んだんだよな」

「その話を千弦達としていたんだ」

「そうだったのか」


 土曜日と月曜日の話をしたいというのも、5人が一緒にいる理由の一つかもしれないな。月曜日に俺のアルバムを見たときは、琢磨と吉岡さんのことも話題になったし。


「アルバムやアニメを見たり、ゲームをしたりして楽しかったよ」

「洋平も楽しかったか。それは何よりだ。俺も月曜日は早希とのデートが楽しかったぜ!」

「楽しかったよね!」

「それは良かった」


 琢磨と吉岡さんの笑顔を見ていると、昨日のデートがとても楽しかったことが伝わってくる。親友カップルが楽しい時間を過ごしたと分かって嬉しいよ。


「早希とのデートも楽しかったし、今週も頑張れそうだぜ! しかも、今週は3日しかねえし、木曜は球技大会だし、連休に入ったら2泊3日で部活の合宿があるからな!」

「ははっ、そっか。今週は楽だよな」

「そうだね、白石君。授業があるのは今日と明日だけだし。今週は特別な週って感じがするよ」

「ゴールデンウィークらしい日程よね! 女子テニス部も今度の連休に合宿があるし、あたしも頑張れそうだわ」

「女子バスケ部も連休中に合宿あるし、球技大会でもバスケに出るから頑張れそう」

「ふふっ。3連休明けだけど、3日学校に行って4連休だから気持ちが楽だね」


 みんな、連休明けだけどいい笑顔だな。曜日の関係で今週の学校は3日だけな上に、そのうちの1日は球技大会で授業がないのは嬉しいよな。金曜日からは4連休だし。球技大会や連休中の部活の合宿というスポーツ関連のイベントがあるからか、運動系の部活に入っている琢磨と吉岡さんと神崎さんは特にいい笑顔をしている。

 それから、藤原さんや俺の家で遊んだことや琢磨と吉岡さんのデートのことを中心に、連休のことを談笑していく。その中で、女子中心にクラスメイトが話の輪に加わって。


 ――キーンコーンカーンコーン。

「みんな。席に着いて。朝礼を始めるよ」


 朝礼の時間を知らせるチャイムが鳴った直後に、山本先生が教室に入ってくる。連休が楽しかったのか。それとも、今週は3日だけだからなのか。先生もいつもよりいい表情になっている。

 今週も学校生活がスタートする。ただし、いつもよりもちょっと短めの。

 3連休が楽しかったし、今週は3日間だけだから、いつもの連休明けよりも集中して授業に臨むことができた。また、火曜日は体育の授業があるので、体を動かして気分転換もできるし。なので、あっという間に時間が過ぎていった。




「洋平。結菜。2人に渡したいものがあるんだ」


 家族4人で夕ご飯を食べ終わったとき、父さんがそんなことを言い、キッチンを後にする。

 父さんが俺達に渡したいものって何なんだ? さっぱり見当がつかない。俺達が小さい頃は仕事から帰ってきたときに、お土産にお菓子を買ってきてくれたことが定期的にあったけど。ただ、そういうときも帰宅した直後に渡してくれたことが多かった。


「何だろうなぁ」

「何だろうね、お兄ちゃん」


 結菜も何を渡されるのか分からない様子。気になるけど、それもあと少しで分かることか。

 それから程なくして、父さんがキッチンに戻ってきた。父さんの右手には白い封筒が。

 お待たせ、と言って父さんは食卓の椅子に座る。父さんは封筒から2枚の紙を取り出す。見た感じ、何かのチケットだろうか。

 父さんは封筒から取り出した紙を俺達の目の前に置く。その紙に書かれていたのは、


「東京パークランドの招待券だって、お兄ちゃん!」

「ああ。4人まで使えるみたいだな」


 そう。東京パークランドの招待券だ。チケットによると、1枚で4名まで利用でき、一日中好きなアトラクションで遊べるフリーパス券になっているとのこと。

 ちなみに、東京パークランドというのは、東京の多摩地域にある遊園地のこと。この地域にある遊園地では最大級の規模を誇る。洲中市からだと車でも電車でも行きやすいので、家族とはもちろん友達とも何度も遊びに行ったことがある。


「どうしたんだよ、父さん。4人まで使える一日招待券だなんて。しかも2枚」

「会社の同期からもらったんだ。去年の忘年会のビンゴ大会の賞品でね。ただ、そのとき、同期はかなり呑んでいたから、招待券の存在をつい最近まで忘れていたみたいで。使用期限も5月末までだし、その人は遊園地にそこまで興味はないから、子供のいる俺にどうぞってプレゼントしてくれたんだ」

「そうだったんだ」


 あまり興味のないものなら、つい最近まで忘れていたのも不思議じゃないな。

 それにしても……会社の忘年会のビンゴ大会か。とても豪華な賞品が用意されているんだな。そういえば、父さんはインスタントコーヒーセットをもらってきていたっけ。


「帰ってきたとき、お父さんからチケットのことを聞いてね。昔は家族で行っていたけど、洋平は高校生で、結菜は中学生。お友達と一緒に遊びに行くのがいいんじゃないかって話したの」

「だから、2人にそれぞれ1枚ずつ招待券を渡すよ」

「ありがとう、お父さん!」

「ありがとう、父さん」

「いえいえ」


 父さんは穏やかな笑顔でそう言った。

 わぁっ、と結菜はパークランドの招待券を両手で持つ。目を輝かせていてとても可愛い。

 招待券は4人まで利用可能か。俺は行くとして、最大3人まで誘えるな。母さんと父さんが「友達と行くのがいい」と言ったし、誘うのにいい友達は……パッと思い浮かぶのは琢磨と吉岡さんだ。あとは、藤原さんと星野さんと神崎さん。あと、妹だけど結菜とも一緒に行きたいな。


「あたし、千弦さんと彩葉さんと玲央さんと一緒に行きたいな!」

「昨日、うちに遊びに来たときに仲良くなったもんな」

「うんっ!」


 結菜はニコニコしながら首肯する。一緒に遊園地へ行きたいと思えるほどに仲良くなれたんだな。兄としてとても嬉しく思う。


「でも、早希さんや坂井さんとも行ってみたいな。もちろん、お兄ちゃんとも」

「俺ともか。嬉しいことを言ってくれるなぁ。俺も結菜と行ってみたいって考えたけどな」


 そう言い、俺は結菜の頭を優しく撫でる。

 頭を撫でられるのが気持ちいいのか。それとも、俺と気持ちが重なったからか。結菜は「えへへっ」と声に出して笑う。本当に可愛い妹だ。結菜とは絶対にパークランドへ遊びに行きたい。


「あと、琢磨達5人も候補に挙げたよ」

「そうなんだ。じゃあ、みんなで一緒に行こうよ!」

「それがいいな。2枚あるから8人までOKだもんな。琢磨、吉岡さん、藤原さん、星野さん、神崎さん、結菜、俺で7人だから大丈夫だな」

「そうだね! あと1人誘えるね」

「そうだな。まあ、7人でも大丈夫だろうけど、せっかくだからもう1人誘ってみるか。結菜は誘いたい人はいる?」

「そうだね……あたし以外みんな高校生だし、洲中高校の人の方が良さそう」


 確かに、誘おうと思っているメンツを考えると……洲中高校の関係者の方がいいか。結菜の中学の友達を誘ったら、その子が緊張しちゃう可能性が高そうだ。


「そうだ!」


 と、パッと明るい表情になって言う結菜。


「誘いたい人が思いついたか?」

「うんっ! 飛鳥さんを誘いたい!」

「山本先生か。先生は俺達の担任だし、結菜も気に入っているもんな」

「うんっ!」


 結菜はニッコリとした笑顔で頷く。

 山本先生なら、俺と結菜、俺達が誘おうとしている琢磨達と一緒に遊園地に行くと言ってくれそうだ。琢磨達も山本先生となら楽しめるんじゃないだろうか。


「じゃあ、6人にお誘いのメッセージを送ってみるか」

「そうだね! 期限まで1ヶ月くらいあるけど、ゴールデンウィークの後半の連休に行けたら嬉しいな!」

「そうだな」


 もし、この8人で一緒に遊び行けたら、今年のゴールデンウィークの思い出の一つになるのは間違いないだろう。


「ふふっ。こんなにすぐに誘おうとする人達を決められるなんて。嬉しいわ」

「そうだね、母さん。2人にチケットを渡して良かったよ」

「ありがとね、お父さん!」

「ありがとう。……じゃあ、部屋に行ってお誘いのメッセージを送るか」


 俺は結菜と一緒に自分の部屋に戻る。

 誘おうとしている6人全員とは全員LIMEのIDを交換している。なので、6人と結菜と俺がメンバーであるグループを作り、


『今度の4連休のどこかで、東京パークランドという遊園地に遊びに行きませんか? 父が4人まで招待できるチケットを2枚もらいまして。結菜と俺は行く予定です。行きたい人は空いている日付を教えてください』


 というお誘いのメッセージを送った。みんなから遊びに行きたいというメッセージが送ってくれると嬉しいな。それで、同じ日が空いていたらより嬉しい。ただ、琢磨と吉岡さん、神崎さんは連休中に部活の合宿があると言っていた。どうだろうか。

 また、俺と結菜は連休初日の金曜日と、最終日の月曜日の予定が空いている。

 夜の8時過ぎという時間なのもあり、結構早く6人から返信が届く。全員、パークランドへ遊びに行きたいとのこと。空いている日は、


 琢磨:月曜日のみ

 吉岡さん:月曜日のみ

 藤原さん:土曜日以外なら大丈夫

 星野さん:土曜日以外なら大丈夫

 神崎さん:月曜日のみ

 山本先生:土曜日と月曜日はOK


 と教えてもらった。

 運良く、みんな連休最終日の月曜日の予定が空いていたので、月曜日に8人でパークランドへ遊びに行くことになった。


「みんなと一緒に行けるんだ! やったー!」


 結菜はとても嬉しそうだ。こんなにも喜ぶなんて。琢磨達に感謝だ。


「月曜日は遊園地に行くことになったから、クリスの映画は初日の金曜日に行こうかな」


 クリスというのは、『名探偵クリス』という国民的推理漫画のこと。俺が生まれる前からTVアニメが放送されており、毎年4月には新作の劇場版が公開される。また、劇場版はこの数年で人気が急拡大し、毎年大ヒットしている。

 俺はもちろん、結菜も両親も好きな作品であり、劇場版はゴールデンウィークに観に行くことが多い。大きくなり、結菜は公開直後に友達と見に行くことも増えたが、俺は一貫してゴールデンウィークに観に行っている。個人的にはクリスの劇場版を見るとゴールデンウィークだと思える。


「お兄ちゃん、金曜日に観に行くんだ。あたしも行こうかな。今年のはとても面白かったし」

「かなり評判いいらしいもんな。じゃあ、金曜日に俺と観に行くか?」

「うんっ!」


 結菜はニコニコとした笑顔で快諾してくれる。


「俺とも映画を観に行ってくれて嬉しいな。よし、結菜の分の映画のチケットは兄ちゃんが奢るよ」

「ありがとう、お兄ちゃん!」


 先日、3月分のバイト代が入ったから、結菜の分のチケット代を払うのは全然大丈夫だ。3月は半日期間や春休みで長くシフトに入る日が多かったから、バイト代をいっぱい稼げたし。


「ねえ、お兄ちゃん。千弦さんと彩葉さんを誘ってもいい? 2人は金曜日は予定が空いているって言っていたし」

「ああ、いいぞ」


 藤原さんと星野さんもアニメが好きだし、クリスは大ヒット作。2人も観ていそうな気がする。それに、シネコンは洲中駅の近くにあるから2人は観に行きやすいし。

 結菜は楽しげな様子でスマホを操作している。藤原さんと星野さんが結菜の誘いに乗ってくれると嬉しいな。


「……あっ、2人から返信来た。2人も観に行ったけど、凄く面白かったからもう1回観たいって」

「そうか。じゃあ、金曜日は4人で映画を観に行こう」

「そうだね!」


 金曜日に映画を観に行くことになったからか、結菜はさっき以上に嬉しそうで。ありがとう、藤原さん、星野さん。

 映画を観に行くのは3日後なので、今日から座席の予約をすることができる。俺は洲中にあるシネコンの会員なので、結菜達から座席の位置の希望を聞き、スマホを使って午前10時半からの上映回で4人分の座席を予約した。

 あと、結菜の誘いを受けてくれたのが嬉しかったので、藤原さんと星野さんにチケット代を奢ろうかと言ったけど、「遊園地をタダで楽しめるだけでも有り難いのに、その上、映画まで奢ってもらうのは申し訳ない。気持ちだけ受け取る」と断られた。申し訳ない気持ちがあったら映画を楽しめないだろうから、2人のお断りを受け入れた。

 映画に遊園地か。ゴールデンウィーク後半の4連休は楽しい連休になりそうだな。凄く楽しみだ。

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