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第11話『真夏の砂浜で水着姿がきらめいて』

 山本先生が運転する車で、俺達8人は神奈川県の湘南地域の海水浴場に向かっている。

 俺は同じシートに座っている千弦や神崎さんと中心に談笑しながら、車内での時間を過ごす。たまに、千弦とは体を寄り添わせることもして。

 前のシートに座っている琢磨と吉岡さんと結菜も、運転席に座る山本先生と助手席に座る星野さんも楽しそうだ。

 山本先生は久しぶりの運転とのことだけど、特に不安を感じさせない安全運転だ。乗り心地もいい。

 湘南地域に差し掛かり、海が見えたときはみんなで盛り上がった。

 幸いにも渋滞に巻き込まれることはなく、洲中を出発してから1時間ちょっとで目的地の海水浴場の駐車場に到着した。

 今は午前9時半過ぎだけど、夏休み中の日曜日なのもあって既に駐車場にはたくさんの車が駐まっている。ただ、空車となっている部分もいくつかあり、無事に駐車することができた。


「到着したよ」

「飛鳥先生、連れてきてくれてありがとうございます!」

『ありがとうございます!』


 吉岡さんに続いて、俺達6人は運転してくれた山本先生にお礼を言った。

 車での移動はとても楽だったな。出発してからここまでずっと座れたし。荷物はトランクに積んでいるし。去年は琢磨達と一緒に電車で行ったけど、途中で荷物を持って乗り換えもしたし、混んでいて座れなかった電車もあったな。だから、今日は本当に楽に感じた。レンタカーで行こうと提案し、運転してくれた山本先生には感謝だ。


「いえいえ。私も久しぶりに運転できて楽しかったよ。助手席に座った星野さん中心にお喋りできたし。帰りの運転も楽しみだよ」


 山本先生はニッコリとした笑顔でそう言った。俺達をここまで連れてきてくれたけど、運転を楽しめたようで良かった。

 俺達は車から降りる。

 海からほど近いのもあり、車から降りた瞬間に潮の匂いが感じられる。

 トランクから荷物を取り出して、俺達は海水浴場へ向かい始める。

 駐車場を出て、横断歩道で道路を渡ると、歩道から海水浴場が見える。

 海水浴場は白くて綺麗な砂浜だ。まだ午前10時にもなっていないけど、日曜日なのもあって、海の家が並ぶ区域を中心に多くの人がいて賑わっている。1年前に琢磨達と遊びに来たときと変わらないな。


「素敵な海水浴場だね! 海も青くて綺麗だし!」


 千弦は目を輝かせながらそう言う。この海水浴場に来るのは初めてだからか、千弦は感動した様子だ。可愛い。


「そうだな、千弦」


 と言うと、千弦はニコッとした笑顔で「うんっ」と言った。


「海水浴場は素敵だし海も綺麗だよね、千弦ちゃん。あっちには富士山とか江ノ島が見えて綺麗……」

「絶景ね! テレビやネットで見たことあるけど、実際に見るといいわね」

「そうですね、玲央さん!」

「有名で人がたくさんいるのも納得な海水浴場ね」


 星野さん、神崎さん、結菜、山本先生もこの海水浴場の様子や海の景色に感動しているようだ。


「去年、早希とのデートとか、洋平達との遊びで来たけど、何度来てもいいところだな」

「去年と変わらず素敵な海水浴場だね! せっかくですし、『海だー!』って叫びませんか? 去年、琢磨君とのデートで一緒に叫んだら気持ち良かったですよ」

「気持ち良かったなぁ。賛成だぜ!」


 すぐさまに琢磨は賛成する。なので、吉岡さんはとても嬉しそうな様子だ。


「洋平達と遊びに行ったときも叫んだよな」

「叫んだな、琢磨発案で。周りに人がいたからちょっと恥ずかしかったけど、爽快感はあった」


 ちなみに、そのときに『海だー!』って叫んだのが初体験だった。


「俺も叫んでいいぞ」

「『海だー!』って叫ぶシーンは漫画やアニメで見たことありますね。一度もやったことがないので興味があります!」

「あたしもどんな感じか興味あるわっ」


 結菜と神崎さんは乗り気な様子。


「千弦と彩葉と飛鳥先生はどうですか?」

「結菜ちゃんの言う通り、漫画やアニメで見たことあるよ。人がいっぱいいるから恥ずかしいけど、洋平君達と一緒なら叫んでみてもいいかな……」

「私も同じ感じかな。みんなで叫ぶなら……」

「一度も体験したことないから、先生は叫んでもいいよ」


 結菜と神崎さんほどではないけど、3人も一緒に叫んでいいと考えているか。それが分かってか、発案者の吉岡さんは嬉しそうだ。


「では、みんなで海に向かって叫びましょう! せーの!」

『海だー!』


 吉岡さんの合図で、俺達は海に向かって思いっきり叫んだ。

 8人一緒に叫んだのもあってか、海水浴場にいる人や歩道を歩いている人の中から、こちらに振り向く人が何人もいる。『海だ!』と叫んでいるからか、「ふふっ」「あははっ」と声を出して笑っている人もいて。そうそう、去年も琢磨達と一緒に叫んだらこんな感じだった。ちょっと恥ずかしさはあるけど、大声で叫んだので爽快感が勝る。


「あぁ、気持ちいい! みんなと一緒に叫べて嬉しいよ!」

「いいもんだな、早希! 気持ち良かったぜ!」

「みんなで叫ぶのって気持ちいいですね!」

「スカッとするわね! みんなで叫んだから、青春って感じがした!」


 発案者の吉岡さん、すぐに賛成した琢磨、結構乗り気だった結菜と神崎さんはニコニコとした笑顔でそう言った。


「俺も気持ち良かったよ」

「周りの人から注目が集まってちょっと恥ずかしいけど、洋平君達と一緒に大きな声で叫んだから結構爽快だよ」

「恥ずかしさはあるけど、気持ち良さの方が勝つね」

「気持ち良かったね。教え子や中学生の結菜ちゃんと一緒に叫んだから、青春をちょっと味わえた感じがしたよ」


 千弦と星野さんと山本先生も叫んで気持ち良かったようだ。千弦と星野さんは恥ずかしさもあったようだけど。気持ち良かったのなら良かった。


「みんな気持ち良く叫べたなら良かったです。じゃあ、更衣室で水着に着替えましょうか」


 吉岡さんの意見に賛成し、俺達は海水浴場に設けられている更衣室に向かった。

 更衣室の前で待ち合わせをすることを約束して、琢磨と一緒に男性用の更衣室に入った。

 更衣室の中は俺達のように学生グループや親子連れなど、人がそれなりにいる。午前中という時間帯なので、水着に着替える人がほとんどだ。

 琢磨と俺は水着に着替えていく。

 俺の水着はもちろん、先月のプールデートの前に千弦に選んでもらった黒い水着だ。この水着を穿くと千弦とのプールデートのときのことを思い出す。

 あと、ペアネックレスは、遊んでいる間に何かの拍子でなくしてしまうかもしれないということで外す。水着を着ているときはネックレスを外そうと千弦と一緒に決めた。


「洋平のその水着姿は写真で見たことあるけど、実際に見るとよりいいな。似合ってるぜ」


 琢磨はいつもの朗らかな笑顔でそう言ってくれた。親友に似合っていると言ってもらえて嬉しいよ。

 琢磨は青い水着を穿いている。青だから爽やかな雰囲気も感じられていいな。


「ありがとう。琢磨もその青い水着似合ってるな。それが、吉岡さんに選んでもらったやつか?」

「おう、そうだぜ! 色々試着して、早希が『これが一番いい!』って言ってくれたんだ。洋平に似合っているって言ってくれて嬉しいぜ!」


 琢磨は言葉通りの嬉しそうな笑顔になる。白い歯を見せて。琢磨の嬉しい気持ちが存分に伝わってくるよ。

 着替え終わったので、琢磨と俺は更衣室を出る。そこには……まだ女性陣は誰もいなかった。約束通り、ここで琢磨と待っていよう。

 水着姿になったけど、日差しが照り付けているのもあって、着替える前よりも暑く感じる。ただ、たまに潮風が柔らかく吹き、それが気持ち良く感じられる。


「今年も洋平と一緒に海に来られて嬉しいぜ」

「俺も嬉しいよ。去年の海水浴は楽しかったし。去年遊び終わったとき、高2の夏休みも琢磨とか男友達と一緒に行くだろうなって思っていたけど……まさか、千弦っていう恋人ができて、千弦や琢磨の恋人の吉岡さんや妹や女子の友人達と担任の先生と来るとは思わなかったな」

「ははっ、そうか。俺も同じような感じだ。来年も洋平と一緒に海水浴に行くだろうと思ってたけど、俺と洋平以外はみんな女子だとは思わなかったぜ。1年のときみたいに男の友達だけで行くだろうと思ってたぞ」

「そっか。……今日も海水浴を楽しもう」

「おう! 洋平がいて、早希がいて、結菜ちゃん達がいるから楽しめそうだぜ!」

「俺もだ。琢磨や千弦達とだからな」


 琢磨の目を見ながらそう言うと、琢磨は白い歯を見せてニカッと笑った。

 それからは琢磨と海の方を眺めながら談笑しながら、千弦達が更衣室から出てくるのを待つ。

 海は青くてとても綺麗だ。見ているとちょっと涼しい気分になる。あと、波もあるけど、基本的には小さいので海で遊ぶのには問題ないだろう。

 そうしていると、


「更衣室前にいる男の子達、どっちもいいね」

「黒い水着と青い水着の2人でしょ? いいよね。黒い水着の子は金髪のイケメンだし、青い水着の子は大柄のマッチョで男って感じがするし」


「あの黒い水着と青い水着の子良くない?」

「いいよねっ。でも、あの雰囲気からして、彼女を待ってそうな気がする」

「だろうねぇ。2人とも女の子からモテそう」


 といった女性達の会話が耳に入る。

 水着などの特徴からして、おそらく俺達のことを言っているんだろうな。ただ、琢磨は全く気にしていない様子。自分が選んだ吉岡さんの水着姿を見られるからなのかワクワクしている。


「琢磨君、白石君、お待たせ!」


 更衣室の方から吉岡さんの元気な声が聞こえてきた。

 更衣室の方を見ると……水着に着替えた女性陣が更衣室から出てきていた。

 千弦はプールデートと同じく、水色のホルターネックビキニだ。とてもよく似合っている。ただ、あのときとは違って今は屋外で日差しが当たっているので、水着姿がきらめいていて。あと、何度か肌を重ねたのもあって、プールデートのときよりも大人っぽさや艶っぽさも感じられて。俺の選んだこのビキニを着た姿をまた見られ、この砂浜で見られることがとても嬉しい。

 星野さんはピンク色の三角ビキニで。ボトムスはスカートになっている。それもあって、星野さんらしい可愛らしさが存分に感じられる。ただ、そんな可愛らしさの中で、6人の中で一番大きな胸が存在感を放っており大人っぽさも。

 神崎さんは赤いクロスホルタービキニだ。赤色なのもあり、明るく元気な神崎さんらしさを感じる。日々、女子テニス部の活動をしているのもあって、均整の取れたスタイルだ。

 吉岡さんは白い三角ビキニだ。琢磨の彼女なのであまり注視してはいけないが……白い水着なので爽やかな印象だ。神崎さん以上に筋肉がついている。

 結菜はオレンジ色のフリル付きのビキニだ。明るくて可愛い結菜にピッタリだ。結菜は水着姿になっても本当に可愛いな。水着を買った日に「楽しみにしていてね」って言うだけのことはある。

 山本先生は黒いホルターネックビキニだ。黒なのもあって、先生の持つ大人っぽさや艶っぽさがより引き出されている。あと、先生の肌の白さが際立って。先生は背が高くてスタイルもいいので、大人の女性の水着姿って感じで素敵だ。


「おおっ、みんな水着姿いいっすね。早希は水着姿凄くいいぞ! 店でもいいと思っていたけど、ここで見るともっといいな! 最高だぜ!」


 琢磨は満面の笑顔で吉岡さんをはじめとした、女性陣の水着姿を褒める。吉岡さんの水着を褒める声が大きいので雄叫びのようにも聞こえるけど。琢磨は吉岡さんに向かってサムズアップする。


「えへへっ、ありがとう、琢磨君! 琢磨君もあたしの選んだ水着似合ってるよ! 最高だよ!」


 吉岡さんはとっても嬉しそうな笑顔でそう言った。そのことに琢磨はニコニコしていて。親友カップルの仲睦まじさに心が温まるよ。


「琢磨の言う通り、みんな水着がよく似合っていますよ。千弦は物凄く似合ってる。その水着姿を海水浴場でまた見られて嬉しいよ」


 琢磨に倣って、俺も水着の感想を言う。千弦の水着姿の感想を言うときは千弦のことを見つめながら。


「ありがとう、洋平君! 嬉しいよ。洋平君もよく似合ってるよ。その水着姿をここでまた見られて嬉しいよ!」


 千弦はニッコリとした笑顔でそう言ってくれた。そのことにとても嬉しい気持ちになる。頬が自然と緩んでいくのが分かった。


「どちらのカップルもお熱いこと。……似合っているって言ってくれてありがとね。白石と坂井も似合ってるわね」

「似合ってますよね。この水着を似合っていると言ってもらえて嬉しいです!」

「白石君、坂井君、ありがとう。2人もよく似合っているよ」

「白石君と坂井君にも似合っているって言ってもらえて嬉しいわ。2人も似合っているわ」

「白石君も似合ってる! ありがとう!」

「坂井君も似合ってるよ。ありがとう」


 女子6人は琢磨と俺にそう言ってくれた。妹や友達や担任の先生にも似合っていると言ってもらえて嬉しいよ。特に妹の結菜からは。俺と同じような気持ちなのか、琢磨は明るい笑顔になっていた。

 俺と琢磨は女子6人に対して「ありがとう」とお礼を言った。

 それにしても、千弦はもちろん、女性みんな水着がよく似合っている。美人で可愛い人ばかりだから、こちらを見てくる男性が多い。プールデートでは千弦がナンパされたし、今回も同じようなことがあるかもしれない。そういったときは守らなければ。


「じゃあ、みんな着替えたし、どこかいい場所を確保しましょうか」


 山本先生がそう言い、俺達は海水浴場の中を歩き始めたのであった。

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