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第3話『夏休みにみんなで行きたいところ』

 7月19日、金曜日。

 今日で高校2年生の1学期が終わる。4月の終わり頃からは千弦や星野さんや神崎さんと仲良くなり、6月の初め頃からは千弦と付き合い始めて毎日が楽しかったのもあり、あっという間に今日まで来た感じがする。


「いってきます」

「いってらっしゃい」


 俺は学校に向けて家を出発する。


「暑いな……」


 今日は朝からよく晴れている。なので、この時間でも暑さを感じる。

 ちなみに、今朝観た天気予報によると、今日はずっと晴れるとのこと。明日以降も晴れる日が多い。今日あたりで梅雨明けが発表されるだろう。

 数分ほど歩くと、千弦との待ち合わせ場所である交差点が見えてきた。さて、今日も千弦はいるだろうか。そう思って交差点を見ていると、


「洋平君!」


 交差点には、俺に向かって手を振る笑顔の千弦の姿があった。

 千弦の笑顔に心が温まりつつ、俺は「千弦」と名前を呼び、千弦に手を振りながら千弦のところへ向かった。


「おはよう、洋平君」

「おはよう、千弦。……おはようのキスをしていいかな」

「うんっ」


 そう言うと、千弦はそっと目を瞑る。

 笑顔の千弦も可愛いけど、キスを待つ千弦も可愛いな。そう思いながら俺は千弦におはようのキスをする。

 晴れて蒸し暑くなっているけど、千弦の唇から伝わる温もりはとても心地いい。ちょっと汗の匂いが混じった千弦の甘い匂いも良くて。

 数秒ほどして、俺から唇を離した。すると、目の前には千弦のニコッとした笑顔があった。

 洲中高校の方に向かう信号が青信号になったのが見えた。


「じゃあ、学校へ行くか」

「うんっ」


 手を繋いで、俺達は洲中高校に向かって歩き始める。


「今日で1学期も終わりだね」

「そうだな。何だかあっという間だったな。千弦や星野さんや神崎さんと仲良くなって、千弦と恋人として付き合い始めて毎日が楽しかったから」

「そう言ってもらえて嬉しいよ」


 千弦はニコニコとした笑顔でお礼を言う。今のような千弦の可愛い笑顔を1学期の間にたくさん見られたな。


「私も楽しい1学期だったよ。1学期中に洋平君と恋人になれたし。玲央ちゃんや早希ちゃんや坂井君とも仲良くなれたし。学校外だけど、結菜ちゃんともね」

「そうか。そう言ってくれて嬉しいよ」


 千弦も1学期を楽しく過ごせていたと分かって。俺と恋人になったことが、千弦が1学期を楽しいと思えた理由の一つになれて。

 その後も、千弦と1学期の思い出などを話しながら洲中高校に向かって歩いていく。

 洲中高校に到着して、俺達は昇降口で上履きに履き替え、2年3組の教室がある4階まで階段で上がっていく。いつものことだけど、今日で1学期が終わると思うとちょっと特別な感じがした。

 4階に到着し、教室後方の扉から2年3組の教室の中に入る。

 外は晴れて蒸し暑いから、エアコンが掛かっている教室がとても涼しくて心地いい。千弦も同じような気持ちだからか、爽やかな笑みを浮かべている。


「あっ、千弦ちゃんと白石君来た。おはよう!」

「おはようだぜ!」

「千弦、白石、おはよう!」

「おはよう、白石君、千弦!」


 いつもと同じく、教室後方の窓の近くに集まっている星野さん、琢磨、神崎さん、吉岡さんが朝の挨拶をしてくれた。


「みんなおはよう」

「おはよう、みんな!」


 俺と千弦も朝の挨拶をして、自分の席へと向かう。ちなみに、俺の席は窓側の最後尾で、千弦の席は俺の右隣だ。

 俺と千弦は自分の席に荷物を置いて、星野さん達のところへ。


「千弦ちゃん、白石君。今日で1学期が終わるし、2人が来たら海水浴の計画を立てないかって話していたの」

「そうなんだね」

「前に、夏休み中に海水浴へ行こうって話になったもんな」


 あれは6月の終わり頃、みんなで七夕祭りに行こうと決めたときだったな。千弦と俺がプールデートに行った話の流れで、夏休みになったらみんなで海水浴へ行こうという話になったのだ。


「夏休み中にグループトークで決めるのもいいと思うけど、今日決めれば、楽しみがある中で夏休みをスタートできていいかなって」


 と、吉岡さんは明るい笑顔で説明する。

 何か楽しみな予定があれば、夏休みをよりいい形でスタートできるかもしれない。


「確かに、吉岡さんの言う通りだな」

「そうだね。楽しみがあるのはいいことだし」

「だよねっ! じゃあ、海水浴について話そうか」

「そうだな。今決めた方がいいのは……誰を誘うか。いつ行くか。どこの海水浴場にするかの3つかな」


 俺がそう言うと、千弦達はみんな「そうだね」と同意した。


「まずは誰を誘うか決めようか。前に、『夏休みはみんなで海水浴に行こう』って話したときはあたし達6人だったよね。だから、あたし達は確定で……あとは結菜ちゃんと飛鳥先生かな?」


 吉岡さんは俺達のことを見ながらそう言ってくる。


「あたしは賛成。8人で一緒に遊園地や七夕祭りに行ったのは楽しかったし」


 神崎さんはすぐに賛成意見を述べる。

 神崎さんの言うように、俺達6人と、俺の妹の結菜(ゆいな)と、俺達の担任の山本飛鳥(やまもとあすか)先生と一緒に行った遊園地や七夕祭りは楽しかった。あの経験は大きい。この8人であれば、海水浴も楽しめると思う。


「俺も賛成だ」

「私も賛成だよ。玲央ちゃんの言う通り、遊園地や七夕祭りは楽しかったし」

「そうだね、千弦ちゃん。遊園地や七夕祭りと同じメンバーで行けたら嬉しいな」

「俺も賛成だぜ!」


 千弦達も賛成か。遊園地や七夕祭りは8人で行ったからな。


「じゃあ、誘う人は結菜ちゃんと飛鳥先生に決定だね。あたし、メッセージで海水浴に行くかどうか訊いてみる」 


 吉岡さんはそう言うと、遊園地や七夕祭りに行った8人がメンバーのグループトークに、


『結菜ちゃん、飛鳥先生、夏休み中に海水浴に行きませんか? 琢磨君、白石君、千弦、彩葉、玲央、あたしが行くのは決まってます』


 というメッセージを送った。

 七夕祭りから帰ったとき、結菜も山本先生も「七夕祭りに行ったメンバーでまたどこかへ遊びに行きたい」と言っていた。なので、2人とも一緒に行くと言ってくれる可能性が高いと思う。特に体が動かすのが好きな結菜は。


『いいですね! 海水浴行きたいです!』

『夏らしくていいわね。私も一緒に行くわ』


 結菜と山本先生からそれぞれそんな返信が届いた。

 2人とも一緒に行くか。それが分かってか、千弦達はみんな嬉しそうだ。俺達6人は「了解です」とか「嬉しいです」といった返信を送った。


『分かりました。いつ行くのかと、どこの海水浴場に行くのかも決めようってことになっていて。お二人は何か希望はありますか?』


 吉岡さんはそういったメッセージを送る。2人から日時や海水浴場の希望を訊くのは大切だな。


『行くのは日曜日がいいですね。日曜日なら部活は確実にお休みですから。海水浴場はどこでもかまわないです』

『仕事があるから、土日にしてもらえると有り難いわ。海水浴場はみんなに任せるわ』


 結菜と山本先生はそれぞれそういった返事をした。

 結菜は日曜日希望か。結菜が入っている女子バドミントン部は夏休みも部活がある。ただ、思い返すと、去年も部活に行く日は多かったけど、日曜日やお盆は休みだったな。

 山本先生は仕事があるから土日がいいか。

 結菜も山本先生も場所については特に希望はないか。

 吉岡さんは『分かりました』と返事を出した。


「じゃあ、次はいつ行くか決めようか。結菜ちゃんと先生の希望があるから日曜日がいいかな。あたしの入っている女子バスケ部も、夏休み中は日曜日は休みだから大丈夫。琢磨君の方もそうだっけ?」

「おう、男子バスケも日曜日は確実に休みだ」

「女子テニス部も日曜日は休みになっているわ」

「手芸部は夏休み中に活動がないからもちろん大丈夫だよ。彩葉ちゃんと一緒にコンサートスタッフのバイトの予定があるけど、それは日曜日じゃないし」

「そうだね、千弦ちゃん」

「洋平君ってバイトのシフトはどう?」

「8月の上旬までは決まってる。次の日曜日もシフトに入っていた気がする。ちょっと確認させてくれ」

「……そういえば、あたしも次の日曜日は家の用事があった気がする。確認するわ」


 俺はスラックスのポケットからスマホを取り出し、カレンダーアプリでシフトの予定を確認する。

 次の日曜は……21日か。この日はシフトに入っている。ちなみに、次の日曜の28日は……シフトが入っていない。


「次の日曜の21日はシフトに入ってる。その次の日曜の28日はシフトに入っていないから大丈夫だ」

「あたしも記憶通り、21日は家の用事があるわ。28日は大丈夫よ」

「じゃあ、28日にしよう」


 吉岡さんの言葉に、俺達は賛成した。

 吉岡さんがグループトークに『28日の日曜日に行くのはどうですか?』とメッセージを送る。するとすぐに、結菜と山本先生から賛成の返事が届いた。よって、28日の日曜日に行くことが決まった。


「行く日が決まったから、最後はどこの海水浴場に行くか決めようか。結菜ちゃんと飛鳥先生はどこでもいいとか任せるって言っていたから、あたし達6人で決めよう」

「そうだな、早希。……神奈川の湘南の海水浴場はオススメだ。去年、早希とのデートとか、洋平達男数人で遊びとかで行ったけど凄くいい海水浴場だったぜ!」

「凄く良かったよね、琢磨君! 海も砂浜も綺麗だったし、江ノ島とか遠くに富士山とかも見えたもんね。人気の海水浴場だから賑わっていたし」

「確かに、琢磨達と一緒に遊びに行ったとき、人がいて賑わっていたな。海も砂浜も景色もいいから、2人の言う通り凄く良かったな」


 晴天の下、琢磨達男数人で海で遊んだり、昼ご飯を食べたりするなどして楽しかったことを思い出す。


「洋平君達の話を聞いていたら、その海水浴場に行きたくなってきたよ」

「私も。あと、湘南地域の海水浴場は有名だもんね」

「ネットやテレビで見たことあるわ。それに、あたしも早希達の話を聞いたら行きたくなってきたわ」

「じゃあ、湘南地域の海水浴場にしようか」


 吉岡さんがそう言うと、琢磨や俺達はみんな賛成した。

 吉岡さんはグループトークに、行き先は神奈川県の湘南地域にある海水浴場に決まった旨のメッセージを送った。するとすぐに、結菜と山本先生から了解の旨の返事が届いた。

 また、山本先生が、洲中市から海水浴場まではなかなか距離があるし、荷物もあるから移動が大変だろうという理由で、レンタカーを借りて海水浴場まで連れて行くのはどうかと提案してくれた。俺達は先生の提案を受け入れた。

 去年、琢磨達と遊びに行ったけど、電車で1時間以上かかったな。何回か乗り換えたし、混んでいて座れなかった電車もあった。荷物もあるし、山本先生が運転する車で行けるのはとても有り難い。

 夏休みに行く海水浴について具体的なことが決まって、夏休みがより楽しみになった。

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