第39話『千弦への誕生日プレゼント』
料理やスイーツや誕生日ケーキが美味しかったり、みんなで話すのが楽しかったりするのもあって、和気藹々とした雰囲気で千弦の誕生日パーティーが進んでいく。
パーティーが始まってから3、40分ほど経ったとき、
「ねえ、千弦。このあたりで誕生日プレゼントを渡す時間にしようかなって思っているんだけど。どうかしら?」
果穂さんが千弦のところにやってきて、千弦にそう問いかける。
「うん、いいよ」
「分かった。みなさ~ん、ここで千弦に誕生日プレゼントを渡す時間にしまーす!」
果穂さんが元気良くそう言うと、みんなが『はーい』と返事をした。
俺や星野さん、果穂さんと孝史さんは別の部屋に誕生日プレゼントがあるので取りに行くことに。
俺は星野さんと一緒に千弦の部屋に誕生日プレゼントを取りに行く。
ボストンバッグを開けて、中から千弦への誕生日プレゼントが入った白い紙の手提げを取り出す。
また、星野さんはトートバッグから、淡い桃色の紙の手提げを取り出していた。あの手提げの中に千弦への誕生日プレゼントが入っているのだろう。
星野さんと一緒にリビングに戻ると、果穂さんと孝史さんは既にリビングに戻っておりクッションに座っていた。星野さんと俺もさっきまで座っていたクッションに腰を下ろした。
「彩葉ちゃんと白石君も戻ってきたね。では、これからプレゼントタイムです!」
「みんながどんなものをプレゼントしてくれるのか楽しみです!」
千弦はニコニコとした笑顔でそう言う。俺が用意したプレゼントで今のような笑顔にできるといいな。
「参加者がたくさんいるから、順番を決めた方がいいかしら? 千弦はどう?」
「決めた方がスムーズに進んでいいかも」
確かに、9人いるから、プレゼントを渡す度に「次は誰が渡すか?」となるよりも、事前に順番を決めた方がいいかもしれない。そう考え、俺は「賛成です」と言った。
また、俺以外にプレゼントを渡す8人も賛成したので、事前に順番を決めてから渡すことに。
「じゃあ、どういう順番にしようか?」
「一つ提案があります」
神崎さんはそう言って右手を挙げる。何かいい案を思いついたのかな。
「はい、玲央ちゃん」
「白石は最後に渡すのがいいと思います。恋人の白石がトリを飾るのがパーティー的に盛り上がりそうな気がするので」
どんな提案をするかと思ったら俺のことか。てっきり、「こういう順番にしましょう!」とか「あたしが最初に渡します!」って言うと思ってたよ。
「それいいかも!」
「あたしも賛成です、玲央さん!」
吉岡さんと結菜が賛成する。「パーティー的に盛り上がりそう」という言葉に惹かれたのだろうか。2人が賛成したことに神崎さんは結構嬉しそうだ。
「確かに、恋人の白石君がラストだと、プレゼントタイムの締めにいいかもね。千弦と白石君はどう? 特に白石君は」
「俺は……最後でかまいませんよ。千弦さえ良ければですけど」
「私は洋平君が最後でかまわないよ」
「了解。じゃあ、俺が最後に渡します」
「決まりね」
「ありがとう、白石」
「いえいえ」
神崎さんが予想するように、俺が最後にプレゼントを渡して盛り上がるといいな。
「洋平君が最後に決まりましたから、彩葉ちゃんから反時計回りに席順で渡すのはどうでしょう?」
千弦がそんな提案をする。
星野さんから反時計回りか。それなら、順番も分かりやすくていいな。
「私はそれで賛成だよ」
千弦の提案ではトップバッターになる星野さんが賛同の意を示した。それもあってか、俺を含めた他の8人も賛成した。
「では、彩葉ちゃんから反時計回りに席順で千弦に誕生日プレゼントを渡しましょう」
千弦の提案に決まった。なので、順番は星野さん、結菜、山本先生、果穂さん、孝史さん、琢磨、吉岡さん、神崎さん、俺となった。
こうして、千弦への誕生日プレゼントタイムが始まった。
「最初は私だね。お母さんとお父さんからのプレゼントもあるよ」
「嬉しいよ。どんなものか楽しみだな」
星野さんは2階から持ってきた紙袋を持って、
「千弦ちゃん、お誕生日おめでとう!」
「ありがとう!」
と、千弦に手渡した。
千弦は紙袋の中身を見ると、すぐにぱあっと明るい笑みを浮かべて、「わぁっ」と可愛い声を上げる。千弦は紙袋から、ピンクのリボンで結ばれた透明な袋を取り出す。その中には3色ほどのクッキーが入っている。よく見ると、クッキーの形は猫の顔になっている。
「クッキーだ!」
「うんっ。今年もクッキーを作ったよ。プレーンと抹茶味とココア味が入ってるよ。猫好きだから猫の顔の形にしました」
「美味しそうだし可愛いねっ。彩葉ちゃんのクッキーは美味しくて大好きだから、今年ももらえて嬉しいよ!」
とても嬉しそうに言う千弦。
星野さんからクッキーをもらうのは毎年恒例なのか。嬉しそうに美味しくて大好きだと言うのだから、毎年恒例になるのも頷ける。
「良かった。もちろん、クッキーの他にもプレゼントがあるよ」
「……これかな?」
そう言って、千弦が取り出したのは赤色のラッピング袋。こちらもピンクのリボンで結ばれている。星野さんは「うんっ」と頷く。
千弦がリボンを解いて、ラッピング袋の中に入っていたのは細長い箱。その箱の中に入っていたのは、淡い桃色のシャーペンだった。
「シャーペンだ! ピンクで可愛い」
「私、同じブランドのシャーペンを使っているんだけど、とても書きやすくて、長い時間勉強しても疲れにくいの。シャーペンは普段から使うものだし、来年は受験生になってたくさん勉強するだろうから、少しでも快適に勉強できるといいかなって」
「ありがとう。長時間勉強すると疲れちゃうときもあるから、書きやすいシャーペンはとても嬉しいよ」
「良かった。あと、誕生日プレゼントだから、記念に名前を入れてもらったんだ。特別な感じがしていいかなって」
「……あっ、『Chiduru Fujiwara』って書いてある! 彩葉ちゃんの言う通り、特別なものって感じがして嬉しいなぁ。今後の勉強をより頑張れそうだよ。ありがとう、彩葉ちゃん!」
千弦はとても嬉しそうにお礼を言った。そのことに星野さんも嬉しそうで。親友同士が笑い合っている光景……いいな。
星野さんのもう一つのプレゼントはシャーペンか。星野さんの言うように、シャーペンは普段から使うし、来年は受験生になって勉強量も多くなる。だから、書きやすくて疲れにくいシャーペンというのはいいなって思う。記念になるように名前を入れるのを含めて、星野さんらしい優しさが感じられるプレゼントだと思った。
「こっちのちょっと大きめの箱が詩織さんと良介さんからの?」
「うん。お母さんとお父さんから。果実系のゼリーのセットだって。千弦ちゃんは果実系のゼリーが好きだし、暑い季節だから冷たくて美味しく食べられるのがいいと思ったから選んだって言ってたよ」
「そうなんだねっ! 嬉しいなぁ。あとでお礼のメッセージを送るよ」
「うんっ。私からも伝えておくね」
「分かった」
千弦……ゼリーの入っている箱を嬉しそうに見つめている。
星野さんの御両親は果実系のゼリーセットか。暑い時期はゼリーやプリン、アイスといった冷たいスイーツが特に美味しく感じるよな。
「彩葉ちゃん、ありがとう」
「いえいえ」
「……次はあたしですね。あたしもお母さんとお父さんからのプレゼントも持ってきています」
「そうなんだね、結菜ちゃん。嬉しいなぁ」
千弦は嬉しそうな笑顔でそう言う。
母さんのいる前で誕生日パーティーやお泊まりの招待をしたのもあって、母さんと父さんも千弦に誕生日プレゼントを用意すると言っていた。当日は結菜に持たせるとも。
結菜はバッグから茶色の紙の手提げを取り出し、千弦の側まで行く。
「千弦さん、お誕生日おめでとうございます!」
「ありがとう!」
千弦は嬉しそうな様子で、千弦から紙の手提げを受け取る。
千弦は手提げから、リボン付きの小さな袋を取り出す。袋を開けると、中には水色のタオルハンカチが。
「タオルハンカチだ」
「それはあたしからのプレゼントです。ハンカチなら学校でも使えますし、暑い季節ですから汗を拭くにもいいと思いまして」
「そういうことなんだね。ありがとう!」
「いえいえ」
千弦が喜んでくれたのもあり、結菜は嬉しそうだ。良かったな、結菜。
結菜からのプレゼントはタオルハンカチか。とてもいいプレゼントだと思う。さすがは結菜だ。
「大きめの箱も入っていますけど、それが両親からのプレゼントです。ゾソールのコーヒーと紅茶のセットが入っています。今は暑い季節なので、アイスコーヒーやアイスティーを楽しめるセットだそうです」
「千弦はコーヒーや紅茶が好きだって教えたからな。少し前に、俺のバイト中に母さんが買いに来たんだ。夏向けに、水で作れるコーヒーや紅茶がセットになってるやつだよ」
「そうなんだね! コーヒーや紅茶は好きだし、ゾソールのは特に好きだから嬉しいよ。由美さんと連絡先を交換したから、お礼のメッセージを送っておくよ」
「はい。あたしからも伝えておきますね」
「俺からも伝えておく。喜んでたって」
「うんっ」
きっと、両親は喜ぶんじゃないかと思う。
あと、俺からのプレゼントではないけど、ゾソールの商品を喜んでくれたので、ゾソールでバイトしている人間として嬉しく思うよ。
結菜は自分の座るクッションに戻っていった。
「次は私だね~」
山本先生はそう言い、先生はバッグから黒い袋を取り出して千弦のところへ向かう。先生……お酒で酔っ払っているから、普段よりも柔らかい雰囲気になっている。
「藤原さん、お誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます!」
千弦は山本先生から誕生日プレゼントが入っている袋を受け取る。袋を開けて中身を取り出す。それは、美形の男性2人が見つめ合っているイラストが表紙の文庫本だった。
「文庫本ですか。表紙の雰囲気からしてBLものですか?」
「そう! 私の一番好きなBL小説だよ! 藤原さんはBL小説も読むって言っていたからプレゼントにいいかなと思ってね」
BL小説が好きな山本先生らしいチョイスだと思う。あと、BL小説のことだから先生のテンションが上がっていて。可愛いな。
そういえば、以前、俺のバイト先で、山本先生は千弦や星野さんや神崎さんと、BL小説を見せて談笑していたことがあったな。そういったことも、誕生日プレゼントにBL小説を選んだ一つの理由かもしれない。
「ありがとうございます! 読んでみますね!」
「うんっ! 楽しんでもらえたら嬉しいわ!」
「はいっ。読み終わったら語りましょう」
「うんっ!」
山本先生はニコニコとした笑顔で返事をして頷く。それもまた可愛くて。
山本先生は自分の座るクッションに戻っていった。
「じゃあ、今度はお父さんと私からね」
そう言い、果穂さんと孝史さんはクッションから立ち上がり、千弦のいるところへと向かう。果穂さんが白い紙の手提げを持っている。果穂さんと孝史さんは両親からとしてプレゼントを渡すのだろう。
「千弦、お誕生日おめでとう」
「母さんと父さんからのプレゼントだよ」
「ありがとう!」
千弦は果穂さんから紙の手提げを受け取る。
手提げから取り出したのは……淡い桃色が特徴的な財布だ。誕生日プレゼントにするのもあって、なかなか高そうな感じがする。
「お財布だ」
「母さんと相談してこの財布にしたんだ」
「使いやすそうで、可愛い色だし千弦はピンクが好きだからこのお財布にしたの」
「そうなんだね。大切に使うよ。ありがとう!」
千弦はとても嬉しそうな笑顔でお礼を言った。そのことに、果穂さんと孝史さんは嬉しそうにしている。
プレゼントを渡し終えたのもあり、果穂さんと孝史さんは自分の座っているクッションに戻った。
「次は俺だな」
琢磨はベージュ色の紙の手提げを持って、千弦のところへと向かう。
「藤原、誕生日おめでとう」
「ありがとう、坂井君」
千弦は琢磨から紙の手提げを受け取る。
「中にはマカロンが入ってるぜ。勉強会のときに甘い菓子を美味そうに食ってたのを思い出したからマカロンにした」
「そうなんだ。マカロンも好きだから嬉しいよ。ありがとう」
「おう!」
琢磨らしい明るい笑顔で返事をして、琢磨は自分のクッションへと戻る。その際、吉岡さんに「良かったね」と笑顔で言われていた。
琢磨からのプレゼントはマカロンか。琢磨の言う通り、千弦は試験対策の勉強会での休憩のとき、甘いお菓子を美味しそうに食べることが多い。きっと、そのことで千弦は甘い物好きだ考え、マカロンを選んだのだろう。
「次はあたしだね」
吉岡さんはバッグから桃色の紙の手提げを取り出し、千弦のところへやってくる。
「千弦、お誕生日おめでとう!」
「ありがとう!」
千弦は吉岡さんから紙の手提げを受け取る。手提げの中身を見ると、
「わぁっ」
と、可愛い声を上げて、手提げから黒白のハチワレ猫のぬいぐるみを取り出した。千弦の両手で収まる程度の小さめのぬいぐるみだ。
「猫のぬいぐるみだ! 可愛い~」
「ふふっ、良かった。千弦は猫が大好きだから、猫絡みのものをプレゼントしようと思って。最寄り駅の近くにあるショッピングセンターを歩いていたら、そのぬいぐるみを見つけて。あまり大きくないから、抱くのはもちろんベッドや勉強机とかに置くインテリアとしてもいいかなと思って」
「そうだね。勉強机に置いておくのいいかも。勉強の合間に見たり抱いたりしたら癒やされそうだし」
「ふふっ、そっか。喜んでもらえて良かったよ」
「猫が大好きだから嬉しいよ。ありがとう!」
千弦は嬉しそうな笑顔でお礼を言った。そんな千弦に、吉岡さんはニコッとした笑顔で「いえいえ」と言う。
千弦は猫が好きだし、猫カフェに行ったときはとても楽しそうにしていた。吉岡さんも千弦と一緒に猫カフェに行ったことがある。だから、吉岡さんが猫絡みのものをプレゼントしようと考えたのは納得だ。
吉岡さんは喜んだ様子でクッションに戻った。その際、琢磨が「良かったな」と言って、吉岡さんの頭を撫でていた。
「じゃあ、次はあたしね」
神崎さんはそう言うと、バッグから少し大きめの袋を取り出し、千弦の側まで向かう。
「千弦、お誕生日おめでとう!」
「ありがとう!」
千弦は神崎さんから大きめの袋を受け取った。袋の中から取り出したのは、水色のタオルと細長い箱だ。箱にはチューブ容器の写真がプリントされている。
「タオルと……箱に入っているのは日焼け止めかな。見たことある商品の写真だよ」
「そうよ。夏の暑い時期なのもあって、スポーツタオルと日焼け止めにしたわ。どっちもあたしが部活のときを中心に使っていてね。このタオルは汗をよく拭けるのよ。日焼け止めは肌に優しくて、汗で流れ落ちにくいの。どっちも凄くいいわ」
「そうなんだ。屋外でテニス部の活動をしている玲央ちゃんが言うと説得力があるね。肌も綺麗だし。これからはより暑くなるし、梅雨明けしたら晴れる日が多いからタオルも日焼け止めも凄く嬉しいよ! ありがとう!」
「喜んでくれて嬉しいわ」
「うんっ。どっちも使わせてもらうね。タオルは体育の授業のときに拭くタオルにするよ」
「ええ。体育の授業は1学期中にまだあるから、そのときが楽しみだわ」
神崎さんは言葉通りの楽しげな様子でそう言った。
スポーツタオルと日焼け止めか。テニスをしている神崎さんらしさを感じられるプレゼントだ。あと、自分が使っているものを選ぶところも。
神崎さんは自分のクッションに戻っていった。
「じゃあ、最後は俺だな」
いよいよ、俺の番になったか。俺が用意した誕生日プレゼントを喜んでもらえるだろうか。緊張する。
俺は千弦の方に体を向けて、
「千弦。誕生日おめでとう」
俺はクッションの側に置いてある白い紙の手提げから、白くて細長いケースを一つ取り出して、千弦に渡す。
「ありがとう、洋平君!」
千弦はとても嬉しそうに俺からケースを受け取った。
千弦はケースを開けると「素敵……」と呟く。ケースに入っている俺からのプレゼントは――。
「シルバーのネックレス……とても綺麗で素敵だね!」
千弦はとても嬉しそうな様子でそう言ってくれた。
そう。俺からの誕生日プレゼントはシルバーのネックレスだ。プレート付きのシンプルなデザインだ。
「デートのとき、千弦はたまにシルバーのネックレスを付けるからさ。そのネックレスは好きだって言っていて。それがネックレスをプレゼントしようって決めた理由の一つだ」
「理由の一つ?」
「ああ。プレートのところをよく見て」
「うん」
千弦は集中した様子でネックレスを見る。
プレートがどうなっているのか気付いたのか、千弦ははっとした様子になる。
「『Eternal Love 7.13 Chiduru & Youhei』……メッセージと誕生日と私達の名前が刻まれてる」
「ああ。お店に行ったとき、プレートに名前やメッセージを入れることができるサービスがあるって知って。星野さんと同じで、名前を入れれば特別な感じがしていいかなと思って。あとは、好きな気持ちも改めて伝えたくて」
「そういうことなんだね」
「ああ。あと、そのネックレス……実はペアネックレスなんだ。千弦と一緒のものを持ちたくてさ」
そう言い、俺は紙の手提げに入っているもう一つのケースを取り出し、蓋を開けて千弦に見せる。中には千弦に渡したものと同じデザインのシルバーのネックレスが入っている。もちろん、プレートに刻まれた文字も。
「本当だ。私にくれたものと一緒だね!」
「ああ、そうだ。これが俺からの誕生日プレゼントだ」
「ありがとう! ネックレスでも嬉しいのに、洋平君とのペアネックレスだなんて。本当に嬉しいよ! ありがとう! 大切にするね!」
千弦はとても嬉しそうな笑顔でそう言ってくれた。そのことにとても嬉しい気持ちになり、胸が温かくなる。
千弦がここまで喜んでくれるなんて。名前やメッセージなどを刻んだペアネックレスにして良かった。
「とっても素敵なプレゼントだね! 良かったね、千弦ちゃん!」
「凄くいいプレゼントじゃない。白石をラストにして正解だったわ」
星野さんと神崎さんは笑顔でそう言う。2人の言葉に同意しているのか、みんな笑顔で「そうだね」と言ったり、うんうんと頷いたりしている。そのことに千弦はとても嬉しそうにしていた。
「ねえ、千弦ちゃん、白石君。ペアネックレスなんだし、記念にネックレスを付けて写真を撮らない? もちろん送るよ」
「それいいね! 洋平君、撮ってもらおうよ!」
「そうだな。お願いするよ、星野さん」
「お願いします、彩葉ちゃん」
「分かった!」
その後、俺と千弦はペアネックレスを付ける。俺はネックレスを全然付けないのでちゃんと付けられるか不安だったけど、何とか付けられた。
また、千弦はデートのときに付けることもあってか、すぐに付け終わっていた。ペアネックレス……よく似合っているなぁ。
「よく似合っているよ、千弦」
「ありがとう。洋平君も似合ってるよ」
「ありがとう」
「洋平君とペアでネックレスを付けられて嬉しいよ!」
「俺もだよ」
「2人とも似合ってるね。じゃあ、写真撮るよー」
その後、星野さんはペアネックレスを付けた千弦と俺をスマホで何枚か撮影した。その写真は星野さんと千弦と俺がメンバーになっているグループトークにアップされた。
写真をさっそく確認すると……どの写真も千弦は可愛く写っており、俺がプレゼントしたネックレスもよく似合っている。あと、俺も千弦も同じネックレスを付けているのっていいな。
「これで全員が誕生日プレゼントを渡したわね」
「そうだね、お母さん。……みなさん、素敵な誕生日プレゼントをありがとうございました! とても嬉しいです!」
千弦は俺達に向けて、満面の笑顔でお礼を言った。そんな千弦に俺達は「おめでとう!」と言って拍手を送る。そのことで千弦はよりいい笑顔になって。
料理やスイーツや誕生日ケーキがまだ残っているのもあり、それからしばらくの間は千弦の誕生日パーティーが続いた。