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家の猫  作者: ピタピタ子
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発覚2

高齢女性は携帯で写真を見せた。

「ん?あんた見覚えあるかい?息子を知ってるの?」

「いえ、よく見たら違いました。人違いですね。そんな人知りませんよ。」

写真に写っていたのはミシェルだった。彼女は思わず声を出しそうになった。

「そうか。そんな偶然あるわけ無いわね。もう私は縁をきられた身だからしょうがないわね。いや自ら園をきったんだ。私にはもうどうしようも出来ない。今40歳だから、本当に手遅れなのよ。」

ミシェルは嘘をついていた。お母さんは死んでなんていなかった。まだまだ不調を訴えるほどの状態ではないから。エロディーはお金を騙し取られていた。そんなことも知らずに何回かお金を貸していた。このまま気がつかなかったら、気がついた頃に自然消滅していただろう。

「その息子さんと何かあったんですか?もし良ければカフェで話しましょう。私ちゃんと話聞きますよ。私奢るので。」

2人はカフェに移動した。

「お金くらい自分で払うわ。」

「そうですか。分かりました。」

コーヒーがテーブルに置かれた。

「すみません、ケーキもお願いします。」

ケーキを頼むと本題に入った。

「それで息子さんと何があったんですか?」

「私、過保護過ぎたの。元々あんな感じでは無かった。あれは息子が7歳の時よ。その時、息子が誘拐されたの。」

「犯人は捕まったんですか?」

「捕まったわ。彼らの目的は臓器売買よ。それから私は狂ったわ。それからどの親より過保護になったの。学校のどんな友達と遊んだか事細かに聞いたし、家事なんて危なくて全くさせなかった。」

「そんなことが起きたらそうなるのも無理はないです。それに誰か頼れる人もいなかったんですよね?」

「いないわけでは無かったけど、その時の私にはあの事件のことで頭いっぱいだったの。」

女性はかなり悲しい表情をしていた。

「今思えば一人でやってたことも全部私がやってた。13歳頃までずっと息子と寝てたし、勉強中も誘拐犯に連れてかれないかずっと見張ってたの。学校で他の所で旅行の話になると息子を行かせようとはしなかったわ。」

勢いよくコーヒーを飲む。

「同じのください。」

コーヒーがテーブルに運ばれる。

「もちろん学校側とも話し合いになったわ、全力で私は止めたわ。今思うと息子は旅行したいと何回か行ったことあるけど、息子を守ることしか考えて無くて一度も行かせてなんてない。」

ミシェルは思春期が来てもそれに疑問を思うことなく、全部親がやってくれるだろうと思っていた。それが彼の中にも当たり前になった。人間こそ環境に適用する生き物だ。大体の生物は生き残るために環境に適応するのだが、死ぬ確率や心が傷つく確率が高い環境にも人は適応しようとする。たとえ自分の利益が搾り取られる宗教だろうと、たとえ自分の人生を阻害するような環境であろうと疑問に思ったり、考えることが出来なければそういう環境に騙されて適応するしかない。人間も決して楽ではない。

「成人した頃に、流石に息子に何でもやってあげることをやめたの。そしたらすごいわがままになって、コントロール出来なくなったの。すごい怒りっぽくなって。それから残酷なことに、息子を追い出したの。二度と帰って来るなって。」

「それで罪悪感を感じてるんですね。その後どうなったのか知ってるんですか?」

「風の噂で色んな女性の所に居候してるらしいの。何とか小さい頃の夢の花屋の仕事をやったみたいだけど、今どうしてるのかしら。」 

彼は最近花屋をやめたばかりだ。長年女性の所に居候してるもんだから、女性の扱い方をよく分かっている。

「私の友達、まさに同じような人と付き合ってますが、人に依存してお金を巻き上げてるみたいですよ。彼のバックグラウンドを知っていても、何でも許さなきゃいけない義務なんてないと思いますけどね。あなたのぶんも払いますのでさようなら。」

女性は追いかけようとしたが、そのまま会計に向かった。

家の近くに近づくと隣人の女性に声をかけられた。

「あんた相当不機嫌ね。良いこと教えようか?あんたの彼氏、色んな女からお金を巻き上げてるのよ。」

女はエロディーを馬鹿にした。

「だから何?それで自分が優位にでもたったつもり?行っておくけどそんなこととっくのとおに知ってるのよ。」

彼女は家につくと思い切りドアを閉めた。彼女はミシェルとその母親の同情と苛つきのジレンマに襲われていた。二人が完全なクズでは無いからすごい悩んでいた。私はそんな彼女を見て、優しくゆっくりとそばで寝た。私の力だけでも彼女の気持ちが緩和するならとても嬉しい。

「ムスタシュ。」

私とエロディーはちょうど良い距離感なのかもしれない。人間なら、後ろから抱きしめたい。彼女は私をゆっくりなでて、一連の出来事を気にしないようにした。少し気持ちが混沌としても平常心を取り戻そうとした。

少し落ち着いて、彼女は本屋に向かおうとした。すると、クレアとミシェルが一緒に歩いていた。

「ん?何で二人で会ってるの?」

二人は抱き合ってキスをしていた。彼女はワインボトルを開けてワインを思いっきりかけた。さらにミシェルをビンタした。

「きゃーー、何すんの?エロディー!?」

クレアはかなり動揺していた。

「お前なんでここにいるんだ?」

彼も彼女にビンタをした。

「こっちも色々聞きたいのにね。」

「落ち着け。」

再びワインをかける。

「クレアもどういうこと?」

「彼から誘ったのよ。だから私は関係ないの。」

「クレアはもう帰って良いわ。今はあなたと争ってる場合じゃないくらい私は分かってるわ。」

クレアは駆け足でいなくなった。

「こんな所だと警察沙汰になるから、家で話そう。」

彼女はミシェルと帰宅した。ドアが開くと私はすぐにエロディーのもとに近づいた。

「ムスタシュ、今からご飯上げるからね。」

私はいつものお気に入りのキャットフードを食べた。

「部屋を変えて話そう。ここだと喧嘩の声でムスタシュが落ち着かないわ。」

もうあの男と別れるのは時間の問題だろう。早く別れないかドキドキしていた。あの男をどうかすぐに捨てて欲しい。

「今日、あんたのお母さんに会ってきたわ。あんたって思考停止したままの可哀想な人間なのね。」

私はキャットフードを食べ終わるとかすかに空いたドアから二人の様子を見た。

「脅しか?」

「脅しだと思うならそう思えば?あんたのお母さん入院してたの嘘だったみたいね。」

「何でそれを!」

とっさに鍵を締めた。

「その反応、やっぱり本当なのね。」

「証拠はあるのか?」

「証拠は私の証言よ。たまたまスーパーで会って元気だったの。」

「ママは元気だったか?」

「こんな状況でもこんなこと言うなんて、あんたのママはさっきいたみたいに元気よ。罪悪感という重い荷物を毎日背負ってるけどね。いつか潰れちゃうんじゃないかしら?」

何だか嫌な予感がした。私は必死にドアを引っかいたが二人はその音には気がつかなかった。

「もう、こうするしかないわ。」

スタンガンを彼に当てて、彼は気絶した。ドアを少し開けた。さらに数発のスタンガンを彼に当てた。

「こういうの一度はやりたかったのよね。」

彼女はとても狂っていた。いつもの彼女とは違っていた。彼女が部屋を出ようとすると寝たふりをした。

「これからが楽しみなのよ。」

彼女はキッチンに行き、飲み物を飲んだ。

「ムスタシュ。お皿洗うね。」

私の使った皿を洗った。男が倒れても何も無かったかのように普通に家事をしていた。彼女は見張るたびに男にスタンガンを当てた。彼女はニヤついていた。壁にもスタンガンを当てていた。そして彼女は例の部屋に戻った。床にある隠し扉を開けた。流石に物で隠れていてそんな所にあったのを知らなかった。彼女はミシェルを引きずっていく。やっぱり彼女も私に隠し事をしていた。そんなつもりは無かっただろうが私は知らないことが多かった。ドアが開いているので、様子を見ようとした。

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