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紅蓮の道しるべ  作者: カノン
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プロローグ

某日


 クロノス魔法学園、その名に時の神が宿る広大な敷地を持つこの学園は魔王軍の襲撃を受けていた。


 戦場は火の海と化し、魔王軍は猛威を振るう。


 「もういいだろう、いい加減お前の相手をするのも飽きてきた、さぁ、クロノトリガーを渡せ。」

 鎧を纏った男は、そう言うと、無数の魔法陣を向けた。


 「あれは、僕ですら使うのを渋るんだ。ましてや君なんかに、渡すわけにはいかないよ。」

 そう言って片手を上げ、一つの魔法陣を描いた。

 背丈は低く、子供のような容姿をしている彼はミュエル・クロノス・セレシス、クロノス魔法学園の学園長である。

 

 「上級合成魔法『王のキングフィスト』」

 魔法陣から次々と魔法が放たれ、一瞬にして、ミュエルの周囲を覆うが。


 「時間魔法 オーバークロック『時間減速タイムロー』」

 ミュエルが魔法を放つとみるみると減速していき、消滅した。


 「僕にかかれば、こんな作業朝飯前さ。」


 「俺には時の力は通用せんぞ。」


 「うん、確かにそれは少しびっくりした。どこで手に入れた力なのかは知んないけど、まあいいや。時間魔法で干渉できるのは周囲のものだけじゃないからね。」

 

 「時間魔法 オーバークロック『時間加速タイムアクセル』」

 そう言うと彼は、尋常ではない速さでの攻撃を開始した。


 「時間加速を自分にかけ、圧倒的な速さでの攻撃。確かに驚異だが、自身への負荷も相当だろう。」


 「へへっ、バレちゃった?だからこっからは持久戦だよ。」


 「くだらん。」


 爆発音、破裂音が響き渡り、戦いの熱は増すばかりであった。

 

 次第に音は小さくなり、勝者と敗者、二つの影だけが残った。

 

 「どう足掻こうと、私に抵抗した時点でお前の敗北は決まっていた。だが最後はなかなか楽しめた。もう少し遊んでやりたいが、お前にもう用はない。」

 男は剣を高々と掲げた。

 

 「九級 火炎魔法『激龍』」


 声のほうを見る頃には男は炎に飲まれていた。

 男は困惑したが、冷静さを失わず炎を薙ぎ払い、放たれた方角にいる一人の男に目を向けた。


 「誰だ貴様。」


 彼はこう答える。


 「カイト・ヴァイレイン。」

 

 ひとまずここまでをプロローグとし、俺の記憶の話を終わらせる。

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