結界崩壊
目が覚めると再び牢屋に入っていた。
「またか。」
「お帰り。ジョージ。」
目の前にはリンドバーグがいた。
「なんでお前が?」
「うん?それは君の担当だからだよ。」
「お前が?」
「そうさ。さっきは少し監視を甘くしてたんだけどね。」
「甘くしていた?あれで?」
「君に少しでも反省する気持ちがあればと思ってね。」
「反省?俺が?何を?」
「6年前のヘルメスを殺した1件だよ。忘れたとは。」
「ああ。あれか?お前ら人間があのままでは死んでいたんだぞ?」
「それは。ないとは言えないね。」
「では俺はなぜこんなところで?むしろ助けたろ?」
「そんなことをなぜ言わなかった?」
「言わなかった?待て。分からんが?」
「どちらにしても君はもうすぐ罪人として生涯を終える。しっかりと反省するんだ。ではね。」
そういってリンドバーグは去っていった。
なるほどね~。そういうことか。もっと賢いと思っていたんだが。こうなってくると俺の仲間もどこまで頼れるかわかったものじゃないな。
「うーん。難しいなあー。」
そう思いつつ、眠りにつく。夜は更けていった。
朝、急報が届いた。
「なぜ急に悪魔がこんなことを?」
「わかりません。何かしらの事情があったのかどうかもちょっと。」
その内容は、悪魔族の結界の崩壊というニュースだった。
「ということはどうなるんだ?」
「今から結界により侵入されていていなかったから神が来るんじゃないか?」
「「それだ!!」」
魔術師たちが外に出ると、結界が崩壊していくのが目に見えた。景色がどんどんと変わっていく。
そして、それを待っていたかのようにその外から魔力の濃密な塊が迫って来ているのがわかった。魔術師たちは皆気配にビクついていた。
協会本部
本部長とリンドバーグが話していた。
「うん。なぜかこのタイミングか。」
「それは一体?」
「お前はなんとも思わないのか?」
「ジョージですか?」
「そうだ。」
「あいつは眠っていたんですよ。今まで。」
「うん。そうだな。だがもう引き金は引かれた。」
「そうですね。」
パラウ草原
「ウム。やっとか。結界もやはり耐久度が下がっていたのだろう。」
ゼウスは、そう言って魔力を放ちつつ前進していく。そこに、
「おじいさん。少しは手加減してくださいよ。」
「またお前さんか。何回やっても勝負にならんからもう嫌じゃ。」
タカミネが立っていた。