神
「はあー。眠い。」
神アレスはこの6年様々な戦いをしてきた。権能の力を使って広大な領域を支配した。なのにある程度まで行ったところで止まった。なぜだ。結界が貼られた。あれは神にとっては天敵のような力を持っていた。それから学院の生徒だという魔術師、雑魚どものはずだったのに数人の強者が命をかけて、時間を稼ぎやがった。その間に。クソ!クソ!
今も!
「狂乱の宴」
この音の領域の中では普通は死ぬほうがマシなのに。こいつらは。
「いくぞ!神!」
「炎銃」
炎の弾幕は、かなりの熱さだ。一発でも当たれば、俺でも。だから避けるしかない。避けて、あいつのところに行きたいのに。岩石が襲ってくる。
足が囚われる。それを剣で払うがその間に再び炎が迫ってきていた。
「なんだ。この程度?」
「あ?」
人間は不思議なことを言っていた。
こんな危機感は初めてだった。いつの時代も神は栄光とともに勝利を手にしていたのに。
「はあ。はあ。クソ。まあいい今日もこの程度で終わってやる。劣等種が。」
そう吐き捨てて消えた。
「今日もこんなものか。」
「そうだな。なんか呆気ないな。」
魔術協会の最上位パーティーの一つ、神狼はクエストの一つとしてアレスの撃退を請け負っていた。
「流石だね。あの炎の威力。」
「そっちこそ岩の足止めはなかなか厄介だぞ。」
今日もクエストをこなし悠々と引き上げていく神狼。
協会の本部に行くと中ではたくさんの魔術師たちが忙しく動いていた。
「おお。お帰り。ご苦労さん。」
「お疲れさまです。なんかすごい忙しそうですね?」
「そうなんだよ。今日はリンネ様が来る日だからな。」
「おお。そうか。そんな日でしたか。歓迎の準備ですか。よしよし。」
「お前はやめとけ。準備を見守っとけ。」
「え?あいつらがやっと帰って来るのにか?」
「そうだよ。リンネはお前の、いやみんなの無事な姿を見られるだけで嬉しいはずだからな。」
「そうか。ならば大人しくしておこう。」
アハメドは、リンドバーグにそう言うと奥の部屋に入っていった。
他の魔術師は忙しくしていた。
「今日は4つの方向全てで撃退に成功した。そのうち、南を担当している英雄の矛が本部に寄るということだ。」
「なぜだ?」
「なんでも戦意の鼓舞だと。」
「へえー。すごい余裕だな。こんな状況で。」
「彼は特別だからな。」
「彼って?」
「リンネ様の旦那だよ。名前はタカミネだ。」