女神
その女とは、俺が再就職を目指す、職業訓練センターで出会った。
とても美しく、今まで見たどの女性よりも華がある上に、美形だった。
その女性が、俺に教えてくれたこと。それは、
「あなた、子供の頃、皆が悪いことをする中、一人踏みとどまって、良いことしたわね。」
その女性はある種、霊感に近いインスピレーションを持っており、その大きな瞳に見つめられると、文字通り、心の奥まで見透かされる気持ちになったし、実際見抜かれた。
「君、すごいね」
そして、すっかり自信を無くしていた俺に、
「あなたはとてもできた人。恋愛対象として見てもいいかな?」
え?
俺は心の中で驚きを隠せなかった。
今まで自分を不細工だとしか思っておらず、恋愛など俺には関係ない、と思っていた俺に、彼女ほど超美人な女性が…。
俺は何も答えられなかった。
「兎に角、あなたは過去にほかの友達に流されず、善行をしたことで、神様がある一定期間、それこそ、ローマ法王が交代するまでの間、あなたに神のチカラを与えたのよ」
そして俺はその後も様々な女性と付き合ったが、彼女を超える美女には一度たりとも会ったことが無い。
さよなら、愛をくれたあの人は、遠い空に恋焦がれて、この瞳に揺らめいていた。
そして、今に至る。
――了――