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益子シロ
「あなたを愛したせいで、もうすべて終わりよ」
そういって彼女は出ていきました。
それから二年、僕は抜殻の日々を送っていた。
そんな毎日に突然、君が現れた。
益子シロ。たしかに君はそう名乗った。
見たことも聞いたこともない、記憶にない子だ。
中学生くらいか。どう見ても少女だ。フリルな利いたシャツにタイトなジーズ。どうにか大人になろうと急いている、ませた子だ。
そのくせ、笑顔はあどけない。
益子シロは戸惑う僕をよそに幼い笑みのまま近づき、僕の耳元で呟いた。
「コロシマス」




