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子ほめ
平賀渉
「ごめん、遅くなった」
安治川衛
「大丈夫、俺も今着いたとこ」
平賀渉
「何聴いてたんだ?」
安治川衛
「ん? 落語」
平賀渉
「落語、渋いな」
安治川衛
「お前も一度聴いてみろって、ハマるぜ。初心者なら萬福亭平楽の《子ほめ》がオススメだな」
平賀渉
「初めて聞くわ。どんな話?」
安治川衛
「ある男がただ酒飲むために、人を褒めようとするんだけど、とんちんかんな会話ばかりで、なかなか酒にありつけないんだよ。 で、最後の最後、赤ん坊の年を尋ねるんだけど……って感じ」
平賀渉
「へぇ」
平賀渉
「え、終わり? 今日のオチは?」
安治川衛
「ないよ」
平賀渉
「落語なのにっ?!」




