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爆弾処理
鷺沼蓮のこめかみに一筋の汗が垂れた。
「やっべぇな」
目の前に爆弾があった。それも二つだ。そのどちらもL級の爆弾だった。爆発寸前だ。
これまで処理してきた爆弾とは比べ物にならないくらい大きい。百戦錬磨の鷺沼でもってさえ、手に負えない爆弾だ。いつもみたく下手に弄るのは止めといた方がいいだろう。
「取り敢えず」
鷺沼は暴れる心臓を鎮め、舌なめずりして爆弾に触れた。何も起こらない。
今度は諸手で恐る恐る、二つの爆弾に触れてみる。ダイナマイトにはこれくらい大胆さも必要だ。
まだ、反応はない。
今度はもっとだ。激しめに触る。
やっと女の吐息が聞こえてきた。




