526/945
余命
丹生拓郎
「私も覚悟出来てます。先生、はっきり言ってください」
鯖原医師
「わかりました。非常に申し上げにくいですが、丹生さんは大変厄介な病に罹っています。余命、あと87年です」
丹生拓郎
「え、は、87年?」
鯖原医師
「はい。少なく見積もっても確実にあと87年、生きます」
丹生拓郎
「俺、今年で68ですよ」
鯖原医師
「ですね。ですから、寿命は175歳といったところでしょうか」
丹生拓郎
「いやぁ、さすがにそれは……」
鯖原医師
「これは曲げられない運命です。どうしても175歳生きてしまいます。事故も遭いません、事件にも巻き込まれません。自殺も出来ません」
丹生拓郎
「そんな、どうしたら……」
鯖原医師
「辛いでしょうが、こればかりは医療の進歩に期待するしか。取り敢えず、抗年薬出しときますね」




