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五十年、愛してくれ。2
夕陽の見える灯台にて
宇佐木実絵
「きれい……」
柏原裕一
「どうしても君にこの夕焼けを見せたかった」
宇佐木実絵
「え?」
柏原裕一
「単刀直入にいうよ。実絵、愛してる。百年なんて言わない。五十年、俺を愛してくれ。結婚しよう」
宇佐木実絵
「はい。わかりました」
そうして俺は実絵と結婚した。
結婚生活は順風満帆で奇跡的に子どもも二人授かった。二人とも反抗期こそあったが、特にグレることなく。職に就き、家を出て、結婚もした。
柏原裕一
「結婚して、もう五十年か」
宇佐木実絵
「早いものですね」
柏原裕一
「そうだな」
宇佐木実絵
「では、離婚しましょう」
柏原裕一
「ご自由(50)に」




