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カミングアウト
虹村亮は決して口を開かなかった。
「大事な告白がある」
生徒にそんなことを口走られたら、生活指導を務める朽木にとって、彼のカミングアウトを追及するしかほかならない。
朽木新吾
「おい虹村、お前がずっとそんな態度だと先生、何も言えないだろ。どうした、何があった」
虹村亮
「……」
朽木新吾
「イジメられてんのか、それとも家庭内か」
虹村亮
「……」
朽木新吾
「大丈夫だ。誰にも言わない、秘密は守るぞ」
虹村亮
「……」
朽木新吾
「告白があるって言ったのはお前だろ」
虹村亮
「……」
朽木新吾
「おい、いい加減何か言ったらどうだ」
虹村亮
「ふふん、ふん、ふふーん」
朽木新吾
「いや、ハミングアウトっ」




