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極紅彩宝石箱  作者: 泉柳ミカサ
415/944

アポ取り

兼松賢二郎

「いいか、取り敢えずアポ取りだ。アポ取りは営業の基本。出来ないやつはクズだ。おい、和島。お前、今日何件契約取った?」

和島満

「に、二件です」

兼松賢二郎

「あん? 聞こえないな。もっと腹から声出せよ。んなんだから、二件しか取れねぇんだよ。いいか、今日中に百件アポ取れ。出来るまで帰るなよ。いいか、能無しは時間で稼げ、命賭けろ」

和島満

「わ、わかりました」

兼松賢二郎

「だから、腹から声出せって言ってんだろがっ、このクズが」



アナウンサー

「続いてのニュースです。○×商事営業部の和島満さんが社内で倒れているのが発見され、同僚が救急車を呼ぶも搬送先の病院で息を引き取りました。警察は過労死の点から○×商事の勤務状況を詳しく調べーー」





兼松賢二郎

「ったく、クズが。勝手にアポ(APO)取りしやがって……」

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