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美しいもの
小松原雪羽
「たっくんの家、はじめてだね。楽しみ」
数原拓也
「そう? そんな広い部屋じゃないけど、寛いでね。そうそう、オイラの家、絶景が見えるんだよ」
小松原雪羽
「え、ホント? 満天の星空とか?」
数原拓也
「違う違う。そんなものより、もっとずっと美しいもの」
小松原雪羽
「へぇ、楽しみ」
数原拓也
「はい、着いた。どうぞ、ユキちゃん入って」
小松原雪羽
「おじゃましま~す。へぇー、意外と片付いて……え、」
《eiz=cos z+i sin z》
小松原雪羽
「なんこれ」
数原拓也
「なにこれって、オイラーの公式だよ。美しいだろ」
小松原雪羽
「わたし、帰るっ」




