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逆ナン
オフィス 昼休みにて
関村章仁
「おい、聞いてくれよ。こないだ、逆ナンにあってさ」
柊木務武
「うそ、どこで?」
関村章仁
「ほら、向かいに松紅商事あんだろ、そこの受付嬢。萌木とかいったかな……」
柊木務武
「マジ、大会社じゃん。それに萌木って子知ってるわ。超可愛いで噂だろ」
関村章仁
「そうそう。俺から話しかけたんだけどな、もちろん全然別件で下心なんてこれっぽちも。でも、少し話したら興味湧いたのか、俺の名前、しかもフルネーム聞いてきてよ。挙げ句には携帯の番号教えてくれってせがまれてさ」
柊木務武
「ベタ惚れじゃんか。羨ましいな」
関村章仁
「しかも、向こうの電話番号も教えてくれてさ。で、その晩、早速掛けたわけ。そしたら、男が出てさ」
柊木務武
「うわっ、彼氏持ちかよ。それで逆ナンって、とんだビッチだな」
関村章仁
「だろう。しかも、その男なんて言ったと思う?」
柊木務武
「なに?」
関村章仁
「落とし物は届いておりませんね、だってよ」
柊木務武
「は?」




