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ジェントルマン ─後編─
桒田秋穂
「中田さん、ホント女慣れしてますね」
中田裕二
「ねぇちゃんの男慣れに比べたら、全然」
桒田秋穂
「ひっどぉい。これでもウブなJDですよ……あ、ヤバっ終電」
中田裕二
「あぁ、もうそんな時間か。タクシーでいいだろ。ねぇちゃんの面白さに免じてタク代出してやるよ」
桒田秋穂
「そんなの悪いですよ。それに私、酔っちゃったみたいだし。一人で帰れるかな」
中田裕二
「勘弁してくれよ。よしっ、掴まった。もう5分で着くからな」
桒田秋穂
「えー、じゃあそのタクシーで楽しいトコ行きましょうっ。ねっ」
中田裕二
「そんなことしてもムダ。帰るぞ」
桒田秋穂
「ひっどぉい。Gだよ、これ。JDのG好きでしょ」
中田裕二
「はいはい、好き好き。悪いが俺にも用があんだよ」
桒田秋穂
「こんな時間、JDのラブコールより大事なもんがあるの?」
中田裕二
《人殺しだよ。お前はただのアリバイ証人だ》
中田裕二
「仕事だよ、仕事」
桒田秋穂
「ふーん。見かけによらずジェントルマンね。わかった」
中田裕二
「そりゃ、どうも。助かったわ」




