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割愛
時永歩夢
「こちらですが、先ほどの資料と情報がダブりますので割愛させていただきます」
涌井茂久
「おい、ちょっと待てよ」
時永歩夢
「どうされました?」
涌井茂久
「その言い方、大嫌いなんだよ。最近、若者がよく言ってるけどよぉ。割愛ってのは本来、惜しいものを泣く泣く切り捨てるって意味であって、不要なものを切り捨てるって意味じゃねぇんだ」
時永歩夢
「はぁ……」
涌井茂久
「昨日だってそうだ。適当ってのは本来、ある条件もしくは目的に対してそれがうまく当てはまっている様、ふさわしいことを指すんだ。それが最近じゃあ、専ら、当てずっぽうみたいな意味で誤訳されててよぉ。いいか、俺はな最近の若者にしっかりした日本語を……」
泉柳ミカサ
「ちょっと涌井の会話文、割愛します」
涌井茂久
「おいっ」




