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引っ張っているもの
白木真美
「ちょっと、あなたどうなってるの。ちゃんと引っ張ってくれるんじゃないの?」
白木厚郎
「十分、引っ張ったさ。でも、俺の力じゃどうにもならないんだ」
白木真美
「おじいさんやおばあさんさんも呼んだの?」
白木厚郎
「呼んださ。犬だって猫だって、もちろん鼠まで呼んだ」
白木真美
「レスラーは?」
白木厚郎
「そっちの方面ももちろんあたったさ。レスリング、ハンマー投げ、ウエイトリフティング、マグロ漁師だって呼んだ。けど無理だった。もっともっと大きな力が必要なんだ」
白木真美
「じゃあ、総理大臣呼びなさいよ。それで一発でしょ」
白木厚郎
「しがないサラリーマンに出来るわけないだろ」
白木真美
「そんなの関係ないわ、これ以上私の足を引っ張らないで」
白木真美
「とにかく祝日が土曜日に潰れるのはイヤなの。勤労感謝の日も土曜日だから、今度こそちゃんと引っ張って別日にしてよね」
白木厚郎
「俺にまだ働けっていうのかよっ」




