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極紅彩宝石箱  作者: 泉柳ミカサ
334/945

893

車内にて


畑中沙知絵

「やっぱ、広島ってなると結構遠いわね」

守谷映美

「大丈夫? 病み上がりでしょ。運転変わろうか」

畑中沙知絵

「これくらい大丈夫大丈夫」

守谷映美

「ってか、うちら煽られてない?」

畑中沙知絵

「え、ウソ?」

守谷映美

「ほら、後ろ」

畑中沙知絵

「うわ、マジじゃん。しかも黒塗りのベンツでナンバープレート《893》ってまんまそれじゃん」

守谷映美

「え、クラクション鳴らされた。止まれってこと?」

畑中沙知絵

「オワタ」



《コンコン》


畑中沙知絵

「はい、なにか?」

893

「ねぇちゃん、タイヤ空気抜けてハンドルもってかれて……ん、ねぇちゃん風邪気味か。そりゃああかん。車にネギ、ショウガ、三つ葉、ワサビどれでもあるさかい、風邪治し」




畑中沙知絵

「薬味ヤクザっ」

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