32/944
すべらない話
女将
「えー、これは数年前になるんかな。地下鉄に乗っとったんですよ。いっつもは混んでるんですけど、その日は運良く座れたから、疲れもあったし寝たんですよ。そして10分ほど、寝たんかな。ぱっと目ぇ醒ますと、降りる2、3駅前やったんです。あぁ、2、3駅前かって、微妙な時やから何するわけもなく前の人をボーッと見てたんです。んで、その前の人が着てた服ってのが、ワンちゃんらしきのが3匹、こう散らばった感じで描かれてて、服のセンターラインに何か文字が書いとったんです。私、目ぇ悪いから目ぇ凝らしてその文字見たんです。そしたら……101匹ワンちゃんって……いや、あと98匹どこやねんっ」
佐原
「いや、しっかり面白いんかいっ」




