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リップサービス
女将
「失礼いたします。夕飯、お口に合いましたでしょうか」
佐原
「えぇ、とっても美味しかったです」
女将
「それはよろしゅうございました。よろしければ、当宿自慢のリップサービスはご利用なさいますか?」
佐原
「リップサービス、ですか?」
女将
「不躾ではございますが、お見受けしたところ、お客様一人でございますよね。お一人、寂しい夜を過ごされるより、わたくしと一緒に過ごしませんか。女将であるわたくしが、直々にお客様をお口でご奉仕させていただきます」
佐原
「え……ほ、ほ、本当ですか」
女将
「えぇ、若くはございませんが、その分テクニックがございますのでお客様には十分、悦んでいただけると思います」
佐原
「お、お願いします」
女将
「では早速、失礼します」
女将
「えー、これは数年前になるんかな。地下鉄に乗っとったんですよ……」
佐原哲人
「すべらない話っ!?」




