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奥の手
ナホミ
「ちょっと、タケル。あんた浮気してるでしょ」
タケル
「何だよ、藪から棒に」
ナホミ
「誤魔化しても無駄よ。あんたが家空けてるうちに家の電話が鳴ったのよ。そしたら、保険屋が奥様はご不在でしょうかって、どういうことよ。あんた、やっぱり結婚してるんでしょっ」
タケル
「なんだ、そういうことか。俺の名字は奥だぜ。そりゃ、保険屋も奥様って言うだろうが」
ナホミ
「あ、そうか……ごめん」
タケル
「いいって。俺が愛してるのはナホミ、お前だけだよ」
タケル
《やっぱ奥の手は偉大だなぁ。妻は今日誰かと会うらしいから帰りも遅いし、こりゃあ、久々に羽を広げれるぞ》
タケル
「そういや、今日の晩ごはんはなんだ?」
ナホミ
「奥の手、よ」




